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ヤマハ、WAVやMP3も再生できる自動演奏対応ピアノ「ENSPIRE」。153万円〜

 ヤマハは、アコースティックピアノの新製品として、自動演奏機能付きの「Disklavier ENSPIRE(ディスクラビア エンスパイア)」シリーズ16製品を12月20日より発売する。WAVファイルの再生など、リスニング機能を充実させ、“大人の趣味層”や“リスニング系リッチ層”をターゲットに展開。価格はアップライトピアノ「YUS1ENST」が153万円。グランドピアノの「C1X-ENST」が281万円、最上位の「C7X-ENPRO」が480万円など。

Disklavier ENSPIRE(ディスクラビア エンスパイア)シリーズ

 MIDI形式の自動演奏コンテンツに対応したアコースティックピアノで、アップライトピアノ9製品、グランドピアノ7製品をラインナップ。鍵盤下部に自動演奏ユニット「ENSPIRE」を搭載。独自のデジタル制御システムにより、鍵盤やペダルの動きを正確に再現できるという。上位モデルの「ENSPIRE PRO」では、弱いタッチの連打を高精度に再生できる、世界初の「ハンマーセンサーフィードバック」技術も搭載。より繊細な音の表現を可能とした。なお、ピアノ本体はいずれもヤマハの既存機種となる。

自動演奏のデモの様子。鍵盤下部に「ENSPIRE」を搭載
自動演奏ユニットを小型化してピアノと一体化させた
ピアノ下部

 内蔵音源として、ポップスやジャズ、クラシックなど、計10ジャンル500曲の自動演奏用データやアンサンブル伴奏データ(XG音源)を搭載。ピアノ音源は、同社のピアノ「CFX」の音をバイノーラルサンプリング方式で収録したデータを用いている。

 ピアノ本体にEthernetを備え、宅内ネットワークに接続すると、iOS/Andorid用のスマートフォン/タブレット用アプリ「ENSPIRE Controller」(無料)から楽曲・演奏開始操作が行なえる。

スマートフォン/タブレット用アプリ「ENSPIRE Controller」

 アプリ内のWebブラウザを介し、ピアノの内蔵音源を選んでプレイリストを作り、自動再生可能。同梱のUSB無線LANアダプタ「UD-WL01」を接続することで、ネットワーク経由や、ダイレクト接続のワイヤレス操作も行なえる。

アプリの画面

 さらに、WAVやMP3フォーマットのオーディオ音源再生機能を、ヤマハのピアノとして初めて搭載した。CDのリッピング音源など、自分で用意したWAV・MP3データが再生できる。ただし、ピアノの自動演奏はできない。ピアノ音以外のパートの再生には、別売のアンプとスピーカー、またはアクティブスピーカーが必要。いずれもピアノとAUX接続することで再生可能になる。

 これとは別に、ピアノの自動演奏とサラ・マクラクラン、ボブ・ジェームス、ジェイミー・カラムといった著名アーティストのボーカルや、ヴァイオリンやチェロのようなアコースティック楽器の音を同期させたオーディオ音源を内蔵している。

サラ・マクラクランら著名アーティストの生音源を収めている

 楽曲データはWebサイト「ヤマハミュージックデータショップ」から追加購入して、USBメモリを介して再生することもできる。

ヤマハミュージックデータショップから楽曲の追加購入が可能

 ピアノの外装は特注で変更可能。アップライトピアノはホワイト、グランドピアノはウォルナット/マホガニー/ホワイトを用意する。ただしグランドピアノ「C2XCP-ENST」は外装変更はできない。

ラインナップと価格の一覧

リスニングユース向けに訴求。エルトン・ジョン映像との同期デモも

 製品発表会では、ヤマハミュージックジャパン 楽器営業本部 マーケティング部 ピアノ・EKB課 アシスタントマネージャーの森本弘史氏が、Disklavier ENSPIREシリーズのマーケティングについて説明。「従来のピアノは、ピアノ練習を行なう子どもやその指導者らを中心とした教育マーケットを中心に展開してきた。新製品では、それに加えて『大人の趣味層』や『リスニング系リッチ層』もターゲットとし、リスニングユースへの訴求を拡大する。都会の一室で、ヤマハのオーディオ機器と組み合わせて音楽を楽しむキービジュアルを用意し、『私のライブハウスはリビングにある』をキャッチコピーとして展開していく」とした。

Disklavier ENSPIREシリーズのキービジュアル
『大人の趣味層』や『リスニング系リッチ層』もターゲットに展開

 製品シリーズ名の「ENSPIRE」のネーミングは「Engineering(工学)」と「inspire(鼓舞する、ひらめきを与える)」を組み合わせた造語で、ヤマハの技術力に対する自信や、新ピアノに触発されて感動が生まれることを期待して名付けたという。

 新ピアノの活用方法として、ヤマハのワイヤレスネットワークオーディオ「MusicCast」対応アンプとの接続も提案。アンプの外部入力に接続し、リビングやキッチンなど屋内のさまざまな部屋で、自動演奏のピアノ楽曲を楽しめるという。ホテルのロビーに設置したピアノの演奏を離れた場所でも聴けるようにするなど、業務利用も視野にいれている。

 なお、ヤマハミュージックメディアでは8月から、音楽配信サービス「mysound」において、ハイレゾ楽曲配信を開始しているが、新ピアノはハイレゾ再生には対応していない。今後の連携については検討しているという。

ヤマハの「MusicCast」対応アンプとの接続も提案

 エルトン・ジョン「Your Song」のライブ映像と、新ピアノの自動演奏を同期させる特別デモも実施。今回の製品発表に合わせて自動演奏用のMIDIデータを用意し、BDプレーヤーからの映像と同期させたもので、実際にライブハウスで演奏を聴いているような感覚で楽しめた。

エルトン・ジョン「Your Song」のライブ映像と新ピアノの自動演奏を同期させたデモ