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Noble Audioを身近にする「EDC」イヤフォン第2弾、“Bell”今夏登場。2万円台

 エミライは、Noble Audioの新しいユニバーサルイヤフォン「EDC Bell」を発表した。今年の夏に発売を予定しており、価格は未定だが、「2万円台を目標に調整中」だという。ダイナミック型ドライバを採用している。

EDC Bell

 「Noble Audioのサウンド・シグネチャーをより身近に楽しんでいただく事、普段から気軽に持ち出せる事」をテーマに開発された「EDC」シリーズの新モデル。EDCシリーズでは「EDC Velvet」というモデルが既に発売されているが、EDC Bellはその上位モデルと位置づけられている。

 名称のBellは、「真鍮製の鐘」をイメージした形状から命名されたもの。Velvetに搭載したダイナミック型ドライバの性能をさらに活かし、サウンドに磨きをかけたものがBellだという。

左がEDC Bell、右がVelvet

 このダイナミック型ドライバは、デンマーク製。ドライバはVelvetに搭載しているものとまったく同じで、サイズは5.8mm径。最大の特徴は、特殊なダンパー構造にある。ダイナミック型搭載のイヤフォンでは、より大口径のユニットを搭載した製品も少なくないが、EDC Bell/Velvetでは、小口径でありながら、大口径に匹敵する低域の量感を実現するため、ダンパーを工夫し、よりロングストロークが可能なユニットを実現。

 これにより、小口径でも大量の空気を動かす事ができ、低域のリニアリティを向上させた。大口径ユニットでは、マグネシウムやチタンなど、軽くて剛性の高い素材を振動板に使うユニットもあるが、EDC Bell/Velvetのユニットでは小口径で豊かな低音再生ができるため、振動板に高価な素材を使わなくても同等の性能を達成したとする。

ロングストロークドライバの有効性を解説するNoble Audio設立者のジョン・モールトン博士

 BellとVelvetの違いは、アコースティックチューニングのためのパッシブフィルタの素材で、Bellではより伸びやかな高域を実現。さらに、Velvetはアルミニウム筐体だが、Bellでは真鍮筐体となった。さらに筐体にはPVDコーティングを施している。

Bell

 ケーブルは着脱できないタイプで、ケーブル自体もBellとVelvetでは異なる。VelvetはRitzワイヤーであるのに対し、BellはTinselワイヤーを採用。男性が力いっぱい引っ張っても千切れないほどの強さがある。また、Bellのケーブルにはリモコンを搭載していない。

 再生周波数帯域は20Hz~20kHzで、インピーダンスは35Ω以下。

BellのTinselワイヤーを実際に力いっぱい引っ張ってみたが、切れなかった

 ブラナン・メイソン氏と共に、Noble Audioを設立したジョン・モールトン博士が来日。EDCシリーズでダイナミック型ユニットを採用している理由について、「低音の再現性の観点では、ダイナミックドライバの方がスピーカーのようなダイナミクスを再現でき、技術的にも成熟している。EDCが狙う価格帯では、ダイナミックドライバを採用するのが合理的」と説明。

 しかし、EDCシリーズは今後もラインナップを拡充させていく予定で、今後、需要があれば「ダイナミック型とバランスドアーマチュアのハイブリッド構成も検討していきたい」という。

ジョン・モールトン博士

音を聴いてみる

 VelvetとBellを聴き比べてみた。Velvetは、ダイナミック型のシングルらしく、低域から高域まで、繋がりが良く、音色も自然なサウンドが魅力だ。筐体はアルミニウムで、基本的にはクリアなサウンドだが、中高域にやや筐体の素材が鳴いた付帯音を感じる。低域も量感が豊かだが、ボワッと膨らみがちな傾向もあり、低域の描写自体は野太い。

Velvet

 同じドライバを使っているとのことだが、Bellを聴いてみると、驚くほどVelvetと音が違う。筐体が真鍮で剛性が高いため、響きの付帯音が少なく、全体としてシャープでソリッドなサウンドになる。中高域の色付けは少なく、低域は分解能が大幅に向上。ダイナミック型らしい量感の豊かさがありながら、ボワボワと膨らまず、キレの良い低音が楽しめる。

Bell

 確かに、5.8mm径とは思えない量感の豊かさで、ロングストローク仕様の利点がよくわかる。高いポテンシャルを持つドライバの良さを、より引き出し、オーディオファン向けのチューニングを施したのがEDC Bellと言えるだろう。

Bell