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B&W、中低域ユニット一新で9万円からの新600シリーズ。黄色のケブラーコーンは終了

ディーアンドエムホールディングスは、英Bowers & Wilkins(B&W)のスピーカー「600シリーズ」新機種を9月より発売する。1本の価格は、フロア型「603」が14万円、ブックシェルフ型「606」が114,000円、「607」が9万円、センター「HTM6」が8万円。サブウーファ3モデルも用意し、「ASW610XP」が15万円(発売時期未定)、「ASW610」が10万円、「ASW608
」が76,000円。仕上げは各モデルマットブラックとマットホワイトの2種類。

新600シリーズ。左からフロア型「603」、ブックシェルフ型「606」、「607」、センター「HTM6」

フラッグシップの800D3シリーズで採用した技術なども導入し、「手頃な価格で高いパフォーマンスを提供する」という600シリーズの第6世代目。全モデルのウーファー振動板を、従来モデルのケブラーコーンから、上位機に採用されているコンティニュアムコーンへ変更。B&Wの象徴とされ、44年使われてきた黄色いケブラーコーンは、今回の変更をもってラインナップから無くなり、銀色のコンティニュアムコーンへ引き継がれる。

600シリーズの組み合わせ例

なお、新600シリーズのモデル名は、700シリーズと同じく「60x」という型番ルールに変更。シリーズごとのモデル名に整合性をとり、分かりやすくなった。

ダブルドームツイータとコンティニュアムコーンのブックシェルフ&フロア型

フロア型/ブックシェルフ型の各モデルに、デカップリングされたダブルドームのツイーターを採用。2層アルミニウムドームにより、高域共振周波数は可聴周波数を超えた38kHzを実現した。700シリーズで採用されたN52ネオジウムマグネットや、開口率の高いメッシュ式グリルを装備。タイムアライメントを改善するため、ドームの位置を変更している。

共通のツイーター部

コンティニュアムコーンは、振動モードを連続的で最適にコントロールするコンセプトに基づいて設計。ピストンモードから分割共振モードへ連続的に移行し、音質が大きく損なわれず、分割共振モードでの振動収束が速いのが特徴。音の立ち上がりだけでなく、音の信号がなくなった時の収束が3倍速いという。

同コーンを用いたブックシェルフ型「607」と「606」のミッドバスドライバーは、700シリーズと同様の防振プラグ、磁気回路、シャーシを使用している。

ブックシェルフ型の「606」(左)と「607」(右)
コンティニュアムコーンユニット

フロア型のウーファーはペーパーコーンで、強度の高い素材を使用。700シリーズと同様の防振プラグを装備する。磁気回路にも、700シリーズで改善されたフェライトマグネットを使用する。

603のウーファー部はペーパーコーン

エンクロージャーはバスレフ型で、ダクトを背面に移動。ニッケルメッキ端子も含めバスレフポート付きのターミナルは700シリーズと同じ。700シリーズ同様の低歪抵抗とチョークコイルも採用する。ターミナルはバイワイヤリング対応。

背面。左から順に、既存の686S2、新機種の607、606

フロア型の「603」は、25mm径ツイータ×1、150mm径ミッドレンジ、165mm径ウーファー×2の3ウェイ。再生周波数帯域は29Hz~33kHz、感度は88.5dB。インピーダンスは8Ω(最低3Ω)。外形寸法は320×370×1,055mm(幅×奥行き×高さ)、重量は24.5kg。

603

ブックシェルフ型「606」は、25mm径ツイーター×1と165mm径ミッドバス×1の2ウェイ。再生周波数帯域は40Hz~33kHz、感度は88dB。インピーダンスは8Ω(最低3.7Ω)。外形寸法は、190×324×345mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.75kg。

606

シリーズ最小のブックシェルフ型「607」は、25mm径ツイーター×1と130mm径ミッドバス×1の2ウェイ。再生周波数帯域は40Hz~33kHz、感度は84dB。インピーダンスは8Ω(最低4Ω)。外形寸法は165×231×300mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.65kg。

607
600シリーズのパーツ

グリルのカラーは、マットブラックモデルがブラック、マットホワイトモデルはホワイト。着脱はマグネット式に変更している。606/607のスピーカースタンドは、現行モデル「STAV24S2」(ペア26,000円)に対応する

センタースピーカー「HTM6」

25mm径ツイータ―×1と、130mm径ミッドバス×2の2ウェイ。ウーファーの磁気回路を大型化。ロングトラベルタイプのボイスコイルを使用、603に匹敵する低域レベルを得たという。

HTM6
HTM6

従来機のHTM61S2とHTM62S2を統合、コンパクトでリビングルームにセットアップしやすいサイズとしている。再生周波数帯域は42Hz~33kHz、感度は87dB。インピーダンスは8Ω(最低4.3Ω)。

サブウーファ3機種

3機種とも、ウーファーユニットはロングスロー ペーパー/ケブラーコーンを使用。ICE Powerアンプを内蔵する。各モデルの違いはユニットのサイズやアンプ出力など。エンクロージャは密閉型。入力はRCAとバインディングポストを装備。

600シリーズのサブウーファ

「ASW610XP」は、250mmウーファーと、出力500WのICE Powerアンプを搭載。再生周波数帯域は18Hz(-6dB)と25/140Hz可変、消費電力は94W、SN比は80dB。外形寸法は325×374×325mmmm(幅×奥行き×高さ)、重量は15.5kg

「ASW610」は、250mmウーファーと、200W ICE Powerアンプを搭載。再生周波数帯域は20Hz(-6dB)と25/140Hz可変、消費電力は40W、SN比は90dB。外形寸法は310×375×310mm(幅×奥行き×高さ)、重量は12.5kg

「ASW608」は、200mmウーファーと、200W ICE Powerアンプを搭載。再生周波数帯域は23Hz(-6dB)と25/140Hz可変、消費電力は40W、SN比は90dB。外形寸法は260×330×260mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.85kg

解像感の高さに芯の強い中低域がプラス

ジャズのトリオ、女性ボーカル、クラシックの楽曲を、各モデルで試聴した。現行機「686S2」は、エントリーシリーズながら、解像感の高さと、しっかりした音の分離を感じる。新しいブックシェルフの607に切り替えると、その繊細な表現に加え、中低域に芯の通った力強さを感じ、囁くようなボーカルの口の動きも、より近くに感じる。ジャズのトリオは、低くうなるベースの力強さだけでなく、ピアノの存在感もより明確になった。新600シリーズで採用されたコンティニュアムコーンにより、より正確に制御された中低域が、音の輪郭をしっかりと描き分けながら、広い空間へ十分に響かせている。大型のウーファを持つ606では、低域の厚みに加え、全体の音の奥行き感も増した。

フロア型の603は、沈み込む低域を、さらに奥深くまで表現。体全体へ浴びせるように響かせてくれるのが心地よい。音の立ち上がりと収束が素早いこともあり、ボーカルを含めた全体のまとまりが良く、スリムな筐体で出せる量感と丁寧に描写する部分のバランスの良さを実感できた。