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世界初、軽種馬を高精細リアルタイムに観察・見守る5G×8K実験

シャープ、KDDI、国際電気通信基礎技術研究所(ATI)らは、第5世代移動通信システム「5G」を活用した8K映像のリアルタイム伝送を行ない、軽種馬のトレーニングの様子や厩舎内での様子を遠隔から観察・見守りを行なう実証試験を11月に実施。ドローンから撮影した8K映像のリアルタイム伝送に、世界で初めて成功した。

実証実験の様子

東京大学大学院情報学環、北海道新冠郡新冠町、日高軽種馬共同育成公社なども参加した今回の実験では、日高軽種馬共同育成公社に5Gネットワーク環境を構築し、ドローンに搭載した8Kカメラからの超高精細映像を通じて、走行する軽種馬のトレーニングの様子や足運びまで鮮明に観察できることを確認。

8Kカメラで撮影した軽種馬
トレーニングコースを走る軽種馬の観察

さらに5Gエリア化した厩舎内に設置した8Kカメラの映像や、4Kカメラ4台の映像を合成したマルチアングルの8K映像を、事務所などの遠隔地へリアルタイムに伝送することで、厩舎やトレーニングコースに出向くことなく歩様や毛並み、筋肉の付き方、骨格などの育成状況・健康状態の確認を可能とした。

厩舎内の軽種馬観察

実験が行なわれた北海道日高地方は、日本における軽種馬の生産頭数約7,000頭の約8割を占めており、中でも新冠町は1,000頭以上を生み出す産地。新冠町の多くの生産牧場では、競りに向けて調教・育成を担当する育成牧場に仔馬を預けており、生産牧場からは「預けている仔馬の状況を確認したい」、また関東、関西などに在住の馬主からは「レースに出走するまでの仔馬の育成状況を遠隔地から高精細映像で観察したい」というニーズがあるという。

8K超高精細映像の5Gによるリアルタイム伝送が可能になることで、遠隔診断や健康状態の確認による軽種馬育成の効率化が可能になるほか、ドローンから撮影した軽種馬が疾走する臨場感溢れる映像を観光施設や交通拠点などで放映することで、軽種馬への興味喚起や観光振興への貢献が期待できるとしている。


    各社の役割
  • シャープ:ドローンを用いた8K空撮システム(8Kカメラ×1台)構築、8K映像伝送システム(8Kカメラ×1台)構築
  • KDDI:本試験の実施、および5Gエリアの設計・構築
  • ATR:本試験の実施、推進
  • 東京大学大学院情報学環:8K映像伝送システム(4Kカメラ×4台)構築
  • 新冠町:本試験の実施アイディア提案
  • 日高軽種馬共同育成公社:実施場所の提供、競走馬育成への応用評価