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パナソニック、第1四半期は純利益63.5%減の217億円。TV事業は30億円の黒字

 パナソニックは、2016年度第1四半期(2016年4月~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5.9%減の1兆7,485億円、営業利益は12.6%減の669億円、税引前利益は19.0%減の588億円、当期純利益は63.5%減の217億円となった。

2016年度第1四半期(2016年4月~6月)の連結業績

 河井英明代表取締役専務は、「為替影響を除く実質ベースでは、米国会計基準で前年同期比1%増となり、2014年第1四半期以来、8四半期ぶりに増収に転じた。国内やアジアでの白物家電の販売が好調だったこと、ハスマンの連結化などが貢献した。だが、営業利益は、将来の成長に向けた先行投資を実施したこともあり、固定費が増加し、減益となった。固定費の101億円のうち、大部分が先行投資によるもの。車載、住宅、BtoBといった分野において人員増加や先行開発に取り組んでいる。急激な円高の進行の影響は、合理化でカバーできた。為替をはじめとして、取り巻く事業環境は不透明感があるが、2016年度は足場固めの年であることには変わらない。成長の仕込みに向けた施策を実行していく」と総括した。

 第1四半期における熊本地震の業績への影響は、売上高でマイナス100億円、営業利益で30億円とした。

代表取締役専務(経理・財務担当)の河井英明氏

テレビ事業は30億円の黒字

 セグメント別(IFRSベース)では、アプライアンスの売上高が前年比2%増の6,720億円、セグメント営業利益は189億円増の423億円となった。為替影響を除く売り上げ成長は7%増になるという。

 テレビ事業は、売上高は前年同期比51億円減の766億円、事業部利益は57億円増の30億円の黒字となった。

 「テレビ事業は第1四半期も黒字化した。4Kテレビを中心に高付加価値製品にシフト。テレビ事業の収益力がついてきている。この収益性を維持して、年間を通じて黒字化できると考えている」と述べた。

テレビ事業部・大規模6事業の業績

家電好調も、ソーラーが販売減

 エアコン事業の売上高は前年同期比4%減の1,551億円、食品流通事業が84%増の722億円、スモール・ビルトイン事業が2%減の974億円、メジャー事業は2%減の1,198億円、AV事業は4%減の1,076億円となった。

アプライアンス

 「前年に引き続き、国内とアジアの家電が牽引。これらの市場で高付加価値の製品による増販益もあった。エアコンは中国市場での実需低迷影響を日本、アジアでカバー。スモール・ビルトイン事業では、美容を中心として、日本、海外での増販が貢献。メジャーアプライアンスでは、日本におけるドラム式洗濯機の販売が牽引。アジアでも猛暑の影響もあり、冷蔵庫や洗濯機などの販売が好調である」とした。

 AVCネットワークスの売上高は、前年同期比9%減の2,499億円、セグメント利益は70億円増の129億円。「コミュニケーション事業の苦戦や熊本地震の影響はあったものの、モビリティでは、米国での販売体制建て直しや、国内での販売が好調。映像・イメージングは、一部製品で熊本地震の影響を受けたものの、高輝度プロジェクターや4Kカメラなどの商品が好調」とした。

セグメント別の業績

 さらに、リオオリンピックへの取り組みとしては、開会式や閉会式のプロジェクションマッピングシステム、放送機器、大型LED、映像監視システムを納入していることなどを挙げた。

 エコソリューションズは、売上高が4%減の3,502億円、セグメント営業利益が47億円減の50億円。実質売上高は1%減だという。「ソーラーの販売減が大きく影響した」という。国内でのソーラー事業の低迷は今後も続くと予想しており、今年度の550MWのうち、国内450MW、海外100MWとしているが、海外への拡販を強化していく姿勢をみせた。現在停止中の二色ノ浜の生産拠点は今年度中の生産再開を予定していたが、来年度中になる可能性があるとした。

エコソリューションズ

 オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が11%減の6,174億円、営業利益は160億円減の182億円となった。実質売上高は3%減だという。「オートモーティブは、米国、欧州、中国などの車両販売の好調の影響を受けて増収になったが、為替影響に加えて、インダストリアル事業の販売が減少。一方で、車載向け先行投資が増加した」としている。

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ

 また、テスラとの提携により推進している車載電池生産のギガファクトリーへの投資を前倒しすることを発表した。同社では、7月29日付けで、普通社債の発行を発表しており、これで得た資金を活用する。「財務面からも成長戦略をサポートし、将来の利益成長を目指す」とした。

 2015年度の地域別売上高は、円ベース換算では、国内が前年比2%減の8,046億円。海外は、前年比9%減の9,439億円。そのうち米州が前年並の3,065億円、欧州が4%減の1,637億円、中国が19%減の2,131億円、アジアが10%減の2,606億円となった。

 「日本は家電が好調だったが、ソーラーが販売減となった。米州は車載関連やパソコンの増販に加えて、ハスマンの新規連結により増収。欧州はエアコンが堅調であり、アジアは家電が成長。中国はエアコンおよびデバイス関連で苦戦した」という。