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Netflix、次見る番組の「自動ダウンロード」機能。見たら自動削除
2018年7月10日 22:00
Netflixは7月10日(米国時間)、Android向けモバイルアプリに「スマートダウンロード」機能を搭載したと発表した。Netflixは2016年秋、アプリ版に「ダウンロード機能」を追加しているが、スマートダウンロードは、それをさらに改良したものとなる。
視聴量に応じ、「次回Wi-Fi接続時」に番組を自動ダウンロード
Netflixに限らず、現状の動画配信における「ダウンロード機能」は、利用者が見たい動画を事前に選んでダウンロードしておくことで、通信環境がない場所でも映像が見れるようになる……というものだ。ただし、ダウンロードする映像は自分で「選ぶ」必要があり、視聴が終わった映像の「削除」も自分で行なわなければいけない。
Netflixでモバイルアプリケーションの開発を手がける、プロダクトイノベーション担当ディレクターのキャメロン・ジョンソン氏は、「調査の結果、手動でダウンロードを行なう、という部分が利用のハードルになっていると分かった。より活用を広げ、モバイル回線での『ギガの消費』を減らすには、改良すべきだ、という結論に至った」と話す。
スマートダウンロード機能では、動画のダウンロードが「自動化」される。テレビ番組や映画などのうち、視聴が開始されているものを見つけると、モバイルアプリは「次にWi-Fi環境に接続された時」に、自動的に視聴中の映像をダウンロードする。例えば、あるドラマシリーズを視聴中の場合、「第2話」まで見ていたとすると、「第3話」は裏で自動的にダウンロードされるのだ。ダウンロードされた番組は、モバイル回線環境下もしくは回線がない状態である時の視聴に利用される。また、ダウンロードされた番組の視聴が終わると、そのデータは自動的に消去され、自分で消去作業をする必要はない。
ユニークなのは、ダウンロード作業が絶妙に「インテリジェント」である、ということだ。
例えば、12本シリーズのアニメがあるとする。このうち2本を移動中に見たら、次にWi-Fiに接続した際にはまず「視聴済みの2本のデータが自動削除」され、「まだダウンロードされていない2本分」がダウンロードされる。
ドラマが「シリーズ1」「シリーズ2」のように、複数のシリーズに分割されていても問題ない。シリーズ1の最終回まで見たなら、シリーズ2の初回に移動して自動ダウンロードが行われる。そのため、「続きがダウンロードされていなくてやきもきする」ことは少なくなっている。
自動消去と視聴スピードに応じたダウンロードがセットになっているのは、「必要以上にモバイル機器のストレージを圧迫することなく、ダウンロード機能の便利さだけを体験してもらいたい」(Netflix・ジョンソン氏)という狙いからだ。
ただし、自動ダウンロードは「公開済みのエピソード」のみに有効な機能となっている。アニメや一部のバラエティショーのように、エピソードの追加が毎週行われているものについては、未公開分の自動ダウンロードされない。要は「翌週になって続きが公開されても、自動ダウンロードは行なわれない」わけだ。ドラマなどで、続編シリーズの公開が数カ月先……といった場合も同様だ。
なお、ダウンロードされる映像とその画質は、従来のダウンロード機能を使った時と変わらない。「スタンダード」と「高画質」の設定があるが、1時間分で前者が220MB程度、後者で450MB程度の容量を消費する。また、スマートダウンロード導入後もダウンロードボタンがなくなるわけではなく、自分で選んでダウンロードすることも可能だし、スマートダウンロード機能自体をオフにすることもできる。要は「すぐに視聴しそうな作品を、Wi-Fi環境を自動判別にしてダウンロードする」「視聴済みの作品は自動的に消去する」ことだけを行なうのがスマートダウンロードなのだ。
iOS版には「年内」に実装
Netflixのダウンロード機能は「非常に多く使われている機能のひとつ」(Netflix・ジョンソン氏)だというが、それでも、面倒臭さがひとつのハードルとなっていた。自身での利用を考えても、飛行機で長時間移動する時などは使うが、毎日の電車移動では使わない。自動化することで、毎日使ってもらえるようにし、モバイル回線の負担を減らしたい……というのが、同社の狙いである。
開発は2017年末からスタートし、2カ月程度のA-Bテストを経て、7月に公開されることとなった。
なお、最初にこの機能が搭載されるのは、Android搭載のスマートフォンとタブレット向けのアプリケーションで、iOS向けは「年内に実装」とされている。理由は、「多数の開発が進行中で、その順番の兼ね合い」(Netflix・ジョンソン氏)であり、技術的な問題ではないようだ。