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役者を目の前に感じる「歌舞伎シアター バーチャル座」福島で開催。NTTと松竹が協力

 NTTとNTT東日本、福島県、松竹は、「歌舞伎シアター バーチャル座 in 福島」を3月10日に開催する。NTTが開発を進める技術「Kirari!」により、バーチャルながら歌舞伎俳優が目の前で演じているような臨場感が楽しめるという。会場は福島県福島市のホール「パルセいいざか」。時間は12時30分~と15時~の2回。入場は無料だが事前申し込みが必要で、特設サイトまたは郵送で受け付ける。

歌舞伎シアター バーチャル座

 「歌舞伎シアター バーチャル座 in 福島」は、NTTと松竹が進める新たな歌舞伎鑑賞の提案をめざした共同実験の一環として、米国ラスベガスで2016年5月に上演された「KABUKI LION 獅子王」をもとに、先進のICTを駆使して製作。ライブの歌舞伎公演ではないが、大容量の映像/音声伝送により臨場感のある体験ができるという。同日には、「隈取」、「大向こう」といった歌舞伎独特の文化をモチーフに、NTT研究所の先端技術を組み合わせた「インタラクティブ歌舞伎」展示も行なう。

歌舞伎シアター バーチャル座 in 福島の内容

 '16年にラスベガスで上演された「KABUKI LION 獅子王」は、「石橋」の獅子の子落としという伝説を元にしたストーリーで、華やかな舞踊、女方の様式美、迫力の立廻り、そして勇壮な獅子の狂いなど、歌舞伎の様々な要素を盛り込んだ新作。福島で行なわれる「歌舞伎シアター バーチャル座」には、NTTが開発を進めるイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」の基盤となる要素技術を活用。大容量の音声・映像データを圧縮/伝送して伝送先で同期させるKirari!により、歌舞伎俳優が目の前で演じているかのような臨場感が味わえるというもので、2017年3月に熊本で披露された。今回のイベントでは、大規模かつ汎用的な映像投影方式確立の実証を兼ね、福島で新しい歌舞伎映像を体験できるという。

 イベント当日には、「KABUKI LION獅子王」に主演した松本幸四郎(当時は市川染五郎)も来場。作品に込めた思い、歌舞伎×ICTの可能性や、1月、2月の東京・歌舞伎座でスタートした襲名披露興行などについてのトークイベントを開催する。トークイベントは各回90分。

 「インタラクティブ歌舞伎」の展示は、3月10日10時~17時にパルセいいざか前駐車場で行ない、入場無料、事前申し込みは不要。「隈取」や「大向こう」といった歌舞伎独特の文化をモチーフに、NTT研究所の先進技術を組み合わせた2つの展示を通じ、日本の伝統芸能を代表する歌舞伎の魅力を身近に体験できるという。

 展示のうち「変身歌舞伎」は、歌舞伎独特の化粧法である「隈取」とNTTによる映像処理技術のコラボレーション。まるで歌舞伎俳優になったかのような体験を楽しめる。これまでラスベガスや国内の展示会に出展し、延べ1万人以上が体験したという。

 「歌舞伎シャウト」は、歌舞伎独特の掛け声である「大向こう」とNTTの音響処理技術を組み合わせ、大向こうの達人になったような体験ができるという展示。大画面に表示された動き回る役者絵に大向こうを掛けると、音声認識により文字として可視化され、役者絵に向かって飛んでいく。「インテリジェントマイク技術」により、騒がしい空間においても音声認識可能。さらに、「リアルタイム波面合成技術」により、可視化された大向こうの動きと同期して音声が立体的に飛ぶという。大向こうが役者絵にあたると、タイミング、大向こうらしさなどの要素により、役者絵が様々な反応を返す。大向こうの一連の流れを、先進技術で拡張して体験できる内容になっている。

 開催前に、「インタラクティブ歌舞伎プレイイベント」も福島県内の3カ所で開催。日時と場所は3月3日~4日の10時~17時(最終入場16時)がアクアマリンふくしま(福島県いわき市小名浜辰巳町50)、3月5日12時~16時30分が道の駅南相馬(福島県南相馬市原町区高見町2-30-1)、3月7日12時~20時が福島市街なか広場(福島県福島市本町2-3)。いずれも入場無料で事前申し込みは不要だが、アクアマリンふくしまは別途入館料が必要。