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世界初HDMI 2.1映像チップをソシオネクスト開発、8Kテレビ普及へ。音響技術も
2018年10月16日 19:27
ソシオネクストは、10月16日に開幕した「CEATEC 2018」のブースにおいて、世界初となるHDMI 2.1の送信と受信に対応した 8K映像処理・表示制御用チップ「HV5シリーズ」を披露。8K映像の再生や、LANケーブル1本で伝送する映像配信などのデモを行なっている。
2017年に仕様が策定されたHDMI 2.1は、最大帯域が従来のHDMI 2.0の約2.7倍となる48Gbpsにまで高速化。8Kなどの大容量コンテンツを高画質/高音質のまま低遅延で伝送できるのが特徴。
ソシオネクストが開発した「HV5シリーズ」は、STBやプレーヤー、ゲーム機などへの搭載を想定した送信用のインターフェイス変換チップ「SC1H05ACシリーズ」と、テレビなどの受信用映像処理チップ「SC1H05AT1」で構成。いずれもHDMI 2.1に対応し、従来は8K映像に4本必要だったHDMIケーブルを、1本で伝送可能にする。両製品は、映像機器メーカーに向けて2019年3月より順次販売開始される。
家庭用レコーダや4Kテレビ向けの映像送受信、大規模サーバーに使用される高速シリアル伝送技術の開発で培ったノウハウをもとに、HDMI 2.1に対応した送信・受信機能を搭載した映像処理用チップを世界に先駆けて実現した。
送信用の「SC1H05ACシリーズ」は、8K映像の送信を可能にする変換チップ。入力端子がHDMI 2.0の「SC1H05AC01」と、V-by-One接続の「SC1H05AC02」の2製品を用意。出力はいずれもHDMI 2.1×1系統で、HDMIケーブル1本で8K映像を伝送できる。
受信用の映像処理チップ「SC1H05AT1」は、8Kテレビへの搭載に最適化した製品。BS 8K 放送機器への対応に加え、外部入力による8K映像の表示処理で、HDMI 2.0/2.1のほか、V-by-One入出力に対応する。8Kへのアップスケーリング機能を備え、超解像と独自の高画質化により、フルHDや4Kの映像を8Kに最適化した画質で表示可能としている。
なお、HDMI 2.1はコンプライアンステスト仕様書(CTS)が策定中のため、現時点でディスプレイやプレーヤーなどの“HDMI 2.1準拠の製品”は販売されていないが、CTSが策定されれば、その仕様に沿った製品が正式にHDMI 2.1対応として販売されることになる。
同社はチップ開発に留まらず、技術を活かした新たな活用も提案しており、その一つが映像配信ソリューション。8Kカメラの映像をHEVCエンコーダを用いて圧縮、LANケーブル1本で伝送するシステムを紹介している。ハードウェアだけでなく映像配信の仕組みごとサービスとして提案。
日本では12月1日10時より4K8K衛星放送がスタートするが、それ以外の国や地域における8K映像の視聴ニーズにも対応できるという。ブース内には4Kディスプレイを4枚組み合わせた8K映像表示もデモ。大型の8Kディスプレイ1枚を用意するよりも安価に利用でき、パブリックビューイングなどをより低コストで実現できる方法として海外などで需要があるという。
このHV5シリーズは、アストロデザインの8K映像信号発生器に既に搭載されている。この信号発生器は、今後のテレビメーカー各社の開発への使用が見込まれる。
“ビビらないテレビ”の高音質化技術「ForteArt」や、車載向けも
ソシオネクストが持つ音響ソフトウェアIPを統合したソリューション「ForteArt(フォルテアート)」も紹介。小型スピーカーでも“低音感”を再現するという技術「ハーモニック バス」や、左右間隔の狭いスピーカーでも広がりのあるバーチャルサラウンド、ネット上の低品質な音声を独自のリマスター技術で欠落した周波数成分を修復する技術などを用意。ゲームメーカーやテレビメーカーの製品などにも既に搭載されているという。
同社技術を活用した「ビビらないテレビ」というデモも行なっている。筐体の共振させる成分を減衰し、耳障りな筐体のビビり音を低減する一方、減衰させた低域周波数の高調波成分を付与することで、聴覚的に低音感を維持。薄型テレビの音質を改善できるという。
従来はこうした音響ソリューションは同社のLSIとセットで提供する方針だったが、ソフトウェアのみを提供するビジネスを2018年より開始。DSP追加やハードウェア変更が不要となり、より幅広い製品に搭載可能になったという。
そのほか、「エッジAIプラットフォーム技術」も紹介。ディープラーニング対応の第2世代VPUを搭載し、車載カメラに使った場合に低消費電力/高フレームレートで撮影、周囲の車や人などを正確に認識できるという。