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Spotifyが全ユーザー開放。世界最大の音楽配信が日本本格展開。対応デバイス100以上

 音楽ストリーミングサービスのSpotifyは10日、日本でのサービスを一般公開。これまで「エントリー制」で、メール登録者限定の招待制としていたが、誰でもSpotifyを利用可能となった。

 Spotifyは、世界最大級のストリーミング音楽サービスで、有料のプレミアムプランに加え、広告付きながら無料で使える「フリープラン」を用意している点が特徴。9月29日から限定的に日本でサービス開始していたが、11月10日から本格展開とし、だれでも利用可能になる。また、Spotify Connectによる100以上のWi-Fiオーディオ対応や、音楽認識アプリ「Shazam」やTwitterオーディオカード対応などの強化も図られている。

100以上のデバイスが「Spotify Connect」対応

 Spotifyは、アクティブユーザーは全世界で1億人以上、有料会員が4,000万人を超える世界最大級の音楽配信サービス。月額980円のプレミアムプラン(Spotify Premium)と、広告付き無料プラン(Spotify Free)を用意する。対応デバイスは、iOS、Androidと、パソコン(Windows、Mac)、PlayStation 4/3。

Spotifyの対応デバイス

 10日からは、「Spotify Connect」搭載のWi-Fi(無線LAN)対応オーディオ機器に対応。スマホ等のSpotifyアプリから、テレビやゲーム機、PC、自動車、Wi-Fiスピーカーなどにワイヤレスでオーディオ出力できる機能で、PS4/PS3のほか、オンキヨーやソニー、テクニクス、デノン、パイオニア、パナソニック、BOSE、マランツ、ヤマハ、Google Chromecast、Amazon Fire TV/Fire TV Stick、BMW、MINI、ボルボなどの100種類以上のデバイスが対応する。対応デバイスの詳細については別記事で紹介する

Spotify Connectで各社のスピーカーや自動車に対応
ヤマハ「WXA-50」などがSpotify Connectに対応
自動車でもSpotify

 Spotify Connect対応スピーカーでは、Wi-Fi経由でSpotifyのサーバーからオーディオデータを受信できる。スマホやPCのSpotifyアプリは選曲や操作用のリモコンとして用いるが、オーディオデータはスマホを介さずに直接スピーカーが受信、出力するため、シンプルに操作できるという。

 スポティファイジャパンの玉木一郎代表取締役は、Spotify Connectにより、「いつでもどこでも、好きな曲を楽しめる」と各社とのパートナーシップを強調。ボーズのピエール・ペルラン代表取締役社長は、Wi-Fi/Bluetoothスピーカー「SoundTouch 10」(27,000円)を例にあげ、「ボーズが目指すシンプルで革新的な音楽体験がSpotifyとの連携により実現できた」とアピールした。

ボーズのピエール・ペルラン代表取締役社長
SoundTouch 10

 また、ゲーム対応もSpotifyの特徴で、PlayStation 3/4上では、PlayStaton Musicとして機能が統合されており、ゲームプレイしながら、操作やBGMを楽しめる。ソニー・インタラクティブエンタテインメント Japan Asia Vice Presidentの塚嵜英史氏は、「音楽を聞きながらゲームができる。PlayStationならではのゲーム体験を届けられる」とアピールした。

SIEの塚嵜氏(左)とスポティファイジャパン玉木氏(右)
ゲームプレイしながらSpotify

Shazamと連携。Twitetrオーディオカード対応も

 さらに10日からは、音楽認識サービス「Shazam」とのパートナーシップも締結。Shazamは、店のBGMなどの音楽をスマートフォンのマイクで集音し、楽曲名やアーティストを検索してくれるサービス。アプリは10億ダウンロードを超えている。このShazamアプリで見つけた曲を、そのままアプリ上でSpotifyを通じてフル楽曲を視聴したり、Spotifyのプレイリストに楽曲追加できる。

Shazamアプリで曲を見つけて、Spotifyから再生

 ソーシャルメディア連携も強化。Twitterで“シェア”した楽曲を「Twitterオーディオカード」として表示され、Spotifyを立ち上げることなく音楽を30秒試聴可能となった。Twitterオーデイオカードから、アイコンをクリックしてSpotifyを立ち上げれば、フル楽曲を楽しめる。Facebookにおいては、好きな曲やアルバム、プレイリストをFacebookのプロフィールページにアップロードできるほか、Facebook Messengerを通じて直接友人に送ることもできる。

TwitterオーディオカードにSpotifyの音楽をシェア

6週間は「学習期間」。日本のユーザーを学び、本格展開

 Spotifyのフリープランは、広告付きの無料音楽配信サービス。ストリーミング中の曲と曲の間に15~30秒の音声広告が挿入されるほか、アプリ上にもバナー広告を表示。また、スマホではシャッフルモードのみで、アーティスト、アルバム、プレイリストを選んで再生できるが、楽曲を指定できない「ラジオステーション」型となる。

 プレミアムプランは、月額980円で広告は一切入らない。ビットレートは320kbpsとなり、好きな音楽を好きな順番で聞ける「オンデマンド」再生は、端末、時間ともに無制限。端末への楽曲ダウンロード(オフライン再生)にも対応し、通信回線が無い環境でも音楽を楽しめる。1カ月間の無料体験も可能。

プランPremiumFree
料金980円無料
広告無しあり
オフライン再生-
音質設定最高320kbps不可
オンデマンド
(PC、タブレット)
(30日で15時間制限)

 決済方法は、クレジットカードや通信キャリア(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)、一部コンビニエンスストア、Pay-easy、提携銀行でのオンラインバンキング、Sony Entertainment Networkアカウントのウォレット。

 スポティファイジャパンの玉木一郎代表取締役は、9月29日のサービス開始以来、約6週間の日本市場の動向について説明。「4,000万以上の楽曲を、誰もが自由に利用できる。それがSpotifyの魅力。また、膨大な楽曲と、プレイリストやレコメンデーションで、好みの楽曲を見つけられるのもSpotifyの特徴。全世界では多くのデータを持っているが、日本でのユーザーの好みはまだわからなかった。この6週間は日本のユーザーや楽曲の好みを学習し、レコメンデーションアルゴリズムを日本にあわせて鍛える期間だったが、ソーシャルでも良い反応を得られるようになった」と説明。日本のユーザーの嗜好を学習できたことから、本格展開に移行した。

スポティファイジャパン 玉木一郎代表取締役

 ユーザー獲得においては、「アーティストとのつながり」を重視。Spotifyへの登録も、BABY METALなどのアーティストやDJ TAROなどのインフルエンサーがソーシャルメディアなど直接招待コードを発行し、音楽が好きな人が集まれるよう取り組むとともに、ソーシャル上での拡散を狙ったという。

 また、日本における楽曲再生の1/3はプレイリストからで、気分やシーンに応じて音楽が選ばれているほか、ゲーム関連のプレイリストも人気。加えて、Vickeblankaなど、Spotify経由で人気を集めたアーティストも増えており、また、RADWIMPSの野田氏による「illon」は、最初にノルウェイで注目され、それをUKのキュレーターが紹介することで、再生回数が50万回を超えるなど、「日本のアーティストが世界で発見される」動きも出ているとする。