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有楽町に2つの新しい星空。複合ドーム施設「プラネタリア TOKYO」を観た

東京・有楽町の「有楽町マリオン」に12月19日、「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」がオープンする。報道関係者向けに事前公開され、2つのドーム施設の内装や上映作品が披露された。

コニカミノルタプラネタリア TOKYO

プラネタリア TOKYOは、日本初のツインドーム施設で、シネコンなどのように複数用意されたプラネタリウム番組の中から観たい作品が選べる。8Kの高解像度ドーム映像を映す「多目的デジタルドームシアター」(DOME1)と、最新のコニカミノルタ製プラネタリウム機器、立体音響システム「SOUND DOME」を導入した「プラネタリウムドームシアター」(DOME2)を併設する。

多目的デジタルドームシアター(DOME1)の上映イメージ
"プラネタリウムドームシアター"(DOME2)の場内。手前の丸い席は特別料金の「銀河シート」

2つのドームに加え、コニカミノルタが展開する体験型VRアトラクション「VirtuaLink」も登場。最新コンテンツ「NIGHT CRUISING」を体験できる。

プラネタリア TOKYOの館内配置
プラネタリア TOKYOのエントランス

場所は、有楽町マリオン(千代田区有楽町2-5-1)の9階で、旧「TOHOシネマズ 日劇」跡にオープン。料金はプログラムによって異なり、一例として、DOME1で上映する「LIVE ACT PLANETARIA 1st. ACT」は大人(中学生以上)が2,500円、子ども(4歳以上)が1,500円。

有楽町マリオンの館内マップ。プラネタリア TOKYOは隣接するシアター「丸の内ピカデリー1・2」と同じ、9階フロアに入る

プラネタリウム×演劇に星空生解説、新感覚の「DOME1」

DOME1は「フューチャー(未来)」をコンセプトに、最大8K解像度のドーム映像とデジタルプラネタリウムの星々を映す投写システムを導入。計7台の全天周映像用レーザープロジェクターと、16:9のプレゼンテーション用プロジェクター1台を使い、全天周映像作品のほか、映像とコラボレーションした音楽ライブ、インタラクティブコンテンツ、その他各種パフォーマンスなどの実施を予定しており、「プラネタリウムという枠組みにとらわれない、新たなドーム映像体験を提供する」という。

普通のプラネタリウムのように投影機が中央に置かれているわけではなく、さながら広大なドーム型シアターといった装いだ。

DOME1の内部

最大の特徴は、部屋全体を包み込むように映像を投映し、今までにない没入感で高解像度ドーム映像を体験できること。通常のプラネタリウムは周囲を取り巻く壁を使わず、上部の白いドームで星空や180度全天周映像を映す。しかしDOME1では、直径15mのドーム内すべて、壁も足下まで使い、210度の全天周映像を投写できる。

ドーム映像を投写したところ
デジタルプラネタリウムの星々

プロジェクター映像はすべてドームに四角く開けられた小窓から投写する。音声は22.2chサラウンド。舞台照明としてムービングスポットライトも各所に配置する。

定員は最大237名。アウトドアチェアを使ったチェア席と、床に置かれたビーズクッションに座るクッション席の2種類を用意する。座席は固定ではなく、プログラム内容に応じて配置パターンを変えられる。このため、パフォーマンス用に広いスペースを確保したり、座席を取り払ってスタンディング参加するといったことも可能。

全天周映像投写用のプロジェクターが小窓の奥に設置されている

床に埋め込まれたフルカラーLEDは、消防法に基づく誘導灯としての役目もあるが、上映中にカラフルに光らせて演色効果を狙うなど、従来のプラネタリウムとは異なる仕掛けが随所に仕込まれている。

床に埋め込まれたフルカラーLED

DOME1でオープン時に上映される作品のひとつ、「LIVE ACT PLANETARIA 1st. ACT “星にねがう夢”」を観た。若いアクターが公演ごとに交代で主役を務め、演劇やライブパフォーマンスと星空生解説を組み合わせた、インタラクティブなプラネタリウム作品だ。

LIVE ACT PLANETARIA 1st. ACT “星にねがう夢”
出演するアクターによる、冬の星空生解説

映像はひと言で言うとクリアで綺麗。上映前は壁のドアや通風口、プロジェクター用の小窓に映像がかかることで、それらの存在感が目立つ気がしたが、いざ上映が始まると、繊細な星空や映像の大きな動き、そして出演のアクターに注目するため、思ったほど気にならない。

出演するアクターたちは、それぞれ違ったバックグランドや夢を持った若者たち。彼らの“夢”とともに語られるストーリーの中で星空解説を楽しめる。公演毎に男女のアクターが入れ替わり、映像は共通だがアクターによってストーリー展開に差異が生まれるという。来場者とアクターが掛け合いを楽しむパートもあり、既存の星空生解説プログラムから、解説員が“歌って踊れるお兄さん・お姉さん”に進化した印象を受けた。

DOME1ではこのほか、全天周アニメーション作品「ノーマン・ザ・スノーマン~北の国のオーロラ~」や、生演奏を聴きながら飲食も楽しめるプログラム「LIVE in the COLORS -w/Piano session-」などを順次提供予定。

なお、DOME1に通じるホワイエエリアは、「流れ星のランタン -流れ星に願いを届けよう」と名付けられた空間になっている。全長12mの壁面スクリーンに投写されるQRコードを手持ちのスマートフォンで読み込んで“願い”を送ると、サーバー内に一時的に保存され、流星観測システムが本物の流れ星を検知した瞬間に“願い”を、スクリーン上でランタンと一緒に打ち上げる。バスキュールが開発したリアルタイム流星観測システム「Meteor Broadcaster」を使っている。

「流れ星のランタン -流れ星に願いを届けよう」

光学式プラネタリウム/4K上映/43.4ch音響の「DOME2」

DOME2は、高輝度LED光源を搭載した光学式プラネタリウム「Cosmo Leap Σ」(コスモリープシグマ)を導入。「レガシー」をコンセプトに、伝統的なプラネタリウムとして、星空を中心とした様々な作品を上映する。

DOME2の光学式プラネタリウム「Cosmo Leap Σ」

臨場感や没入感の高い、最大4Kのデジタルドーム映像を投写するレーザープロジェクター2台と、43.4ch音響の「SOUND DOME」を導入。

全天周映像用のプロジェクター
DOME2の試写の様子

SOUND DOMEは、ドーム裏側に配置された43個のスピーカーと4個のウーファーで構成し、前後左右に加え上下や回転といったきめ細かな音像移動を表現する。東京スカイツリーの「プラネタリウム“天空”」で導入しており、新たに有楽町でも採用した。

SOUND DOMEシステムのスピーカー配置のイメージ

ドームの直径は17m、定員は最大170名。シート配列は傾斜型タイプで、シート脇にはインバウンド旅行者向けの多言語音声再生システムとイヤフォンジャックを内蔵。日本語/英語/中国語/韓国語に対応し、来場者は館内で提供されるイヤフォンのほか、手持ちのイヤフォンを挿して利用できる。料金は大人(中学生以上)が1,600〜1,800円、子ども(4歳以上)が1,000円(プログラムによって異なる)。

前列にはプレミアムシート「銀河シート」を導入。“きらめく銀河につつまれる新体験”をコンセプトにした西陣織の生地を採用しており、椅子やソファの特注家具の製作などを行なうミネルバが製作。上記の多言語音声再生システムも内蔵する。二人用とシングルの二種類を用意し、利用料金はペアが1シート2名(小学生以上)で4,200〜4,600円、シングルが2,100〜2,300円(プログラムによって異なる)。

DOME2のオープニング作品は2つ。ひとつは「宇宙」をテーマにオーケストラ編成による壮大なサウンドスケープを楽しめる「To the GRAND UNIVERSE 大宇宙へ music by 久石譲」で、SOUND DOME対応プログラムとなる。もうひとつはDREAMS COME TRUEとコラボし、吉田美和の歌声も聴ける「時を刻むこの星空 with DREAMS COME TRUE」(5.1chサラウンド)。

「To the GRAND UNIVERSE 大宇宙へ music by 久石譲」
「時を刻むこの星空 with DREAMS COME TRUE」作品ビジュアル
DOME2のホワイエエリア。歴代コニカミノルタプラネタリウムの貴重な資料が額縁に収められている

施設内には、最大24人が同時に参加できるVRアトラクション「VirtuaLink」を設置。オープン時は最新コンテンツ「NIGHT CRUISING」を提供する。

最大24人が同時参加できるVRアトラクション「VirtuaLink」

参加者はHTCのヘッドマウントディスプレイ「VIVE Pro」をかぶり、それぞれに割り当てられたポッドに座ってVR空間へ移動。バーチャル空間で実在する街やエリアを散策しながら星空を楽しみ、他の参加者とコミュニケーションもとりながらストーリーが進行する。

VIVE Proを装着してポッドに座り、VR体験を楽しむ

このほか、ショップやカフェを併設。カップルや若い女性を主なターゲットに、星や宇宙にまつわる雑貨などを取り揃える。上映までの待ち時間にロビーで飲食ができるほか、プラネタリウム作品によっては、ここで購入した飲食物を持ち込んで星空と共に楽しむこともできる。

星にちなんだフードやカクテルなどが購入できる「cafe Planetaria」
星や宇宙にまつわる雑貨が買えるショップ「GALLERY PLANETARIA」
「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」ティザームービー