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YouTube、子供向けアプリ「YouTube Kids」日本展開。人気絵本“おしりたんてい”アニメ化

 Googleは31日、子供向けのYouTube視聴アプリ「YouTube Kids」を日本向けに提供開始した。iOS/Android向けアプリを用意しており、無料で利用できる。YouTubeにアップロードされている動画から、子供やその保護者が安心して楽しめるコンテンツを自動でフィルタして選定している。現在28国で展開し、7言語に対応している。

「YouTube Kids」を紹介するYouTubeグローバルFamily & Learningコンテンツディレクターのマリーク デュカード氏

 子供達が動画を簡単に探せるように、アプリ内には「アニメ・ドラマ」、「おんがく」、「まなぶ」、「はっけん」の4カテゴリを用意。各カテゴリのコンテンツ数は公開されていない。

「YouTube Kids」の画面イメージ

 複雑な機能は省かれており、UIのデザインもアイコンは大きく、わかりやすいものを採用。文字入力での検索も可能だが、音声検索機能も備え、音声での動画検索も可能。選んだ動画は自動的に全画面表示される。

アプリ内には「アニメ・ドラマ」、「おんがく」、「まなぶ」、「はっけん」の4カテゴリを用意
音声検索画面

 家族で楽しみたい時は、Chromecastやゲーム機、スマートテレビを使って大画面で視聴する事も可能。

 視聴できるのはセサミ ストリート、ひつじのショーン、妖怪ウォッチ、ポケットモンスター、プリキュアなどのアニメや、昔ばなしや絵本の読み聞かせ、歌や乗り物、工作、ゲームなど。視聴に適さないと思われる動画が見つかった場合、プレーヤーのアイコンから報告できる。

 保護者が、子供の視聴体験を管理する機能も用意。タイマー機能は、視聴時間を管理するもので、例えば30分を経過するとアプリをロックできる。アプリを起動しなおしても解除しない限りロックは継続する。

アプリがロックされた画面

 視聴体験の範囲も設定可能。検索設定をOFFにすると、新しいコンテンツを検索できなくなるが、アプリによって選ばれたホーム画面の動画と、その視聴に基づいたおすすめの動画が視聴できる。これらの制限機能や設定を行なうための、カスタムパスコードも設定可能。

カスタムパスコード入力画面

子供向けコンテンツが集まるYouTube

 日々大量の動画がアップロードされるYouTubeだが、その中でも子供向けのコンテンツは急激にコンテンツ数が増えているジャンルの1つだという。

 発表会には、そうしたコンテンツパートナーチャンネルとして、講談社のキッズボンボン、小学館のコロコロチャンネル、ベネッセコーポレーション しまじろうチャンネル、東映アニメーション、さらに子供達を中心とした動画を作り、世界的な人気を集めるKan & Aki'sチャンネルの代表者も登壇した。

 この中で、コロコロチャンネルはコロコロコミックの40周年を記念し、アニメを作り、7月15日朝8時にYouTube Kidsで公開する計画を発表。コロコロコミックのまこ殿、こと和田誠編集長は内容について、「100%パスカル先生という連載のキャラクターが学校の先生なので、その教室に、コロコロのキャラクター達が皆集まってドタバタを繰り広げる作品になる」と説明。

コロコロコミックの40周年を記念し、アニメを作り、7月15日朝8時にYouTube Kidsで公開
右からコロコロコミックのまこ殿、こと和田誠編集長、講談社 第三事業局 動画事業チームの安永尚人編集長

 和田編集長は、コロコロのチャンネルをYouTubeに立ち上げた経緯として、「今から6、7年ほど前から“YouTubeで子供たちが動画を見ているらしい”という情報は得ていた。勢いがあり、“(このままでは)コロコロまずいのではないか”と話していた。しかし、一緒にやった方が、きっといい事があるのではと考え、コロコロチャンネルを立ち上げた。雑誌の企画を動画で見せる事で、より楽しく、今では連載漫画のテレビアニメの見逃し配信も行なっている。視聴回数も増え、雑誌の売上げアップにもつながっている」という。

 東映アニメーション 企画制作本部の鷲尾天テレビ企画部長 兼 映画室長は、現在子供達から高い人気を集める絵本「おしりたんてい」をアニメ化する事を発表。既にYouTubeで予告編を公開している。テレビアニメになるのか、映画になるのかといった、今後の展開についてはまだ検討中とのこと。「おしりたんていは大変に人気。アニメを作ってみたので、皆さんに見ていただきたいとYouTubeに公開した。子供達にハードルは無く、面白いと思えばスポーツでも漫画でもアニメでもどんなところにも飛び込むもの。YouTubeの力を借りて、チャレンジしたい」と語った。

東映アニメーション 企画制作本部の鷲尾天テレビ企画部長 兼 映画室長
おしりたんてい

 講談社 第三事業局 動画事業チームの安永尚人編集長は「キッズボンボン」について、「子供に見せたい、子供が見たいという内容をテーマにコンテンツを用意している。絵本の読み聞かせ動画などがメイン。絵本については、(読み聞かせで絵本の最後まで内容を動画化してしまうのは)大丈夫なの? という議論は社内でもあったが、途中で止めると、単なる絵本のプロモーション動画になってしまう。製作者の方々からの“途中で止めるのではなく、絵本は最後まで見て欲しい”という後押しもあり、最後まで全て見せる形で展開している」と説明。

キッズボンボン

 子供達が遊ぶ様子や、踊りにチャレンジする様子、嫌いな歯磨きが好きになるように作った歌など、アットホームな動画が人気を集め、家族の計4チャンネルで、合計53億回の再生数を誇るKan & Aki'sチャンネル。そのお父さんであるパポ氏は、「長女に歯磨きをさせるのに苦労していたママ、その苦労をなんとかしたいという思いで“はみがきのうた”が生まれた。今後もありのまま、そのままで、そして、少しでもためになるような形にしていきたい」と、コンテンツ作りのスタンスを語った。

Kan & Aki'sチャンネルのお父さん、パポ氏

 YouTubeグローバルFamily & Learningコンテンツディレクターのマリーク デュカード氏は、「今の子供達はボーダー的なものを感じない。地理的な枠組みを越え、そしてモバイルスクリーン、タブレット、テレビからもシームレスに移動できる。好奇心が強く、学びたがる。スワイプやピンチ、タップも使いこなす。そうした子供たちの学びを助ける、使いやすい環境を、YouTube Kidsで提供したい」と説明。海外では既に展開していたものだが、「言語とコンテンツが、その国にふさわしいものになるよう、じっくり時間を費やしてきた。今回のアプリも日本の市場にマッチするよう、開発した」という。

キャラクター達と出会えて大喜びのマリーク デュカード氏
最後は全員で記念撮影