プレイバック2014

レビュー後、個人的に買っちゃったソニー「SRS-X9」by 小寺信良

 筆者は週1で製品レビューをやっている事もあり、欲しいなー試してみたいなーという製品は、仕事としてメーカーさんから貸して貰えたりする。したがってある程度それで物欲が発散できてしまうところもあって、個人的はあれこれ買ったりしないほうである。

レビュー後に個人的に購入した、ソニーのハイレゾ対応ワイヤレススピーカー「SRS-X9」

 だが逆にレビューしたばっかりにどうしても欲しくなり、レビュー後に改めて自前購入するというパターンもたまにある。筆者的には“自爆”と呼んでいるが、今年は結構そのパターンが多く、日本の景気回復に大きく貢献してしまった。

 そんな自爆モノの中で今年一番稼働率が高かったのが、今年3月にレビューしたハイレゾ対応ワイヤレススピーカー「SRS-X9」である。仕事中は、正面に置いたこれで1日中音楽をかけているので、ウィークデーは毎日、土日に仕事があればその日もずっと稼働しており、ほぼ電源を落とすことがない。

 PCからはUSBで、MacからはAirPlayで繋がるため、いろんなソースをいちいち繋ぎ替える必要もなく、いつでも何でも鳴らすことができる。実は思ったほどハイレゾ音源は聴いておらず、もっぱらiTunes MatchやMusic Unlimitedなどのストリーミングサービスを利用しているが、それでもサウンドの素性の良さゆえに、満足度は非常に高い。

 実はSRS-X9を購入するまではヘッドフォン派だったので、ここ5年ほど、音楽リスニングの中心はヘッドフォンだった。だが購入以降は一気にスピーカー派へ転向である。

音が甦るスピーカー

 SRS-X9のサウンドのポイントは、ボリューム感とスピード感を両立させた低音だ。決して過多になることなく芯を主張する出方は、ある意味ヘッドフォンっぽいのだ。また上部に付けられたスーパーツイータのおかげで、頭の位置が動いてもサウンドのカラーが変わらないという点も、ヘッドフォンっぽいんである。

サウンドの要がこのパワフルなウーファ
上部にもスーパーツイータがあるのがポイント

 SRS-X9の難点は、スマホアプリの「SongPal」でMusic Unlimitedを使うと、プレイリスト再生時に途中でエラーして止まってしまう事だった。いったんエラーが発生すると、PINコードの入力からやり直しになるので、とてもじゃないが聴いていられない。これまでファームウェアやSongPalのアップデートもあったが、ずっと直らなかった。そこだけが「アホの子」であったため、あまり積極的には人には勧められなかったのだ。

 それが11月17日に行なわれたアップデートで、ついにちゃんとプレイリストが再生できるようになった。製品が発売されてから仕様通りに動くまで8カ月かかるってどうなのーと思うところもあるのが、まずはめでたく人様に勧められるようになったわけである。

 最近は執筆環境をMac miniに変更したこともあって、音楽再生ソフトを「Audirvana Plus 2.0」に変更した。するとこれまた相性がばっちりで、リアルタイムでハイレゾレベルにアプコンしながら再生してくれる。これまで聴いてきた自分のライブラリを、改めてもう一度聴き直しているところである。

Macでは定番のハイレゾプレーヤー「Audirvana Plus 2.0」

 ハイレゾに興味があっても、昔のアナログオーディオと違って、何がどうなってるのかよくわからない方も多いだろう。だからオールインワンのハイレゾ対応ウォークマンが売れたりしているわけだ。SRS-X9はそんな中、なんでも再生できる受け皿的な存在である。

 一般にはBluetoothスピーカーという認識かもしれないが、実際にはUSB/DLNA/AirPlay/Bluetooth/アナログ接続が可能なデジタルアンプ内蔵マルチソーススピーカーなんである。発売から9カ月、値段もこなれてきた頃だ。ご自分へのクリスマスプレゼントにいかがだろうか。

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ソニー
SRS-X9

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチボックス」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。