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Google「Pixel 3」のカメラは何がスゴい? AIで失敗を防ぎ、AR撮影や翻訳も

Googleが10月10日より発売する新スマートフォン「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」。有機ELディスプレイの採用やHDR再生など、多くの機能強化を行なっている。その中で、AIや機械学習を活用したカメラ機能を中心に、実機で体験した主な進化ポイントをまとめた。

Pixel 3(左)、Pixel 3 XL(右)

ポートレートやARなど注目のカメラ機能。自撮り棒も不要に?

両機種とも有機EL(OLED)ディスプレイを搭載したスマートフォンで、Pixel 3は、5.5型/2,160×1,080ドット(FHD+)で443ppi、Pixel 3 XLは6.3型/2,960×1,440ドット(QHD+)で523ppi。Gorilla Glass 5や100,000:1のハイコントラスト、HDRに対応する点も共通。おサイフケータイにも対応する。主な仕様は、別記事で掲載している通り

Pixel 3
Pixel 3 XL

直販価格はPixel 3の64GBが95,000円、128GBが107,000円。Pixel 3 XLの64GBが119,000円、128GBが131,000円。出荷開始は11月1日予定。NTTドコモとソフトバンクからも発売される。

カメラは背面が12.2メガピクセルで、デュアル ピクセル位相差検出によるオートフォーカス対応。レンズはF1.8。4K/30fpsの動画撮影に対応する。ハードウェアの進化だけでなく、Googleが持つソフトウェアやAIによる撮影アシスト機能が充実しているのがPixelならではの特徴といえる。

背面カメラ部

「Googleレンズ」は、カメラを看板やポスターなどに向けると、そこに書かれたURLやメールアドレス、電話番号、住所、QRコードなどから検索できる。植物や動物にカメラを向けて、名前を調べることも可能。外国語で書かれたレストランのメニューから、日本語訳を知りたい時などに活用できる。カメラ画面からメニューで呼び出さなくても、画面の長押しですぐ利用できるのも特徴。

イタリア語で手書きされたメニューの看板をGoogleレンズで認識
日本語に翻訳

カメラのレンズはシングルだが、背景をぼかしたポートレート撮影なども可能。背景だけモノクロにして人物を引き立たせる加工も簡単に行なえる。また、フロントカメラでの自撮り写真は、画角を自由に変更可能。iPhone XSのフロントカメラに比べて184%広い画角で撮影でき、周辺部の歪みも補正するため、外側にいる人の顔が歪むことも防げるという。この広角撮影により「もう自撮り棒は不要」としている。

背景をぼかしたポートレート撮影。奥行きの調整なども可能
フロントカメラの画角を調整可能。上の写真は最小画角時
画角を最大にした場合
背景に横長の文字があっても、歪みを補正しながらフレーム内に収められる

「Playground」は、ARを活用して、アニメーションのキャラクターと一緒に写真撮影ができる機能。「アイアンマン」など、Marvel Cinematic UniverseのARキャラクターと並んだ写真などが撮れる。カメラに写っている人に合わせて、画面内のアイアンマンもポーズを決めたり、人が悲しい顔をすると画面内のキャラクターも泣き顔になるなど、人の動きに合わせた撮影ができるのが特徴。

AR撮影の「Playground」

なお、Pixel 3からGoogleフォトに写真や動画をアップロードする場合、元の画質で無制限に保存できる有料プランを、2022年1月31日までは無料で使用できる。

スピーカー強化。充電だけじゃない「Pixel Stand」も

2つのステレオスピーカーを備え、音量を従来比40%強化。グラミー賞受賞のプロデューサーがカスタムしたサウンドプロファイルを採用したという。実際に聴いてみると、縦持ちの状態で上下から強力な音が出ているのを確認できた。内蔵スピーカーのため、広がり感のあるステレオの再現までは難しいものの、音量を上げても音が軽くならず、迫力を維持したまま聴けたため、動画視聴などにも役立ちそうだ。

音楽再生画面

店内などで流れる音楽の曲名を認識して、画面下に表示することも可能。また、本体の下部を握るだけでGoogleアシスタントが起動する「Active Edge」により、「これ誰の曲?」と話しかけて質問するといった利用もできる。

周りで流れている曲を認識
側面を握ってGoogleアシスタントを呼び出し、声で検索

オプションの専用ワイヤレス充電器「Pixel Stand」とPixel 3を組み合わせることで、Googleアシスタント機能のスマートスピーカーや、Googleフォトのアルバムを表示するフォトフレームのような利用が可能。目覚ましとしても活用でき、セットした目覚ましの15分前から、徐々に画面を明るく表示。暖色のライトで心地よく目覚められるという。

Pixel Stand
Pixel StandにPixel 3を装着
ケースの特別モデルとして、東京の9人のアーティストがデザインしたモデルを発売

AIとハード&ソフトウェアの進化がカギに

Google Pixel担当シニアディレクターのナンダ ラマチャンドラン氏は、Google創業から今年で20年になることに触れ、「ミッションである、『世界中の情報を整理し、世界中からアクセスできるようにする』ために取り組んできた」と述べ、AIとハードウェア、ソフトウェアの3つを組み合わせた進化の内容を説明した。

ナンダ ラマチャンドラン氏

写真撮影時に目を閉じた人がいたり、髪が顔にかかるといった失敗のケースがよくあることから、シャッターを押した時より前などの最適なタイミングの写真を“おすすめ”する「トップショット」機能も採用。「パーティーなどで最適なタイミングの写真を撮れる」という。そのほかのカメラ機能についても「超解像ズームは、火星の表面を撮影する技術を手のひらの上に提供するもの。(近日公開の)夜景モードは、機械学習により、フラッシュが一切不要で、正しい色と明るさで撮影できる。Pixel 3で、家族や友人のお抱えカメラマンになるのは間違いない」と性能の高さに自信を見せた。

よくある写真の失敗例
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