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「PlayStation Now」「クラウドベースTV」で狙うもの。SCEアンドリュー・ハウス社長インタビュー

SCEのアンドリュー・ハウス 社長兼CEO。今回はSEN担当重役という立場でも話を伺った

 CESにおける、ソニー・平井一夫社長の基調講演の最中、特に枠を大きくとって、平井氏からバトンを渡される形で登壇したのが、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアンドリュー・ハウス社長兼CEOだ。

 ハウス氏はSCEのトップでありつつ、ソニーグループ全体で使われるネットワークサービスである、Sony Entertainment Network(SEN)の担当重役でもある。そうした立場から、キーノートでは、SENの今後にとって重要なサービスである「PlayStation Now」と「クラウドベースTV」についての発表を行なった。その内容と機能は、どのようなものになるのだろうか? 「まだ未定な部分は多い」としながらも、その狙いについて、かなり詳しく語ってくれた。その内容は、今後のコンテンツビジネスにも、そして「日本のコンテンツビジネス」についても、色々示唆に富むものとなった。

PS4は420万台! エンターテインメントハブとしての可能性を追求へ

 キーノートでの発表は、非常に景気の良い話から始まった。2013年11月、アメリカからビジネスがスタートしたPlayStation 4(PS4)が、12月28日の時点で、全世界の実売累計が420万台を突破した、というのだ。

 PS4はヒットの兆しをみせていたが、ここまでの数が出る、と予想していた人は少ないはずだ。ライバルであるマイクロソフトのXboxOneも、昨年中に300万台を販売しており、十分なヒットといえるのだが、PS4はさらにその上を行った。ラスベガス近郊の販売店にも、PS4やXboxOneの在庫はほとんどない。SCEとしても、ここまでのヒットを予測していたのだろうか?

ハウス:いつの段階での予想なのかで違いますね。我々の目線が(数が多い方に)上がっていった、ということはあります。

 例えば、私が東京ゲームショウの段階で「年度末までに500万台」と宣言しました。「かなり大げさではないか」とあちこちに書かれましたが、あの段階で、我々はすでに大きめの需要を見ており、かなり自信をもっていました。

 しかし、この早い段階であれほどの完売率は、正直に言うと、我々の予想以上でした。需給について、我々はかなり難しいバランスをとらなくてはいけませんでした。全世界の需要に対し、フルに供給したいのは事実なんですけれど。

 他社と違う状況になっているのは、特にヨーロッパと中近東。それらの地域は、非常にブランドロイヤリティの高い場所でもあり、必ずしも「なにがなんでも北米に数量を」というわけではありませんでした。もちろん、北米は競合が強いマーケットですし、できるだけいいバランスでの供給が必要とされていました。

 そもそも需要が非常に多い、という予測を立てた段階で、なるべくフル体制で望むスタンスではありましたが、金融面での責任感も求められていましたので、在庫の山を起こさないようなバランスを探っていました。

 年度末までの予測ですか? 正式な数字は申し上げられません。しかし個人の予測として、年末までの数字を見る限り、500万台を超えるくらいの数量は達成できるのではないか、という自信がついています。

 ただ、1月に入り、年末商戦を見た上で、年末商戦後のデマンドがどうなるかを確かめた上で、我々の目標を決めようと思います。一般論として、かなり違うじゃないですか、年末とその後とでは。どれだけのモメンタムが維持されるかを見た上で、今後の予測を考えたいです。

 他方で、この好調ぶりを「一時的なもの」とみる人々もいる。飢餓感が強かった熱心なゲームファンが飛びついただけで、まだ広がりは小さい……という見方だ。ハウス社長は、2点からその意見を否定する。

ハウス:「ゲーマー」という人々の定義が重要です。欧米については増えていって、質も変わった、と思うのです。

 PS2時代以降、個人のプレイヤーが、生涯の中でゲームをプレイし続ける期間が長くなったのではないか、と思います。要は子供時代だけでゲームすることを止めず、20代・30代とゲームをやり続ける、ということです。そしてさらに新しいユーザーも入ってくる。なので、ゲームをやり続けるユーザーの数は増え続けていく……、という想定です。

 もう一つの変化なのですが、私はそろそろ「ゲーム専用機」という言い方が通じない、多少古くなった、と思っています。特に欧米の場合、ゲーマー以外のユーザーにも、もうすでに、ブームとまでは言わないものの、人気になっています。ゲーム機であるだけでなく多機能のエンターテインメントハブでもある、というPS4の役割が、ゲーマー以外の人々にも認められるのではないか、と思っています。そこにどういうマーケティングをするのか、どういうサービスを提供できるのか、プロモーションをやり続けることによって、「エンターテインメントハブである」というモメンタムを維持するかが、我々にとってのチャレンジです。

 一方、ゲーマーとしては、ローンチソフトのラインナップだけでなく、「新たな体験」が出来るゲームがどのくらいで見せられるか、が重要です。

 例えば、発売が伸びてしまいましたが、Ubi Softの「Watchdogs」。もう少し先ならば、Bungieの「Distiny」。本当に、PS4世代ならではで、しかも「新しいIP」であるもの。こうしたものに対しての期待があるからこそPS4を、というメッセージングを伝え続ける必要があります。

 特にアメリカでは、PS4にバンドルされたARゲーム「The Playroom」が人気だ。とはいえ、ゲームとしての人気だけで牽引しているわけではない。The Playroomは、自分の室内の映像とAR映像を重ねて楽しむもの。自分の室内を簡単に映して配信し、コミュニケーションする人が少なくないのだ。そうした人気は「予想していなかった」(ハウス社長)と笑う。

ハウス:我々がPS4を創造した時には、ゲームプレイ配信することは想定していましたが、ゲームでなく、自分のコメントや自分の暮らしを配信するとはちょっと予想外でした。

 しかしポイントとして、我々は想像力を実現するツールとしてのプラットフォームは提供するんですが、その使い方は、我々の想像の域を超えるのが常です。PlayroomはARとカメラの面白い組み合わせとして、開発側から皆さんに問いかけたメッセージでもあるのです。次のゲームの波の中で、ぜひ、カメラの面白い使い方を考えていただきたいです。今回盛り上がっている事例のように、単にプレイするだけでなく、参加したり、自分をアピールするようなゲームの構造を、ぜひ考えていただきたいと思いますね。

 他方、問題となるのは「日本」だ。携帯ゲーム機とソーシャルゲームが伸び、据え置き型ゲーム機の市場が小さくなってきている日本で、PS4が欧米のような熱狂で受け入れられるのか、不安視する声は多い。

ハウス:かなり自信はもっています。なぜなら、いわゆる「洋ゲー」ファンの人口が増えてきている、と見ているからです。そうしたお客様に満足していただけるだけのものはすでにある、と思っているので、ここをPS4のコア層として育てていきたいと思っています。今現在のマーケティング、という意味では、そうした層を中心とした作り方です。

 次のフェーズをどうするかが、我々にとっても、日本のゲーム業界にとっても大きなチャレンジです。日本のエンターテインメントの特性にあわせて、どれだけ新しい体験を用意できるかが重要。弊社だけのチャレンジではなく、日本のゲーム業界とともに、ファミリーのような関係となって、エンターテインメントとしての面白さ・魅力をゲームに「取り戻す」ことが、開発の面でも、マーケティングの面でも、チャレンジです。

ゲームもストリーミングの世界に。「PlayStation Now」

 今回、ゲームがらみでもっとも大きな発表が「PlayStation Now」(以下PS Now)だ。これは2012年7月にGaikaiを買収以降語られてきた、「クラウドを使ったPlayStation」ビジネスだ。PlayStaiton 3(PS3)のゲームをSEN内にあるクラウドサーバーで動かし、PS4やPlayStaion Vita上でもプレイ可能にする。これまでは正式な名称やサービス時期などが公開されてこなかったが、正式に「PlayStation Now」と名付けられ、北米にて、1月末よりクローズドベータが、夏中に正式サービスが開始される、と告知された。

「PlayStation Now」は北米で1月末からクローズドベータを開始。サービスの開始は夏を予定している

 ソニーブース内では、PS Now対応BRAVIAとVitaで、実際にゲームをプレイすることができた。「ローカルに作ったデモ環境ではなく、実際のサービスと同じもの」(ソニー担当者)でのものだという。

 率直にいって、クオリティはなかなかだ。画質を見ると、たしかに、若干の圧縮ノイズのようなものも見える。だが、それはごくわずかだ。ボタンを押した後の動作遅延も、体感上はあまり感じない。「インターネット経由でプレイしている」という印象はかなり薄い。BRAVIAでプレイする場合、USBケーブルでPS3用コントローラーの「DUALSHOCK3」をつないでいる関係か、「後ろにPS3があるのでは」と思ってしまう時があるほどだ。画質はすべて720pで、ゲーム映像そのものを720pで伝送しているのだという。シビアな環境では色々と問題が出てくるかもしれないが、これはこれで実用的だ、と感じた。

ソニーブースでのPS Nowデモ。対応BRAVIAとVitaで動いていた。若干の圧縮ノイズを除けば、ローカルでの動作との差は小さい

 キーノートのプレゼン画像には、プレイステーションなどだけでなく、スマートフォンなどの姿も描かれていた。ソニー・平井社長も「他社にないゲームという資産をどういう風に広げていくかが重要」と語っており、今後のキーサービスと期待しているのだろう。

PS Nowは、PS4やVitaの他、テレビやタブレット、スマートフォンも想定されたもの。「Xperia」「BRAVIA」と書かれていないところに注目

ハウス:対応プラットフォームは、段階的に広げていきます。まずはクオリティ面で確実性の高いPlayStation向けに提供し、その後に他のプラットフォームに広げていきます。まずはPS4、次にVita、そしてBRAVIAです。その後のロードマップをどう作るかですね。

 PS Nowについては、2つのことを大事に考えています。

 一つは、タブレットやスマホなどに、いかにきちんとした「コンソールの体験」「コントローラーの体験」をもってくるかです。BRAVIAならコントローラーをUSBでつなげばいいので、どういう操作性になるかはすぐに想像がつくと思うんですよね。DUALSHOCKがあれば、すぐにテレビでゲームプレイができます。スマートフォンやタブレットでは、ユーザー体験の良さを第一にします。

 もう一つ、ビジネスの面でバランスをとらなくてはいけないのは、サーバーサイドインフラへの投資効率です。

 この2つを大切にしながら、ビジネスロードマップを作っていくことになると思います。

 キーポイントとしては、PS Nowでは、プラットフォームの軸をハードウエアではなく「サービスプラットフォーム」として新しく展開したい、ということです。

 やはり気になるのはサーバー投資とビジネスモデルだ。PS3をクラウドで動かす場合には、CELLを含めたPS3のアーキテクチャをそのまま使った、ある程度特殊なサーバーが必要になる。そうでない場合でも、ウェブビジネスなどに比べサーバー負荷が大きいため、投資額が大きくなりやすい。過剰投資を避けつつ、それでいてユーザーにはきちんと価値を提供できるインフラ構築と、課金を含めたビジネスモデル構築が肝心だ。この点は、ハウス社長が語る通りである。

ハウス:すぐに利益がとれるビジネスではない、と思っていますけれども、そんなに長いスパンで利益確定までのロードマップを描いているわけではありません。その中間くらいですね。

 まずは、なるべくフレキシブルな料金モデルにします。タイトル1本でのレンタルと、利用者1人あたりの毎月の課金、さらにはチャンネル毎に課金と、うまいパッケージングでかつ、投資しているインフラがフルに近い形で活躍してもらいつつも、1人あたりのARPUはちゃんととれるようなビジネスの仕組みを作るべき。

 ストリーミング型ゲームではシンプルなビジネスモデルが採用されることが多いのですが、我々のものはちょっと違います。なにより、ストリーミングゲームのビジネス単独ではなく、特にPlaystation Networkのいろいろなダウンロードビジネスとの組み合わせが考えられます。

 これはまったく新しい配信のシステムです。ですからビジネスモデル構築に、かなりのチャレンジはあると思っています。

 しかし間違いなく、他のメディアを見ていても、だんだんストリーミング中心の世界に寄ってきています。いずれにしても、いつかはゲームの世界にも影響してくるのは間違いない。そこで、我々は「引っ張られる側」じゃなくて「引っ張る側」「リーダー」「パイオニア」としてやっていきたい。自ら難しい方へチャレンジしていきたい。

 すなわち「単品レンタルのみ」とか「月額で遊び放題のみ」といったシンプルなビジネスモデルにはならない、ということである。おそらくは、ゲームを「同じシリーズ」や「種別」などで分けて、遊びたいゲームを細かく選べる形を作りつつも、ゲームメーカーとしての収益もバランス良く上げられる…という仕組みを模索しているのだろう。ストリーミングとダウンロードのミックスである、という発言からは、「まず気軽にストリーミングで遊んでもらい、本当に好きになったらダウンロードで」という導線も想像できる。

 クラウドでゲームが遊べてしまうと、「ゲーム専用機」の価値は薄くなるように感じる。コンソールビジネスを展開するSCEがPS Nowを展開するのは自己否定のようにも見える。だが、クラウドで敷居を下げて濃いところへ誘導する……というモデルまで考えると、一概にコンソール否定とはいえない。

放送の枠組みを変える?! クラウドベースTV

 もう一つ、キーノートで発表になったのが「クラウドベースTV」と呼ばれるものだ。こちらはSCEのビジネスではなく、ソニー全体で使うSENのビジネス。VODである「Video Unlimited」と似た位置づけのものだ。

 このサービスについては、正直、キーノートの発表だけではわかりづらいところがあった。北米のケーブルTVの番組が、SEN経由で見られること、そこに「デジタルビデオレコーダー(DVR)」の機能があり、放送されてしまった番組を、さかのぼって見ることができること、そして、単品のVODと連携していることなどが語られている。

クラウドベースTVでは、VODやリアルタイム視聴の他、「DVR」の機能も持つ。しかしそれは、古典的な「録画機」とは考え方が異なる

 現在アメリカでは、ケーブルTV離れがさけばれている。全世帯の7割がペイTVと契約している……と言われる市場で、ケーブルTVでなく、インターネットベースの放送を使いたい、という声が上がっているのだ。その一つが、Netflixに代表されるサブスクリプション型のVOD(SVOD)であり、配信経路のみをインターネット化する「バーチャルMSO」と言われる形態もある。だが、クラウドベースTVは、それらともまた違うものだ。

ハウス:基本は、ケーブルTVの自由度アップをSENでやる、ということです。フィーチャーはまだ未確定なのですが。PlayStationは必ず参加しますが、最初の段階で他のプラットフォームが含まれない、というわけではないです。正直そこの仕様は、まだ正式に公開する時期ではないです。

 DVRという機能については、2つの考え方があると思います。

 一つは、選択した番組を記録すること。これが基本ですよね。

 でも、クラウドに全番組・全チャンネルが常に記録されていて、そこからユーザーが自由に、いつでも、どこでも、決まったチャンネルにアクセスできる……というやり方もあると思います。

 クラウドを生かした時代になると、ゲーム機が再定義を迫られているように、DVRのような専用機も再定義されるべきだと思うのです。「録画」なのか、「すでにネットワーク上にあるものにアクセスできる」のか。どちらがユーザーにとってはベネフィットが大きいのか……という議論ですよね。

 要は、放送局の持っている配信番組をすべてSEN側が持ち、タイムテーブルにしたがっての送出も、過去にさかのぼっての視聴も、単品での視聴もやってしまおう……というやり方である。

ハウス:ポイントとは、なぜ我々がクラウドベースTVという分野に入ろうとしているか、ということです。

 過去数年間にわたり、SENはVODサービスをやり続けてきました。ようやくPS4で、ユーザーインターフェースも含め、良いサービスができあがってきました。そこにはある程度自信があります。

 その上で、ユーザーに対して、なるべくフレキシブルで、価値のあるサービスを提供するべきですよね。今のクラウドの時代なら、「クラウドベースTV」という考え方を提供するのにちょうどいい時期だ、と我々は考え、このベンチャービジネスをやることにしたのです。

 これはVODと併存するものですが、いままでのVODとマッシュアップして、なるべく良い価格・付加価値が見えるような形でサービス提供を行ないたい、と思っています。要は、PS Nowと同じ考え方です。

 例として適切か不安ですが……。アップルがiTunesを出した時、ずっと「アルバム」の形・フィジカルメディアの形で買わざるを得なかった音楽の世界が、1曲単位で買えるようになりましたよね? それが、iTunesの生み出したもっとも大きな変化だと思います。ユーザーにとっては、フレキシビリティの向上が大きなベネフィットでした。

 同じ変化が起きる、というわけではないですが、クラウドベースTVによって、テレビ番組とビデオの考え方が変わることになると思います。要はフレキシビリティを提供したいのです。

 日本において、放送番組を多チャンネル録画する、いわゆる「全録」は新しい価値を生み出した。それは「時間にとらわれず、自分が見たい番組が必ずある」状況を作り出すことだ。

 だが、いちいち録画しなくても、すべてがネットにあれば同じだ。テレビの配信モデルに大胆な変化をもたらしたい……というのが、SENの狙いである。それだけに「モデル構築は難しい」とハウス社長も認める。だが、古典的なVODを脱し、SVODとも違う価値を率先して作るには、こうした試みが必須である。

「ストリーミング」ビジネス定着が「アメリカファースト」の理由

 ここで、ちょっと気になることがある。

 こうした試みは、みなアメリカ市場から始まっている。ベンチャーの取り組みもそうだし、ソニーの今回の取り組みも同様である。「日本は規制が多いから」と言われることが多いが、もう少し詳しい事情が知りたい。ソニーが、こうした「クラウド系」の新しいビジネスをアメリカからスタートする理由は、なんなのだろうか?

 ハウス社長は、「実はヨーロッパからも同じ質問を受けていて、別に日本を外しているわけではないのですが」と付け加えた上で、次のように説明してくれた。

ハウス:2つ理由があります。アメリカはすでに、日本とは違う環境になりつつあるのです。

 ひとつはユーザーの習慣として、あらゆるコンテンツをストリーミングで提供されることに「慣れている」ということ。アメリカでは、そういう使い方が完全に定着しています。そうしたサービスの付加価値感を、ユーザーがすでに感じている、ということです。

 もうひとつは、ユーザーが付加価値を認めてくれ、お金を払ってくれているがゆえに、コンテンツ側が新しいビジネスモデル・配信のやり方への理解が非常に進んでいる、ということがあります。これは、放送局まで含めての話です。

 アメリカ以外ではそこまで破壊的なプレイヤーはあまりいなくて、コンテンツ側が保守的になっている、と思いますね。

 すなわち「ストリーミングで有料のコンテンツを見る、消費する」という行動がアメリカでは定着しており、その分ビジネスもきちんと回っているために、権利関係の処理もうまくいきやすい……ということだ。法的な問題が指摘されることも多いが、それを背景に、「実際ビジネスが回っている」ことへの評価は大きいのだろう。

 ハウス社長がなんども述べているように、PS NowにしてもクラウドベースTVにしても、ビジネスモデル構築は簡単ではない。だからこそ、スタートで余計なことに時間がかからない「アメリカ」という場が有利なのだ。

 そうしたことが生み出す可能性を、こうした産業に関わる関係者は重く受け止める必要がある。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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