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お台場に光の滝出現。森ビル×チームラボのデジタルアート空間、スマホを手に探索
2018年6月12日 14:09
東京 お台場パレットタウンの一角に、6月21日オープンする新施設「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」。約1万m2という広さで、光や音を使ったデジタルアートの中に入り込める空間が、開館に先がけて披露された。運営は森ビルとチームラボ。
館内の部屋や通路を大型映像で埋め尽くし、音楽が連動。来場者が歩き回ったり自分のスマホを使って変化させるといった、インタラクティブな仕掛けを各所に備える。スマホで撮影してSNS投稿でき、許可されたエリアには自撮り棒の持ち込みも可能。フォトジェニックな空間で自由に楽しめる。
内部は5つの世界観で構成され、世界初公開を含む約50作品を公開。チームラボは国内外でアート展示を行なうが、常設施設は今回が初となる。
場所は、お台場パレットタウン(東京都江東区青海1-3-8)の大観覧車に隣接する「タイムズ パレットタウンパーキング」上の3〜4階部分。最寄りはゆりかもめ「青海駅」またはりんかい線「東京テレポート駅」。入場料(税込)は一般/高・大学生が3,200円、子ども(4歳〜中学生)が1,000円。営業時間は月〜木曜が11〜19時(祝前日を除く)、金曜・祝前日が11〜21時、土曜10〜21時、日曜・祝日10〜19時。
エプソンのプロジェクタ470台と、マウスコンピューターの「DAIV」など500台以上のPC、ヤマハの音響機器を利用。リアルタイム生成したCGアートを壁面などに投写し、様々な音声を連動させて空間を演出する。来場者が通りがかったり、壁に触るなどの行動を読み取るセンサーも全館に配置する。館内専用の無線LANアクセスポイントも用意する。
光と音のデジタルアートに包まれる空間演出。写真撮影も
入口を抜けた最初の空間は「Borderless World」と名付けられている。壁や床、鏡を使い、歩いたり作品に触れると花が散ったり咲いたりする「花の森、埋もれ失いそして生まれる」が来場者を迎える。大型ディスプレイを額縁のように扱い、常に動く映像アートを展示する小部屋を多数配置する。
中央ブロックに、ミュージアムのメインビジュアルで使われている新作アート「人々のための岩に憑依する滝、小さきは大きなうねりとなる」がある。滝に打たれる岩を模したオブジェの上に、水や花、枯れ葉などが流れていく映像をプロジェクションマッピングしている。ここから通路が東西南北に繋がり、さらにいくつかの小部屋に分かれて異なる展示を行なっている。
和をモチーフにしたデジタルアートが多い中、スモークを焚いた立方体の空間で多数のスポットライトと電子音楽を連動させた展示も。訪れた人の目を惹いていた。
多数のLEDを垂れ下がるように配置したオブジェの色と音を、自分のスマホから操作できる仕掛けも。その場で専用アプリをインストールし、画面に表示される自然現象に関する象形文字をスワイプする。例えば「雨」の文字を選ぶと、LEDが水色に光り、雨の降る音があたり一帯に流れる。
各展示にはタイトルがつけられてはいるが、会場内でキャプション表示などはされていない。これは、ある映像作品の中を別の映像作品(飛んでいくカラスや蝶など)が横切るといった、“境界の無い世界”をテーマとしているため。
階段で上階に上がると「ランプの森」、「チームラボアスレチックス 運動の森/学ぶ! 未来の遊園地」、「EN TEA HOUSE」の4エリアがある。なお、後者3つは直接繋がっているが、「ランプの森」のエリアのみ、「Borderless World」から別の階段を上がる形となる。
「ランプの森」は鏡で囲われた空間に、職人のハンドメイドによるベネチアングラスを用いた多数のランプが吊り下げられ、来場者の数や、ランプに手のひらを近づけるといった動作を読み取ってカラフルに色を変える。隣接するランプを、一筆書きのように同じ色で次々光らせていく仕組みを備える。
「チームラボアスレチックス 運動の森」や、「学ぶ! 未来の遊園地」には、「マルチジャンピング宇宙」や「光の森の3Dボルダリング」など、大人から子どもまで楽しめるアトラクションを設置。
魚などの塗り絵を自分で塗って専用スキャナで読み取り、館内のディスプレイに映し出す「お絵かき水族館」が一番奥にある。
「EN TEA HOUSE」では、水出し茶やゆず緑茶など、その場で注文したお茶に花々が咲き誇る映像が重ねて投写される様子を楽しめる。お茶は4種類あり、料金は各500円。
館内は照明を落とし、案内やマップなどはない。迷いながら作品を楽しむというコンセプトで作られている。ただし、館内の各所にスタッフが立つほか、トイレや休憩所を設ける。アスレチック系の展示付近には救護室も用意。鑑賞中の安全対策にも配慮している。
開業にあたり、3年の年月を準備に費やしたとのこと。森ビルの杉山央 企画運営室 室長は「都心に多くの外国人観光客が訪れていることを踏まえ、世界から人・モノ・金・情報を惹き付ける“都市の磁力”を高めていきたい」とする。チームラボの猪子寿之代表は「順路通りに観たり、目的を持って見ていくのではなく、境界の無い作品群を探索し、発見してほしい」と話した。