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ヤマハ、デザイン&音質一新のAVアンプ「AVENTAGE」。11chのA8Aなど3機

11chのパワーアンプを内蔵した最上位「RX-A8A」

ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」(アベンタージュ)の上位モデルとして、11chのパワーアンプを内蔵した最上位「RX-A8A」を8月31日に418,000円で、9chの「RX-A6A」を8月31日に275,000円で、7chの「RX-A4A」を132,000円で7月30日に発売する。いずれのモデルも予約開始は7月1日から。

「音色の正確な再現」、「静と動の表現による躍動感」、「空間描写」にこだわったAVENTAGEシリーズの新製品。いずれのモデルにも、ミニマルでエレガントなデザインを採用している。

左からA4A、A6A、A8A
ミニマルでエレガントなデザインを採用

信号伝送経路を見直す事で、効率的な信号伝送を追求。ローインピーダンス化を実現した。さらに、プリアンプ部に多層基板(4層)を採用する事で、理想的な信号・電源・グランド配線を可能にしている。こうした改善により、クロストークを改善し、音の明瞭度が向上したとする。

電源部では、電流増幅部分用のトランスと、電圧増幅部用トランスで、巻線を分離。ノイズのない、クリーンな電源が得られ、微細音の表現力が向上したとする。

最上位のA8Aでは、パワーアンプ電源用線材とグランド線材を、セパレートAVアンプである「MX-A5200」と同じ太さのものへ変更。安定した電源供給を実現し、低重心な低域再生も可能にしたという。

いずれのモデルも、容量をアップさせたヤマハカスタム製のブロックケミコンを採用。パワーアンプのドライブ力が向上し、豊かで芯のある低域再生を可能にしたという。WIMAのフィルムコンデンサーも新たに採用。低域のエネルギー感を強く打ち出し、全体域で音のメリハリを向上させた。

DACチップはESS製。A4Aは「ES9007S」、A6Aは「ES9026PRO」と「ES9007S」、A8Aは「ES9026PRO」を2基搭載。これにより、A8Aのプリアンプ部は、セパレートのプリである「CX-A5200」と同等の性能を実現したとする。

筐体も進化。電源トランスの振動による共振を抑えるために、新メカニカル構造を採用。ノイズを軽減し、音の明瞭度がアップする効果があるという。H型クロスフレームも改良され、接着面を増加。箱全体の強度が倍に向上し、透明感、開放感のあるサウンドに寄与したという。

AVENTAGEのシンボルとも言える“5番目の脚”も、筐体底部に搭載。トランスの振動のサポートを最適化している。新機種ではトランスの位置を前方に変更しており、これに合わせて、振動解析を駆使して“5番目の脚”の取り付け位置も見直されている。また、A8Aの“5番目の脚”には真鍮パーツも投入。音の情報量の増加を実現し、豊かな質感、実体感のあるサウンドになったという。

新機種では、ハイスルーレートアンプを採用。入力信号の急激な変化に対応でき、特に高解像度のオーディオ信号に適した綿密な信号伝送に効果を発揮。音に対する高い追従性と、安定した信号伝送を両立した新開発のアンプ回路を使う事で、旧モデルより約2倍以上のスルーレート改善を実現した。

特に「RX-A8A」ではパワーアンプ部電源用とグランド配線に、セパレートのパワーアンプ「MX-A5200」と同じ太さの配線を採用することで、さらなるローインピーダンス化を実現している。

7chの「RX-A4A」
9chの「RX-A6A」

今後のファームウェアアップデートにより、A8AとA6Aは、自然な音響再生を可能にするAURO-3Dに対応予定。A8Aは最大AURO 11.1ch、A6Aは最大AURO 9.1chまで再生できる。さらにAuro-Matic Upmixerによって、モノラル、ステレオ、サラウンドコンテンツを自然な3Dサラウンドにアップミックス再生も可能。

A8A

全モデルで、Dolby AtmosとDTS:Xにも対応。Dolby Atmos Height Virtualizer機能も搭載しており、ハイトスピーカーを設置していない5.1ch、7.1ch構成でも、高さを含むあらゆる方向から音が感じられる没入感の高い音場が得られる。

フロント/リアプレゼンススピーカーを含む最大11.2chスピーカー構成と、通常のシネマ DSPを上回る情報密度を駆使して高さ方向を含む空間情報の完全再現を目指す3次元立体音場創生の最高峰「シネマ DSP HD3(エイチディ キュービック)」にも対応。そのシネマDSP HD3サラウンドプログラムと、3Dサラウンドフォーマット(Dolby Atmos/DTS:X)との掛け合わせ再生もできる。搭載のシネマDSP音場プログラムは計24種類。

AI(人工知能)が視聴中のコンテンツに含まれるセリフや BGM、環境音、効果音などを分析し、シーンに応じて最適な音場効果を自動的に創出する独自のサラウンド機能「SURROUND:AI」も搭載。新機種では従来モデル比で約7倍の信号処理性能を持つQualcommの64bit SoC「QCS407」を採用することでより高精度な演算処理が可能になり、ノイズに起因する過度な音の響きを抑え、音像の輪郭を鮮明に表現できるという。なお、SURROUND:AIはDolby Atmos、DTS:Xとの掛け合わせ再生にも対応する。

付属のマイクで測定し、室内の初期反射音を制御し、設置環境の違いによる音質・音場の隔たりなどを補正する「YPAOハイプレシジョンEQ」が利用可能。セパレートのAVプリアンプ「CXA5100/5200」で採用した処理を、チップの処理性能向上により下位モデルへも継承。64bit演算でイコライジング処理を高精度で行なう事で、演算誤差が無く、ノイズが少ない、音質劣化がほとんど無い補正が可能になったという。

マイクを使った測定では、各スピーカーの距離、角度、高さを測定することで、完全な位置を把握する「YPAO-3D測定」が可能。3D音声フォーマットの空間に定位する音の再現を正確にできる。

さらに、新機能「YPAO-Low Frequency Mode」も搭載。波長が長く、定在波として残りやすい15.6Hz~200Hzのみをターゲットに調整を行なう機能で、低域のメリハリや見通しを向上させる事ができる。

このモードの利点は、低域のみをターゲットとする事で、より細かく丁寧な調整が可能。異なる時間軸で周波数の減衰を測定し、その中で減衰の低い周波数を調整していくが、具体的には、他のモードでは31.2Hz~16kHzまでを、1/3オクターブ区切りで調整していくのに対して、YPAO-Low Frequency Modeでは15.6Hz~200Hzをターゲットに、1/12オクターブ区切りで細かく調整できる。

前述の新DSPと、FPGA回路を組み合わせ、より柔軟な信号処理と、高度な処理能力を実現。デジタル部分を柔軟にアップデート可能とし、「長期的かつ継続的に顧客サービスを提供するための新しいプラットフォーム確立を目指した」という。

A6A

8K/60Hz、4K/120Hz対応

HDMI2.1をサポート。HDR映像の伝送や、8K/60Hz、4K/120Hzのパススルー/4Kアップスケーリングも可能な7入力/3出力のHDMI端子を搭載。全ての端子が8K/60Hz、4K/120Hz信号に対応しているため、最新ゲーム機など複数の8K再生機器を同時に接続できる。

今後のファームウェアアップデートにより、4K100AB/120AB、8K/24/25/30、8K50AB/60AB映像に対応可能(A=10bit 4:2:0非圧縮、B=10bit 4:4:4圧縮、AB=どちらもサポート)。ファームアップによりHDR10+にも対応予定で、ゲーム用の機能として、VRR、QMS、QFT、ALLMにも対応する予定。

HDMI出力の電源容量は、従来の150mAから300mAに強化。アクティブタイプのHDMIケーブルを使った際に、十分な電源供給により安定した伝送が可能という。

UIも刷新

ユーザーインターフェイスも刷新。これまでは「設定」と「操作」のUI構造が分かれていたが、ユーザーの声を参考に改善。

初期設定では「AV setup guide APP」を使用。GUIはすべての項目を説明付きでサポート。詳細設定のGUIでは、ディスプレイに詳細な情報を表示する。

基本操作では、LCDフロントパネルのタッチセンサーとジョグダイヤルを活用。AmazonのAlexaにも対応しているため、声での操作も可能。

これまで採用されていた「AV controller APP」は、新モデルでは非対応となり、MusicCast APPに統合される。

前面ディスプレイの表示も、視認性を向上。ボリューム操作をしている時は、ボリューム値の数字が大きく表示され、操作を終えると1秒後に表示が元のサイズに戻るようになっている。

筐体のデザインはシンプルになり、黒鏡面仕上げの前面パネルには、中央に大型ボリュームノブを配置。ボリュームノブは表面にスピン加工を施したアルミ素材を使用し、グリップ部分にシボ加工を施すことで高級感と上質な手触りを実現している。

ネットワーク再生機能のMusicCastにも対応しており、対応するワイヤレススピーカーである「MusicCast 20」もしくは「MusicCast 50」と組み合わせる事で、これらのワイヤレススピーカーを、AVアンプのワイヤレスリアスピーカーとして使うこともできる。

ネットワーク再生では、ハイレゾ音楽の再生も可能。DSD 11.2MHz、WAV/AIFF 384kHz/32bit(32bit-floatファイルは非対応)、FLAC 384kHz/24bit、Apple Lossless 96kHz/24bitをサポート。音楽配信サービスのDeezer HiFi、Amazon Music HDにも対応。Spotify Connectもサポートしている。

最大出力はA8AとA6Aが220W/ch(8Ω)、A4Aが165W/ch(8Ω)。アナログ音声入力は、A8AとA6Aが7系統(RCA×6※Phono×1含む、XLRバランス×1)、A4Aが4系統(RCA×4※Phono×1含む)。デジタル音声入力は、A8AとA6Aが光デジタル×3、同軸デジタル×2、A4Aが光デジタル×2、同軸デジタル×1を搭載する。HDMI以外の映像入力としてA8AとA6Aは、コンポジット×2、コンポーネント×1も備える。

Bluetoothもサポートし、SBC/AACコーデックに対応。Wi-Fiも内蔵する。消費電力はA8Aが600W、A6Aが500W、A4Aが410W。外形寸法と重量は、A8Aが435×477×192mm(幅×奥行き×高さ)で21.4kg、A6AとA4Aのサイズは435×442×192mm(同)で共通。重量はA6Aが20.3kg、A4Aが16.2kg。

A4A