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J:COM 4K STB設置は22.7万台、4K視聴機器の24%に。家庭用IoTも

ジュピターテレコム(J:COM)は5日、'19年度の事業戦略説明会を開催。この中で、同社の4K放送対応STB「4K J:COM Box」の設置台数が、’19年4月末に22万7,000台を突破したことを明らかにした。また、新たに月額1,480円の家庭向けIoTサービス「J:COM HOME」を6月27日から順次提供することも発表した。

「4K J:COM Box」の設置台数が22万7,000台を突破(’19年4月末時点)

J:COMでは新4K8K衛星放送のケーブルテレビでの4K再送信を'18年12月1日に開始。4Kチューナーを持っていなくても、4K対応テレビで観られるトランスモジュレーション方式で、多チャンネル放送サービスJ:COM TVへ加入すると、専用STBの「4K J:COM Box」を使って視聴できる。BS4Kやケーブル4K、J SPORTSなどのCS4K、VODサービスの「J:COM オンデマンド」、YouTubeの4Kコンテンツが視聴可能。HDRにも対応。別売HDDへの放送番組の録画に対応し、3月からHDD内蔵モデルを提供中。

J:COMの4K放送対応STB(’18年10月撮影)

J:COMの井村公彦社長は4K J:COM Boxの設置台数について、「おおむね月5万台規模の設置を行ない、2月時点で10万台、4月末時点で約22万7,000台に達した」とコメント。

既報の通り、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は新4K8K衛星放送を視聴できる機器の台数について、2019年4月末までの累計出荷台数が95万台となったことを公表している(対応チューナー内蔵テレビや単体チューナーなどを合わせた集計値)が、井村社長は「この台数のうち24%が4K J:COM Box。ケーブルテレビ事業者に限れば、(新4K8K放送対応機器の設置台数では)9割前後のシェアを獲得している。相当頑張った」と話した。

J:COMの4K放送等に関連した取り組み

今後の計画として、2019年のラグビーワールドカップや、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けて、新たな第3世代STBを「急ピッチで開発中」。’19年秋の提供開始を目指す。また、「2020年夏をめどに、4K視聴可能世帯100万世帯を目指して今年度も頑張りたい」とした。

J SPORTSのラグビーW杯4K生中継を放送
第3世代STBを今秋提供予定

IoT「J:COM HOME」。月1,480円でGoogle Home Mini・サポート込

月額1,480円(2年契約)の家庭向けIoTサービス「J:COM HOME」を、6月27日から順次提供開始。放送サービスのJ:COM TVや、インターネット接続のJ:COM NETなどとセットで提供する。

J:COM HOMEのサービス内容

J:COM HOMEは2種類のプランが選べ、いずれもGoogleのスマートスピーカー「Google Home Mini」が含まれる。「家電パック」はスマートスピーカーと赤外線リモコンユニットのセットで、テレビなど家電の音声操作や、外出先からの家電操作を可能にする。「見守りパック」は、スマートスピーカーと無線通信アダプタ、マルチセンサーがセットになっており、外出先からドアや窓の開閉確認や玄関の戸締りを確認可能。

J:COM HOME「家電パック」。Google Home Miniと赤外線リモコンユニットがセット

iOS/Android向けの専用アプリから、すべての機器の設定・操作が行なえる。仕組みはKDDIが提供中のIoTサービス「au HOME」をベースにしているが、J:COMは全国のスタッフによる手厚いサポートを提供。専門スタッフが訪問して、設置や初期設定、使い方のレクチャーまでを行ない、電子機器やネットワークの知識が無いユーザーでも安心してホームIoTサービスを利用できるようにした。

iOS用「J:COM HOME」アプリ
J:COM HOMEアプリのホーム画面
J:COM HOMEの設置・設定からアフターサポートまで提供

家のテレビやエアコンをつけたり、照明のオン/オフを声で操作できる。赤外線リモコンユニットを利用する場合、アプリから自宅の家電を登録すると音声操作が可能になる。リモコン情報はクラウド側に持っており、随時更新されるという。テレビはチャンネルや音量を声で操作することも可能で、チャンネル変更時に「日本テレビに変えて」や「日テレにして」、「4chにして」など、チャンネル名の呼び方が人によってバラバラでも対応できる。地域によって異なるチャンネル番号にも対応するという。

手持ちの家電をJ:COM HOMEアプリに登録
テレビのチャンネルを声で変更するデモ

別売オプションとして、ネットワークカメラ(10,800円)や、人などの動きを感知するモーションセンサー(6,600円)を用意。赤外線リモコンも7,200円で単体発売され、例えば見守りパックに追加することで、家電を音声操作できるようになる。

様々なオプションセンサー
ドアセンサーの開閉を検知してスマホに通知
ネットワークカメラで宅内の様子を見守れる

4Kやネットワーク増強で減益。5G活用も

J:COMが5日に発表した'19年3月期の連結業績は、営業収益は前年同期比3.6%プラスの7,565億円で増収。ただし、4Kサービスに伴うコストや、サービス品質向上を目的としたネットワーク増強に伴う関連費用、地震・台風被害など自然災害への対応に費用がかかったことで、営業利益は同4.8%減の1,149億円、当期純利益は同5.1%減の676億円の減益となった。

'19年3月末時点の加入世帯は、ホームパス(ネットワークが敷設済みでサービス提供可能)が1,383万世帯(前年比プラス10万)、ケーブルテレビは383万世帯(同プラス5万)。インターネットは374万世帯(同プラス14万)、固定電話は377万世帯(同マイナス1万)。

'19年3月期連結業績
CATVなど主要事業の実績

井村社長は’18年度の事業内容を振り返り、メディア事業においてはコンテンツ製作や映画、アニメ事業などを展開する子会社のアスミック・エースが、映画「カメラを止めるな!」の配給に協力して興行収入31億円を達成し、「我々としても非常に嬉しいサプライズだった」とした。

また、動画広告事業の拡大に着手しプルークスを連結子会社化したほか、関東エリアでのガス販売事業参入など、エネルギー事業も拡大。そのほか、次の収益の柱となる事業構築に向け、社内ベンチャー制度「J:COMイノベーションプログラム」を始動するなど、中期課題への取り組みも強化した。

J:COMの井村公彦社長
2018年度の事業内容の振り返り

今後、第5世代移動通信システム(5G)を活用した事業に取り組むことを「意欲的に検討中」とする。具体的な内容や提供時期などについては言及を避けたが、5G FWA(固定無線アクセス)によるアクセス網の提供や、総務省が制度整備を進めているローカル5Gなどを例として挙げ、「5Gを使って地域の課題解決と持続性のある社会基盤の構築を行ない、地域のニーズに応えて全国キャリアとの差別化を図りたい」とした。

5Gを活用した事業展開も「意欲的に検討」