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デノン、孟宗竹を使った白河製ハイエンドヘッドフォン「AH-D9200」
2018年9月7日 11:00
ディーアンドエムホールディングスは、デノンブランドのハイエンドヘッドフォン「AH-D9200」を9月下旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は195,000円前後。
木材をハウジングに使用したReal-wood Series(リアルウッドシリーズ)第3弾で、2016年に発売したヘッドフォン「AH-D7200」(約10万円)の上位モデルとなるハイエンドヘッドフォン。高知県産の「孟宗竹」(もうそうちく)をハウジングに採用した。
竹は「軽量性と適度な剛性、優れた振動吸収性を併せ持つ」とし、「孟宗竹との出会いが、雄大なサウンドステージをナチュラルかつ緻密に描く、かつてない表現力を現実のものとした」という。
「Handdcrafted in Japan」を謳い、伐採、製材、切削、研磨、塗装の各工程を、熟練の職人により一つ一つ丁寧に仕上げた。
ハウジングも含めてデノンのマザー工場 白河オーディオワークスに集められ、組み立てから検査梱包までの全工程を専任担当者が手掛けることで、高い品質を実現するという。ここではAVアンプやハイエンドオーディオ機器などを生産しているが、ヘッドフォンの生産は今回が初めて。約1年かけて製造準備を行なった。
振動板は50mm径のフリーエッジ・ナノファイバードライバ。AH-D7200で採用した振動板をさらに進化させたもので、孟宗竹マッチングのためにナノファイバーの配合比を最適化し、レーザー解析によって歪の少ない振動板形状に改良した。またスピーカーのドライバと同様に、振動板の外周をロールエッジで支持するフリーエッジ構造により、振動版全域にわたる均一なピストンモーションを可能にし、低歪かつ低域の量感豊かなサウンドを実現する。
デノンのサウンドマネージャ、山内慎一氏が音をチューニング。山内氏は、「デノンのHi-fiでやってきた“ビビッド”、“スペーシャス”な音を、ヘッドフォンにも忠実に反映させること」を狙って開発したという。
再生周波数帯域は5Hz~56kHz、感度は105dB/mW、最大入力は1,800mW、インピーダンスは24Ω。
ハンガー部は軽量で堅牢なアルミダイキャストを使用。ケーブルは左右両出しの着脱式で、ヘッドフォン側のプラグは3.5mmモノラルミニ、アンプ側はステレオ標準。導体にはシルバーコートのOFC線を採用し、ケーブル長は3m。断線を防ぐため、応力のかかる部分にエラストマーのブッシングを設けた。タッチノイズを低減する布巻きタイプで、プラグ部は削り出しのアルミスリーブを用いて耐久性を向上させている。重量は375g。
「蛇口を絞らず開放したようなオープンな音」
サウンドマネージャの山内氏は、孟宗竹をハウジングに採用したことについて、「竹の特性と、(ヘッドフォンで)やりたい方向がうまくマッチングした」と話す。AH-D9200の音については、「はじめて聴いた時は、蛇口を絞らない、むしろ開放した、かなりオープンな音という印象。クリアで好感が持てた」という。
「フラグシップヘッドフォンということで、ナチュラルで繊細で、広がりや透明感も感じていただけるんじゃないかなと思っている。ソースによってはあたかもスピーカーで聴いているかのような感覚で聴けると思う。フラグシップモデルとしていいモデルになった」(山内氏)。
ハウジングの製造には、高級車の竹製ハンドルなどを手がける高知の自動車部品メーカー「ミロクテクノウッド」(ミロク)が協力。
孟宗竹は一本一本含水率が異なり、乾燥させて部材にするノウハウが必要となる。ミロクの担当者は、「去年の春くらいにデノンさんから声を掛けていただき、今回のハウジング生産に繋がった。竹の側面から切り出した材料を接着剤で貼り合わせ、カットしたものを使っている。扱い慣れた素材ではあるが、音響部品ということで外観も含めて(デノンの)こだわりもあり、大変だった」と明かした。
ヘッドフォンのフラッグシップモデルとして、装着性にもこだわっている。イヤーパッドは一般的な人工皮革の約2倍の耐久性を持つ、独自の人工皮革を採用。三次元縫製により、頭部のカーブにフィットし、圧力が均等にかかる形状に仕上げた。側圧を最適化する形状記憶フォームと合わせ、「ストレスなく耳を包み込む装着感と気密性を実現する」という。