ニュース

歌舞伎にICT活用、NTTと松竹が業務提携。歌舞伎俳優と3D映像の共演も

 NTTと松竹は9日、最新ICT技術を活用した新たな歌舞伎の商用公演(興行)を共同で実施する業務提携を行なうことで合意したと発表した。イマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」を活用し、リアルな歌舞伎俳優と擬似3D虚像との共演なども実現可能になるという。

3月に開催した「歌舞伎シアター バーチャル座 in 福島」

 NTTと松竹は2016年以降、新たな歌舞伎鑑賞の提案を目指した共同実験を実施。離れた場所でもまるで目の前で演じているかのような歌舞伎映像を鑑賞できる「歌舞伎シアターバーチャル座」や、リアルとバーチャルが融合した世界初の歌舞伎舞踊「京結夢現連獅子(みやこむすびゆめのれんじし)」などを行なってきた。

 この取り組みをさらに進め、実際の歌舞伎公演などでICT活用を深化させ、集客力や事業性を向上、新たなエンターテイメントビジネスの実現を目指すことで両社が合意した。

 具体的には、松竹が保有/経営する京都南座が、大規模改修工事を経て2018年11月に新開場することに合わせ、2019~2021年の3年間、従来からの実証実験に加えてICTを活用した歌舞伎などのNTT・松竹による共同公演を南座から実施。順次拡大を図る。

 共同公演では、NTTの研究所が開発したイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」などの技術を活用。「出演者が観覧者の目の前であっと驚く映像・音響演出を実現し、歌舞伎の楽しみ方を広げる新たな『おもてなし』を提供する」としている。リアルな歌舞伎俳優と擬似3D虚像との共演なども実現可能となり、リアルとバーチャルが相互に補完することで、日本文化の伝統を継承しつつ新たなマーケットの創出を目指す。

 また、新たなユーザーインターフェイス(UI)やメディア技術を応用した情報提示技術/情報配信技術を用いて顧客満足度向上を図り、新たなエンターテイメントビジネスを視野に入れた劇場空間の活用・体験型コンテンツの製作も検討。共同公演の詳細は、両社で今後検討する予定。

 2019~2021年の共同公演などでビジネス性を検証し、歌舞伎やその他のエンターテインメントとICTとの融合によるビジネス拡大を目指す。インバウンドや、若い世代などの新たなマーケットへの対応に向けて知見を蓄積していく。