プレイバック2018
お願い! '19年はこんな“クレイジー8K”が欲しいゾ!! by 編集部:阿部
2018年12月28日 07:00
4K/8K合わせて“17”もの新チャンネルが誕生した2018年は、HD化・アナログ停波に次ぐ、放送大変革の年だったと思う。もちろん、昔ほど放送に影響力が無いことも、そして一般の方々の4K/8Kに対する興味・関心が十分でないことも分かっている。分かっているけれど、HDもままならない世界の放送の中で、4Kはもとより、8K(試験では無く実用放送!)も始めてしまうその様は、ガラパゴスとか、クールだなんて冷めた言葉よりも「クレイジー・ジャパン」という最高の褒め言葉がふさわしい!!
そんなクレイジーな8K放送の開始に合わせて、AV機器メーカーからさぞやクレイジーな8K製品が出ると筆者は胸躍らせていたのだが、一体どうしたことか。今年はシャープ以外のAVメーカーからは8K放送が楽しめる製品が出なかったではないか。ガッデム!!
これでは、一億総8K萌えにならないのも無理はない……。というわけで、2019年はAV業界がさらに盛り上がることを祈念して、(たぶん)AVファンの心を鷲掴みにするであろうクレイジーな8K製品を、勝手に、そして少し真剣に妄想してみることにした。
題して“お願い! 2019年はこんなクレイジーな8K製品が欲しいゾ”(勝手に妄想編)である。
'19年は各社の8Kテレビ! 8Kヘッドマウントディスプレイ!
'18年12月現在、民生用で8K対応の映像機器を製品化しているのは、テレビではシャープ、そしてプロジェクターではJVCがあるが、8K放送を表示できるディスプレイはシャープ一択になっている。
様々なAVメーカーがある中で、8K放送が楽しめるのはシャープだけという、この孤軍奮闘状況はあまりにも寂しい。是非'19年は、シャープのAQUOS 8Kに負けじと、各社の8Kテレビ発売を期待したい。8K BRAVIAに8K REGZA、8K VIERAなどなど、名前を連呼するだけでコーフンしてくる。その際、大画面も欲しいが、是非お風呂やトイレにも持ち運べる程度の小型サイズもあるとさらに嬉しい。これなら、いつでもどこでも、寝ても覚めても、8Kと一緒に過ごすことができる。もちろん、シャープには液晶パネルだけではなく、自社製の有機ELパネルを使った8Kテレビを出してくれたって大歓迎だ。
仮に「'19年は8Kテレビはムリ!」という場合は、8Kチューナー内蔵4Kテレビをラインナップし「8K放送のダウンコンバート映像を4Kテレビで愉しむ」という贅沢な仕様をお願いしたい。仮にダウンコンバート映像だとしても、8Kオリジナル番組が視聴できるのは大きな魅力だし、8Kカメラが捉えた高精細映像の醍醐味は、成熟しつつある4Kテレビでも十分に味わえるはずだ。
それから8Kヘッドマウントディスプレイの登場も妄想してみた。PS4とPS VRの組み合わせでゲームやBDコンテンツを鑑賞したことがあるが、今のPS VRの解像度は圧倒的に不足していて、画素の格子が気になってしょうが無い。是非、次世代PSと次世代PS VRは8K解像度を実現してもらって、VRゴーグルを装着して出勤したくなるくらいの映像体験を味わいたい。
ダブル・トリプルではもう私の身体は満足できない。願うは4K/8K全録だ!
今年の8K対応機で、一番涙したのは8K放送の“録画”に関する部分だ。筆者はてっきり、どこかのメーカーから、BDドライブ+HDD+8Kチューナーの“3in1レコーダー”が出ると勝手に思っていた。ところが蓋を開けてみたら、8Kチューナー/レコーダーを発売したのはシャープだけ。しかも、よく見たらそれはBDドライブレスで、チューナーとHDDがまさかのセパレート仕様だった……。え。8K放送、BDに残せないじゃん!! 涙
なので、「BD-HD100」(2004年発売)で世界初の3in1レコーダーを作ったシャープには、8Kチューナー搭載BDレコーダーを早く製品化して欲しい。そしてその時は「BD-SHV10000」くらいの逞しい型名と筐体で、デビューしてくれることを期待したい。もちろん、4K/8K対応の次世代SeeQVault(仮)対応も希望!!
8K放送がBDに残せないのも残念だったが、8K/4K放送のW録を実現するレコーダーが1つも出なかったのも、個人的には大ショックだった。8Kチューナーが1基搭載なのはしょうが無いにしても、4Kチャンネルが16個も開局したというのに、4Kチューナー1基搭載とはこれいかに……。ダブルやトリプルではもう私は満足できない。全録機能を有する東芝やパナソニックこそ、是非とも8K/4Kチャンネルをまる録りできるクレイジーレコーダーの発売を妄想したい。
AIを使ったシーン情報や映像解析で8K録画・ダビングをもっと便利に
それから、8Kレコーダーには更なる機能の充実も望みたい。前述したSeeQVault対応やDLNA視聴、録画ディスクの互換性向上などは8K/4Kで早期に実現して欲しいが、勝手に切望しているのは8K/4K全録におけるAI活用だ。
放送中、もしくは録画済み番組の信号を読めば、チャンネル別の解像度やレートなど基本的な情報・品質が判別できる。加えて映像の解析まで出来れば、より詳細なシーン情報が得られる上、番組本編やCMに出演するタレントの認識や放送中のニュース速報テロップ有無なども分かるはず。
ここまで出来れば、例えば週末に「ヘイGoogle。今週の深キョン番組を画質・音質優先で再生して」と機器に話しかけるだけで、8K/4K/2Kで全録された放送番組の中から、クオリティ的に最も“好条件”な深田恭子の番組や映画、CMを重複せずに“一気見”することだって可能になる……はず。
Gガイドや使用履歴を使った自動録画やオススメ番組提案には限界があるし、シーン情報を活用した録画番組視聴は限られた地域の地上デジタル放送に限定されている上、視聴以外への利用ができない。8K/4Kが始まった今こそ、人海戦術によるデータ打ち込みでは無く、AIによるシーン情報、映像解析を駆使して、録画や番組検索をもっと便利にして欲しい。そして、ただ見るだけではなく、各種情報をBDダビングなどにも活用できるようにして欲しい!
部屋中スピーカーだらけ?! リアル22.2chのホームシアターシステム、カモン!
8K放送がクレイジーたるもう1つの所以は、最大22.2chものサラウンド音声をサポートしていることだ。NHKでは既に数多くの22.2ch番組が制作され、NHK BS8Kの開局以降、それらが連日放送されている。番組表を見れば、22.2chのマークで一杯だ! オーケストラはもちろん、宝塚歌劇だって、羽生のフィギュアだって、Perfumeだって、紅白歌合戦だって、全て22.2chで体験できるのだ。
だがしかし。22.2ch対応の簡易システムは発売されたものの、リアル22.2chのホームシアターシステムはどこからも発売されなかった……。これではせっかくのクレイジー音声がモッタイナイではないか!
というわけで、'19年は是非24本のスピーカーで構成された“リアル22.2chのホームシアターシステム”爆誕を妄想したい。スピーカー部はゴルフボール大のバッテリー駆動で、信号伝送もワイヤレス。壁や天井に少しでも同化出来るよう、ボディカラーはホワイト系がいい。これであれば「あら。今日は少し小さい何かが、リビングのあちらこちらに付いているわね」という程度で、奥さまからスピーカーの設置許可も下るかもしれない!
でも、設置許可がもらえなかった交渉失敗父さんが発生することも十分に予想されるので、機器メーカーには簡易システム、そしてNHKには22.2chのほか、ロスレス方式や2ch/5.1chの高レート音声放送も検討をお願いします。
120Hzで8K放送はハイパークレイジーへ。トムさまも、きっと喜ぶはず!
さて、最後に8K放送そのものへの要望も妄想しておきたい。それは「早く“フルスペック”の8Kが観たい」だ。
実は、今の8K放送は進化の途中段階にある。NHK技研で研究され、規格化された8K放送のフルマックス仕様は「8K/120p・10bit・BT.2020・HDR・22.2ch」というものなのだが、現状はフレームレートが60Hzにとどまっているのだ。
もし120Hzでの撮影・放送が実現すれば、今よりも撮影時のボケが軽減され、動きの滑らかな映像がディスプレイで表示しやすくなる。フレームレートが高まることで、より現実に近い見え方になり、映像のリアル感も増すとされる。特に撮影対象が激しく動くスポーツ映像では120Hz撮影・放送のメリットが出やすい。2020年のオリンピックまでに8Kの“フルスペック”が実現できれば、日本の放送の突き抜けたクレイジー度合いが全世界に知れ渡ることだろう。
「120Hzで映像がより滑らかになる」と書くと、24p推進キャラクター(筆者が勝手に妄想・命名した!)のトム・クルーズに怒られてしまいそうだが、120Hz放送は映画作品にもメリットがある。従来の60Hz放送波に乗せるには24コマを60コマに変換(3-2プルダウン)する必要があったが、120Hzになれば同じコマを5回繰り返すことで映画らしい動きを維持したまま家庭に届けることが出来る。これなら我らAVファンの見方であろうトムさまも、きっと喜んでくれるはず! 通常の映像はよりリアルに、そして映画は映画らしく……。“データ量倍増”という課題以外は、120Hz放送はトムさまもAVファンも、いいことずくめであることは間違いないのだ。
以上、誠に勝手ながら、'19年に出てきて欲しいクレイジー8K機器を妄想してみた。半分妄想だが、半分本気。年末企画と言うことでお許し願いたい。そして来年は、是非クレイジーな機器で、クレイジー・ジャパンなAV界を盛り上げて欲しい、そう心から願っています。