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成長の鍵はコア技術と新市場創出。エプソンがビジュアル事業戦略説明
2016年10月12日 09:20
セイコーエプソンは11日、プロジェクタを中心としたビジュアルコミュニケーション事業戦略説明会を開催。高光束モデル対応強化などプロジェクタの事業展開や、MOVERIO「BT-300」などのスマートアイウェアなどによる成長戦略を説明した。
執行役員 ビジュアルプロダクツ事業部長の渡辺潤一氏は「エプソンは、プロジェクタ市場でトップランナーを担い、プレゼンテーション文化を創出した」と切り出し、同社の初代液晶プロジェクタ「VPJ-700」以降、ビジネス、リビング、シアター、短焦点など様々な用途提案と、市場拡大に合わせた商品ポートフォリオを構築してきたことを説明。販売数量は右肩上がりで、累計販売台数は2,000万台を突破。近年は超/短焦点を重点的に拡大しており、500ルーメン以上のプロジェクタ市場で33%のトップシェアを獲得しているという。
エプソンの強みは、「強みを持つ独創のコアデバイスと、垂直統合のビジネスモデル」と説明し、高温ポリシリコンTFTパネル(HTPS)の自社開発や、光学系部品ユニットの開発力や設計力、製造技術などの強みを紹介。色表現力など、DLP方式に対する3LCD方式のアドバンテージやタッチパネルによるインタラクティブ機能、マルチ投写での色自動補正などの付加機能をアピールした。
自社でプロジェクタ本体も開発しているため、液晶パネルのデバイス開発にいち早くフィードバックでき、また、最新技術をプロジェクタ製品の差別化に利用できるという利点も強調。内製化によるコスト競争力の向上や、品質の安定性、プラットフォーム化による高効率化なども特徴という。中期的な需要増に対応するため、生産拠点も拡大。2017年春にはフィリピンに組み立ての新工場を本格稼働する。
製品タイプでは、5,000ルーメン以上の「高光束」タイプを強化。また、日本や北米市場に対し、中国や欧州でのシェアが低いが、両地域に「成長のポテンシャルがある」として、対応を強化していく。中国においては、AV機器やレンタルディーラーなどのチャンネル開拓や教育向けのインタラクティブプロジェクタの拡販を予定。欧州・中東・アフリカは高光束モデルの販売強化や、新興国の販売体制整備などを続ける。
注力する高光束プロジェクタについては、(HTPSの)無機素材やレーザー光源による長期信頼性の確保や、高光束化と小型化の両立、低消費電力化などにより差別化。さらに、空間演出プロジェクタやサイネージなどの新市場創出も予定しており、リビングでの空間演出や、店舗でショーウィンドウに別映像をオーバレイする空間演出などの事例を紹介した。
自社開発のシリコンOLED(有機EL)による最新のヘッドマウントディスプレイ「BT-300」などのスマートアイウェアも強化。いつでもどこでもディスプレイを使えるほか、シースルーかつハンズフリーという特徴を活かし、映画体験や博物館での展示、ドローンの操作など民生/業務の双方での需要創出を計画。産業向けの展開も予定している。
2018年度のビジュアルコミュニケーション事業売上目標は2,000億円で、利益率10%以上を目指す(2016年度予想は売上高1,730億円、事業利益150億円)。指標としては、プロジェクタの売上が2015年度(約240万台)比で20%増、1万ルーメン以上の高光束モデルシェアは'15年度比倍増の20%を目指す。また、'18年度には、スマートアイウェアならではの市場を創出するとしている。