西田宗千佳のRandomTracking
第629回
今年の新iPhone、AirPods Pro 3、Apple Watchを現地からハンズオン速報
2025年9月10日 10:32
今年もアップル秋の新製品発表イベントを取材しにきている。
発表されたばかりの新iPhoneとAirPods Pro 3、Apple Watchのハンズオンレポートをお送りする。
今回は特に「iPhone 17 Pro」シリーズのデザインが変更になり、薄型の新シリーズ「iPhone Air」も登場したことへの注目が大きいだろう。
それら実機の写真と動画をじっくり見ていただこう。
薄さに驚くiPhone Air
まずは「iPhone Air」から。
すごく細かいことになるが、iPhone Airはあくまで「iPhone Airという新シリーズ」であり、iPhone 17シリーズではない。
iPhone 17シリーズは「iPhone 17」「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」の3モデルで、「今秋のiPhone新製品」といった場合にはiPhone Airを含めて4モデル……ということになる。
写真などでお分かりのように、とにかく薄い。スペック上は5.6mmとされているが、見た時のインパクトはそれよりも大きく感じる。
というのは、ディスプレイが6.5インチと大きめであり、サイズと厚みのバランスから特に薄く感じる部分がありそうだ。
サイドは光沢のある仕上げで他の2種類とも異なる。薄くなったが、カメラコントロールを含むボタン類はすべて揃っている。フレームの素材はチタン合金で、今回の新機種の中では唯一のチタン採用モデルとなる。
ただし、スピーカーは上下ではなく上にだけ搭載されているそうで、音質などに影響が出る可能性はある。
背面はカメラの部分のみ厚みがあり、それ以外はフラット。後述する「iPhone 17 Pro」シリーズと同様、カメラを含めたメカ部分を可能な限り上の方に集め、多くの部分をバッテリーの容積に割いた構造になっている。
背面のガラスには、iPhoneとしては初めてCeramic Shieldを使ったものが採用される。背面は「耐亀裂性能」がこれまでの4倍になるという。要は背面のグラスが割れづらくなるわけだ。
前面については「Ceramic Shield 2」となり、耐擦傷性能が従来比3倍になっている。これも使い勝手向上にはプラスだ。
これだけ薄いボディなので、SIMカード・スロットを用意する部分はない。だから、iPhone AirはeSIMのみだ。また、アメリカ版であってもミリ波には対応しない。
これだけなく、今回は発売されるiPhone全機種がeSIMのみのモデルとなり、SIMカードスロットはなくなる。機種変更した場合にも、SIMカードからeSIMへの切り替えが必要になる。
他モデルに比べ搭載可能なバッテリー容量が減ってしまうためか、新しいMagSafe対応のバッテリーも登場している。同じく純正アクセサリーである「クロスボディストラップ」と各種純正ケースを組み合わせると、日本でも見かけることの多い「ストラップで肩からかける」タイプの使い方ができる。
アルミのUnibodyで「冷える」Pro。リアカメラも3種48MPに
次はiPhone 17 Proシリーズ。
ProとPro Maxの2モデルになるが、機能・考え方は共通だ。
17 Proシリーズの特徴は、ボディがアルミのUniBodyになったことだ。iPhone Airもそうだが、構造的にかさばり、発熱しやすいものを上部に持ってくることでバッテリーの収納スペースを稼ぎ、発熱源を手のひらから離す。
そのためカメラ周りが横長でせり出した形状になっている。少し威圧感があり、好みは分かれるかもしれない。
一方で、ハンズオン会場で驚いたのは、iPhone 17 Proが「あまり発熱していない」ことだ。ハンズオン会場で大量の人がひっきりなしに使うので、この種のデバイスは熱を持ちやすい。後述するiPhone 17は、「ひどく熱い」というほどではないがそれなりに熱を持っていた。
しかし、iPhone 17 Proは冷たいままだった。使い方や個人の感じ方によっても変わりそうだが、構造・SoCの進化などが感じられる、非常に印象的な変化だった。
前出のように、iPhone 17 Proシリーズについても、日本向けでもSIMカードスロットはなくなり、eSIMのみだ。
カメラの機能を詳しくテストはできなかったが、背面カメラが3つとも48メガピクセルになり、望遠を含めた画質が上がる。
また、光学ズームについては「0.5倍」「1倍」「2倍」「4倍」「8倍」となる。
スタンダードなiPhone 17でも「フロントカメラ」の大幅進化
iPhone 17は、iPhone AirやiPhone 17 Proシリーズに比べると外観の変化は小さい。
全機種がeSIM対応になり、フロントガラスが「Ceramic Shield 2」となり、耐擦傷性能が従来比3倍になっている点も同じ、
iPhone 17の背面はCeramic Shieldではないが、ガラスに微細なカラー粉末を混ぜ込んだ素材で、これはこれで強度があるそうだ。
カメラという意味で、同様に全機種で採用されているのが「18MP センターフレームカメラ」。18メガピクセルで正方形のイメージセンサーなのだが、これはフロントカメラの自撮りを大きく変える。
従来、フロントカメラでの自撮りの画角は「縦長」が基本だった。だから横長で撮りたい場合には持ち替える必要があった。また、横長にするとカメラが横に来るので、集合写真では「目線」が捉えづらかったり、端の人が入りづらかったりする課題があった。
しかし今回からは、全機種で正方形のイメージセンサーとなり、必要に応じて画角が変えられる。以下のように、縦横も持ち帰ることなくワンタップで切り替えられるし、何人で撮っているかに合わせ、AIでフレームの広さを自由に変える。
フロントカメラに必要な変化をソフト的にうまくカバーする仕組みであり、非常にわかりやすい。
この機能が全機種に入っているのが、ある意味で今秋新製品の大きな特徴と言えそうだ。
アコースティックな部分を再設計、ライブ翻訳にも対応する「AirPods Pro 3」
オーディオ的に気になる人が多そうなのが、「AirPods Pro 3」だ。
一見してデザインの変化は小さいのだが、中身はほぼ新規設計であるという。
まず、アコースティック設計が変わった。空気の流れが変化しているので、音の聞こえ方が違う。
ノイズキャンセルについては電気的・ソフトウエア的な変化に加え、イヤーチップの中にフォーム材が充填されるようになったことの効果が大きいという。イヤーチップ自体の取り付け径はAirPods Pro 2から変化なく、おそらくAirPods Pro 2用のイヤーチップをAirPods Pro 3に取り付けたりできると思われる。
だが、イヤフォンの音導管はAirPods Pro 2よりかなり長くなっていて、設計が変わっていることを思わせる。
イヤフォンには新たに心拍数センサーが内蔵されている。これはワークアウトが始まると機能する仕組みで、平常時にも心拍を測っているわけではない。Apple Watchの心拍数計測とは補完し合うようなものとなっており、両方を同時に使った場合にも、双方を組み合わせて計測結果が残る。
なお、Beatsの「Powerbeats Pro 2」も心拍計測に対応しているが、使われているセンサーは全く別のもので、アップルが独自に開発している。Powerbeats Pro 2はApple Watchなどと同じ可視光を使ったセンサーだが、AirPods Pro 3のセンサーは不可視光。なので、暗いところでつけて走っても耳から光が漏れることはない。
また、AirPods Pro 3と同時に「ライブ翻訳」機能が発表になった。
これは9月15日(日本ではおそらく16日)に公開されるiOS 26と組み合わせて使えるもので、Apple IntelligenceによるオンデバイスAI処理で実現される。
ライブ翻訳はiOS 26搭載のiPhoneとAirPodsを組み合わせて実現するもので、AirPods Pro 3だけでなく、AirPods 4とAirPods Pro 2でも利用可能になる。
二人で双方向通訳をする場合には、iPhoneとAirPodsをそれぞれ持っている必要がある。
衛星SOSに対応する「Apple Watch Ultra 3」
Apple Watchは「Apple Watch SE」「Apple Watch Series 11」「Apple Watch Ultra 3」が登場する。
特に注目はApple Watch Ultra 3だろうか。画面が明るくなったほか、衛星を使ったSOSにも対抗する。SOS対応はiPhoneと同じく、日本国内でも利用可能だ。
高血圧の検知機能も備えているが、医療機器認定に関わる許認可の関係から、日本ではまだ利用できない。いつから使えるのかという状況も見えていないので、アップルのリリースの中では、この機能については触れられていない。いわゆる血圧測定機能ではなく、動作の傾向から血圧が高くなったタイミングを通知する機能になるようだ。