ディズニー、「“おうちシアター”プロジェクト」を開始

-BD/DVD楽しむ家庭の写真を募集。ライフスタイル提案へ


3月25日発表

 

 

 ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメントは25日、2009年度に発売を予定しているDVDやBlu-ray Discビデオのラインナップや、マーケティングプランなどを販売店向けに説明するコンベンションを都内で開催。作品のBDビデオ化を積極的に進めていく姿勢を強調すると共に、ライトユーザーにセルメディアを楽しむライフスタイルを訴求するなどの戦略を発表した。

 

塚越隆行日本代表

マーケティング エグゼクティブ・ディレクターの高橋雅美氏

 冒頭挨拶に立った塚越隆行日本代表は、現在のセルDVD/BD市場について「一部のコアユーザーに支えられている図式は変わらない。それは頼もしいことだが、今後は裾野を広げていくことが重要になる」と分析。そのためには「これまで作品単位で訴求をしてきたが、例えば“映画館で映画を観る”という行為が普通であるのと同じように、“家で映画を観る”、“家で映像を楽しむ”ことの魅力や楽しみをわかりやすく消費者の皆さんに提案することが必要」と提案。

 それを受けて、マーケティング エグゼクティブ・ディレクターの高橋雅美氏が新戦略「Disney@HOME Brings family together」を発表。「家庭内で“イベント”として、ディズニーのBD/DVDを楽しむというライフスタイルを提案する」(高橋氏)というもので、具体的には「ディズニー“おうちシアター”プロジェクト」と「ディズニーサマーキャンペーン」の2つのプロジェクトから構成される。

 「ディズニー“おうちシアター”プロジェクト」は、家でユーザーがBD/DVDを楽しんでいる様子を映像や写真で送ってもらい、優秀作品にプレゼントを贈るというもの。既にBD/DVDを家庭で楽しんでいる様子を広く世間に紹介することで、DVD/BDを購入/レンタルして楽しむというライフスタイルを送っていない人に、わかりやすく魅力を訴求。市場拡大に繋げるという。

 第1弾として4月22日~6月末まで「BD/DVDを観る時の我が家の“必須アイテム”」というテーマで映像/写真を募集。プレゼントとしてディズニーリゾートのチケットやBDプレーヤーなどを予定しているという。詳細は後日発表される予定だ。

 

新戦略の「Disney@HOME Brings family together」ディズニーのBD/DVDを家庭で楽しむことをイベントとして訴求。そうしたライフスタイルを実践していない人を取り込むプロジェクトになるというおうちシアタープロジェクト、第1弾の概要

 「ディズニーサマーキャンペーン」は7月17日~8月31日まで実施するもので、詳細は追って発表される予定だが、ディズニー作品の中から1枚購入すると、ミッキーのシルエットを用いた「Disney@HOME」のアイコン型風鈴が先着でプレゼントされるというもの。アイコンは夏を連想させるスイカ柄となっており、今後は季節などに合わせて様々なバージョンが作られ、店頭ディスプレイにも活用されるという。

 

Disney@HOME Brings family togetherのアイコン。ミッキーのシルエットを使っている同じアイコンを季節やイベントごとにデザインを変えて使用。これは夏バージョン先着プレゼントの風鈴。実際のデザインとは異なる可能性がある

 

日本テレビの豊田順子アナウンサーが司会を担当
 高橋氏は2~11歳の子供がいる家族を対象とした、DVD1枚当たりの鑑賞機会の調査結果を公開。他社作品を100%とした場合、ディズニー作品は日本で320%、米国で300%、英国で367%などの高い数字になっており「ディズニー作品は家庭で観賞する機会が圧倒的に多く、家族で楽しむコンテンツとして最適だ」と語った。

 プレゼンテーションでは、今後リリースされる新作タイトルの紹介も実施。既報の通り、4月3日には新作CG映画「ティンカー・ベル」がBD/DVD発売されるほか、5月20日には1940年に初公開された名作「ピノキオ」をデジタル・リマスターで高画質/高音質復活させた「ピノキオ プラチナ・エディション」もBD/DVD発売。BDとDVDをセットにした「ブルーレイ・プラス・DVDセット」もラインナップしているのが特徴となる。ほかにも、既発表のものだが、スタジオジブリ作品のBD/DVDも紹介された。

 

ピノキオ プラチナ・エディションは5月20日にBD/DVD発売5月20日からはピノキオの発売を記念したキャンペーンも実施。ピノキオに加え、プラチナ関連作品の中から1作を購入して応募すると、ピノキオのダイヤモンド・チャームが当たる同じく5月20日にBD/DVD発売される「鉄ワン・アンダードッグ」。スーパーパワーを手に入れたビーグル犬がスーパーマン顔負けの活躍をするという、楽しくて可愛い作品だ
絵コンテから、宮崎アニメの舞台となった場所を探し、紹介するBSの番組がBD/DVD化ジブリの鈴木プロデューサーがパーソナリティーを務めるラジオ番組をDVD化したもの。映像を静止画にするなどの工夫で40時間以上の音声を収めているのが特徴「動物農場」は、ジョージ・オーウェルの小説をジョン・ハラス、ジョイ・バッチェラーがアニメ化した'54年の作品。三鷹の森 ジブリ美術館 ライブラリーの作品として6月10日にDVD化される

 

セールス エグゼクティブ・ディレクターの山内康裕氏
 セールス エグゼクティブ・ディレクターの山内康裕氏は最後に、現在のBDビデオ市場について「視聴環境は増加しているが、ハードの出荷台数にソフトの売り上げの伸びがついて行ってない。ユーザーは録画に使うだけで、BDソフトを観賞していない。“家庭で高画質ソフトを楽しむこと”そのものを、もっと訴求する必要がある」と問題点を分析。

 さらに、「ディズニーではできる限りのタイトルをBDビデオ化していくと共に、高画質や楽しさなど、その優位性の訴求に努める。現時点ではビジネスへの貢献度の高い商材とは言えないかもしれないが、戦略的に取り組むべきアイテムと考えていただきたい。取り扱っていない店舗では小規模でも販売の開始を、取り扱っている所ではさらなる取り組みの強化をお願いしたい」と、BD市場拡大に向け、ディーラーにも協力を求めた。


 


(2009年 3月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]