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無許諾音楽アプリ利用者は246万人。6割超が「使い続ける」

日本レコード協会や日本音楽事業者協会など音楽関係6団体で構成される無許諾音楽アプリ実態調査委員会は、いわゆる“無許諾音楽アプリ”利用実態の調査結果報告書を公表した。同アプリの推計利用者数は人口の2%にあたる246万人で、このうち10~20代の合計は全体の78.7%を占める約194万人に上っている。

無許諾音楽アプリ利用者数(構成)

無許諾音楽アプリとは、アーティストなど権利者が想定しない態様による音楽配信を可能とするもので、「MusicFM」や「MusicBox」といったものが挙げられる。

無許諾音楽アプリ利用者数と楽曲再生回数の推移

これら無許諾音楽アプリによる楽曲の推計年間再生回数は115億回で、2013年からの累計再生回数は478億回。1日あたりの楽曲再生回数は平日が12.25回、休日が13.75回におよぶ。

そして、無許諾音楽アプリによる収益が「アーティストなど権利者に還元されていないと知りながらも使い続ける」と回答した人は86.2%で、全体の6割超が「気になりながらも使い続ける」と回答した。

今回の調査は2020年3月に、全国12~69歳の男女を対象にWEBアンケートで行なわれたもの。スクリーニング調査は10,000サンプル、本調査は1,034サンプル。ただし、コロナ禍による生活様式や環境の変化による影響については把握されておらず、ネット利用時間が増えたことで、また異なる利用実態が存在すると想定されるという。

調査報告書では、無許諾音楽アプリの登場で、特に若年層では「音楽の購入や利用に対する支出やアーティストに還元する慣習や意識そのものを認識せず、音楽に触れている可能性」があるといい、健全化を図れない場合は無許諾音楽アプリの利用者の増加、それに伴う被害の拡大・深刻化は避けられないとの見方が示された。

対策として、「音楽業界にとってこの事態そのものが被害や損失を超えた音楽市場の滅失に繋がることを再認識」し、海賊版リーチサイト・アプリ規制を盛り込んだ改正著作権法の施行、適法な情報流通にも配慮した適切な運用による事態の早期の打開が望まれるとしている。

また、無許諾音楽アプリ拡散を防ぐためにアプリストアにおける対策強化や、実態把握に向けたアプリストアと音楽業界との協力関係構築による事前防止策の適用、利用者への周知啓発活動、若年層の利用者がより合法的に音楽に触れやすいビジネスモデル構築が必要とも記されている。