ニュース
10周年のひかりTV、スマホ映像やVRフィギュアなどコンテンツ市場拡大へ軸足
2018年4月23日 21:45
NTTぷららは23日、「ひかりTV」開始10周年記念イベントを開催。板東浩二社長がこれまでの取り組みを振り返りつつ、今後はスマホ向けコンテンツ/アプリの強化や、VRなどを活かした「新体感」映像制作などに注力する方針を表明。テレビ局各社や、コンテンツホルダなどの来場者に対し、市場拡大に向けて新たなコンテンツ制作への協力を呼び掛けた。
スマホ映像やVR/ARなど強化。4K8K放送再配信も検討
ひかりTVは、NTT東西による、NGN(次世代ネットワーク)の2008年3月31日提供開始に合わせ、目玉コンテンツとして同日よりスタート。NTTの電話料収入が大幅に落ち込んでいたことに対し、新規事業によってマーケットの拡大を図るための新会社の1つとして1995年に設立されたNTTぷららは、インターネットサービスプロバイダとして成長後、'04年から提供していた「4th MEDIA」や、当時NTTグループが提供していたOCNシアターや、オンデマンドTVを統合する形で'08年にひかりTVが始まった。
多チャンネル放送により開始から2年後に100万会員を突破し、VODサービスや、ゲームのクラウド配信、4K映像配信などサービスを拡大。一方でNetflixのようなネット配信(OTTサービス)の増加によって、スマートフォン向けコンテンツの市場が拡大したことを受け、今後はスマホ向けコンテンツやアプリ市場の開拓を、これまで以上に強化していくという。
また、現在行なっている独自コンテンツを発展させ、AR/VR/MRといった従来のテレビ視聴とは異なる映像を「新体感映像コンテンツ」とし、その制作に注力していくことを示した。さらに、AIによる映像制作やオペレーションの効率化など、新技術の導入にも積極的に取り組んでいく。
現在、VODサービスの視聴回数は現在約2,500万回/月。VOD作品数は約7.6万本で、カラオケ約5.6万曲と合わせると約13.2万本に達する。スマホ向け「ひかりTVどこでも」対応は約1.2万本が見放題。VODのうち、約40%を占めるのがアニメで、続いてドラマが30%(国内10%、アジア10%、それ以外の海外ドラマが10%)。映画は邦画と洋画が各15%となっている。
4Kコンテンツは'17年度末で2,400本をそろえ、独自番組なども制作してきたが、これからは他社とのアライアンスも強化し、2020年の5G開始を見据えた新たなコンテンツ作りに意欲を示した。
板東社長は「これまでの10年を1区切りとし、新たな領域を開くため、スマホのコンテンツ開拓や新体感映像に軸足を移す。これからはコンテンツビジネス戦略会社に生まれ変わり、進化していきたい。エキサイティングで面白いコンテンツを作りましょう」と、来場したコンテンツプロバイダらに呼びかけた。
スマホ向けコンテンツ/アプリの具体的な施策としては、関西の民放テレビ局と協力して展開している「大阪チャンネル」や、Production I.G「タテアニメ」での作品配信、ドコモ向け「dTVチャンネル」配信に加え、’18年春より「ひかりTV for docomo」を開始予定。
新体感映像コンテンツとしては、FC今治が建設する新スタジアムを、ITを駆使したスマートスタジアムにするために協力。そのほか、スポーツを自由視点で楽しめる撮影や、ドローンによる4K映像生中継といった事例を紹介した。
新技術/サービスについては、12月にスタートする「新4K8K衛星放送」のひかりTVでの再配信についても「検討している」と前向きな姿勢を示した。
また、ARを活用してスマホカメラの画面上に3Dフィギュアを表示させる「ひかりTV VF(バーチャルフィギュア)」も本格化。これまで、布袋寅泰やスキマスイッチといったアーティストのVF化を行なってきたが、今後の展開としてAKB48のVF化を検討中。会場にゲストとしてメンバーの柏木由紀さんも来場した。
同社は2020年東京五輪に向けてスポーツ選手とのスポンサー契約も拡大。平昌パラリンピックでスノーボード金メダルを獲得、スノボを引退して新たな競技で2020年を目指すという成田緑夢さんや、FC今治オーナーの岡田武史さん、ウインドサーフィンのオリンピック特別強化選手である新嶋莉奈さん、プロボクサーとして世界最速の3階級制覇に挑む井上尚弥さんが来場。さらに、ビデオメッセージでサーフィンの安室丈さんも登場した。