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デノン、7.7万円のAVアンプ「AVR-X1700H」。山内氏が初期から開発

AVR-X1700H

デノンは、AVアンプの新モデル「AVR-X1700H」を11月下旬に発売する。7.2chアンプで、価格は77,000円。カラーはブラック。サウンドマスター・山内慎一氏が、開発の初期から深く関わった初のAVアンプとなる。

最大出力175W(6Ω、1kHz、THD10%、1ch駆動)、Hi-Fiオーディオアンプの設計思想を継承したという7chディスクリート・パワーアンプを搭載。

7chディスクリート・パワーアンプを搭載
AVR-X1700H

オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。ステレオや5.1ch、7.1chのソースを再生する際に、Dolby SurroundやNeural:Xを使い、3Dサウンドにアップミックスする事も可能。バーチャル3DサラウンドのDolby Atmos Height Virtualizer DTS Virtual:Xも利用可能。ハイトスピーカーやサラウンドスピーカーを設置していない環境でも、擬似的にイマーシブオーディオを再現できる。

4K/8K衛星放送で使用されている音声フォーマット、MPEG-4 AAC(ステレオ、5.1ch)のデコードにも対応。4Kや8Kの放送を、サラウンドサウンドと共に楽しめる。

HDRのパススルーは、HDR10、Dolby Vision、HLGに加え、HDR10+とDynamic HDRにも対応。HDMI 2.1の新機能である「ALLM(Auto Low Latency Mode)」、「VRR(Variable Refresh Rate)」、「QFT(Quick Frame Transport)」、「QMS(Quick Media Switching)」にも対応する。

HDMI入力は6系統備。内3系統は、8K/60pと4K/120pに対応。出力は1系統装備。すべてのHDMI端子は、著作権保護技術のHDCP 2.3に対応する。

サウンドマスター・山内氏

サウンド面の特徴は、サウンドマスター・山内氏が、開発の初期から深く関わり、AVアンプでも、ピュアオーディオと同じ “ビビッド & スペーシャス”なサウンドを追求したこと。基本設計のチューニングと、さらなるスケールアップを図っている。

音質にとって最も重要なパーツの一つであるパワートランジスタを、外部のパーツメーカーと共同開発。トランジスター内部の回路パターンを変更するなど、山内氏が望むシャープな音像やフォーカス感、分解能による高い精度感を追求し、誕生したトランジスタを搭載している。

さらに、パワーアンプ、プリアンプ、DAC部分において、信号ラインの出力インピーダンスを可能な限り低減。ワイヤリング・ビスの選定や、緩衝材の見直し、電解コンデンサーの耐圧・容量の変更など、実に電子部品で70箇所、その他で30箇所もの変更を行ない、全体の作り込みを徹底した。

クリーンで安定した電源供給を実現するため、低リーケージフラックス、低振動を突き詰めたカスタム仕様の大型EIコアトランスを搭載。電源部のブロックコンデンサーには、AVR-X1700H専用にチューニングされた大容量10,000uFのカスタムコンデンサーを2個使用し、信号経路および電源供給ラインの最短化や、基板上のパターンを太くするなどの改良を行ない、5ch同時再生時でも定格出力の70%以上という大出力を可能にした。

電源回路

さらに、DAC、DSP、HDMI回路への電源供給を行なうデジタル電源基板を一新。エルナー製コンデンサーなどの音質対策パーツを使用することで、サウンドの純度を高め、より広い空間表現力を追求。

デジタル電源回路のスイッチング周波数を通常の約3倍にすることでスイッチングノイズを可聴帯域外へシフトさせ、再生音への影響を排除した。スイッチングトランスにはシールドプレートを追加し、デジタル電源回路全体をシールドプレートで覆うことで、周辺回路への干渉を抑制。アナログビデオ回路への電源供給もスイッチング電源から行うなことで、オーディオ回路への影響を排除している。

一体型のボリュームICをあえて使わず、半導体メーカーと共同開発した、入力セレクター、ボリューム、出力セレクター、それぞれに特化したカスタムデバイスを採用。ハイエンドモデルのために開発されたもので、フラッグシップモデルのAVC-X8500HAにも採用されているものだが、AVR-X1700Hにも投入。専用のデバイスを最適な配置で基板上に実装することで、音質を最優先したシンプルかつストレートな信号経路を実現。さらに、一体型ボリュームに集約された不要なバッファ回路を取り除く事で、よりストレートなサウンドを実現した。

入力セレクター、ボリューム、出力セレクター、それぞれに特化したカスタムデバイスを採用

信号処理用に、32bitのクアッドコアDSPを採用。高い処理能力を活かし、Dolby Atmos、DTS:Xのパフォーマンスも余すとこなく再生可能。DACチップは、サウンドマスターによるリスニングテストによって選択された32bit対応のDACを採用。「旭化成エレクトロニクスのものではない、2ch用DACを4基搭載している」とのこと。温度変化による抵抗値のばらつきが小さく、電流起因によるノイズと歪みが少ない薄膜抵抗を採用することで、DACの性能を最大限引き出している。

サウンドマスターによるリスニングテストによって選択された32bit対応のDACを採用

DAC部分のポストフィルターに、高性能なオペアンプを投入。チップ内部の構成やワイヤリングのリファインに加え、高品質なシリコンウェファーの採用によって音質対策されたオペアンプになっており、音の密度や解像感、空間表現を向上させている。

ネットワークオーディオのプラットフォーム「HEOS」を搭載。ストリーミングサービスやインターネットラジオ、LAN内のNASなどに保存したハイレゾファイルの再生も可能。ストリーミングサービスは、Amazon Music HDやAWA、Spotify、SoundCloudなどをサポートする。

ネットワーク経由や、USBメモリーからの音楽ファイル再生では、DSDは5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまでの再生が可能。DSD、WAV、 FLAC、Apple Losslessファイルのギャップレス再生にも対応する。

AirPlay 2とBluetoothもサポート。Bluetoothは受信だけでなく、送信も可能で、Bluetoothヘッドフォンへ、AVアンプのサウンドをワイヤレス伝送できる。FM/AMチューナーも搭載する。

HDMI以外の端子は、アナログ映像がコンポジット入力×2、コンポジット出力×1。音声が、アナログ音声入力×2、PHONO入力(MM)× 1、光デジタル入力×2、サブウーファープリアウト×2、 ヘッドフォン出力×1。

アンテナを寝かせた場合の外形寸法は、434×339×151mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.6kg。消費電力は440W。