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聴く読書「Audible」が聴き放題制へ。村上春樹やDC作品配信

戦略発表会に登壇した杏、森川智之、今井翼、南沙良

Amazonオーディブル(Audible)は1月26日、2022年のサービス展開および新規コンテンツプロジェクトについて発表する「Amazonオーディブル 戦略発表会 2022」を開催。このなかで、1月27日から同サービスを定額聴き放題制にすると発表した。月額費はこれまでと同じ1,500円。

会員プラン内容比較

これまで同サービスの月額会員は、ポッドキャストのみ聴き放題で、オーディオブックは毎月の請求時に付与される1コインを使って交換、もしくは個別に購入する仕組みだったが、27日からはコイン制を廃止。オーディオブックやポッドキャストなど、12万以上のコンテンツが聴き放題となる。

また、これまで利用できたオフライン再生に加え、新たにストリーミング再生も利用可能となる。

すでに会員の場合は、27日に自動的に聴き放題制の会員特典に移行するが、会員特典の利用にはアプリの更新が必要になる場合がある。また聴き放題制会員プラン特典へ移行すると、Windows 10版アプリは使用できなくなる。

会員プラン変更に伴い、コインの支給は1月26日で終了。手持ちのコインは聴き放題移行後も、発行日から起算して6カ月間は使用できる。

Audibleカントリーマネージャーの逢阪志麻氏は「聴き放題になることで、より本に親しむ機会が増えると確信しています。今回の会員プランの移行は、多くのお客様、出版社、クリエイターのみなさまにとっても、良い循環をもたらします」

「Audibleが聴き放題になることで、お客様はより多くのオーディオブックやポッドキャストを楽しむことが可能になります。お客様は多様なジャンルのなかで、好きな作品を好きなだけ楽しむことができるため、オーディブルの利用時間は増加すると考えられます。そうなると、出版社やクリエイターは今まで以上に自分たちの作品を届ける機会が増え、そしてより多くのコンテンツを、お客様に楽しんでもらえるようになります」

Audibleは2015年に日本向けサービスを開始。2018年8月にはコイン制に移行した。昨年は書籍よりも先に音声で作品を届ける「オーディブルファースト作品」の配信や、主要ラジオ局とのオリジナルポッドキャスト制作などを実施し、'18年8月比で、昨年12月時点の会員数は約4.5倍へと増加した。

村上春樹作品のオーディオブックなどコンテンツも拡充

「The Sandman」

2022年に向けては、コンテンツも拡充する。Audibleが手掛けるオリジナルコンテンツ「audible ORIGINAL」からは、Netflixで映像化も決まったDCコミック「The Sandman」を日本語化し、今春に配信する。

主人公のモルフェウス役を務めるのは声優の森川智之、デス役は女優の南沙良。ナレーションは今井翼が担当する。このほか俳優や声優など総勢50名以上のキャストが参加するとのこと。

「The Sandman」に参加する森川智之、今井翼、南沙良の三人

モルフェウス役の森川は「声優冥利につきるというか。声優という職業の大本をたどるとラジオドラマが始まりなんですよね。今回、Audibleという最新技術を使ったオーディオでドラマを作れる。その一端を担えるのは光栄ですし、嬉しく思いました」とコメント。

ナレーターを務める今井は「今回収録ではじめて音声コンテンツというものを知ったんですが、読書とは違って、音だけの世界でストーリを感じていくのは新しい体験でした」と語った。

またデス役の南は「普段は表情なども含めて表現するんですが、声だけで表現するのは初めてでした。一番難しかったのは本国版の声優さんの尺に合わせることでした」と、本作ならではの難しさを吐露すると、森川も「尺を合わせるのは、僕も難しいんです(笑)」と明かした。

「収録現場にはモニターがあって、そこにオリジナル音声の波形が出るんですよね。(演技やBGMなど)すべてが合わさって完成するエンターテインメントなので、日本版でもそれに合わせないといけないんです。そこにプラスして、日本語としてもしっかりお芝居をしなくちゃいけなくて。すごい大変なんです。例えば吹替作品なら音声を聴きながら、アニメなら画を見ながらできるんですが、今回は違いましたね」

最後に森川は「主人公のモルフェウスを演じさせていただきますが、豪華なキャスティング、今井さんのナレーション、デスを演じる南さんの透明感ある声で、素敵な演技を聴けます。春から配信で、20エピソードありますので、たっぷりとこの世界観を堪能していただければと思います」と呼びかけた。

「Journey To The Origin With Anne」
戦略発表会に登壇した杏

ポッドキャストでは、吉本興業やTBSラジオ、ニッポン放送、松竹などとタッグを組み、新たな作品を追加。さらに女優の杏とAudibleが共同で企画を行なったオリジナルポッドキャスト「Journey To The Origin With Anne」も配信する。

オーディオブックでは、長年ユーザーから要望が多かったという村上春樹氏の作品をオーディオブック化する。今回のラインナップは「1Q84」「騎士団長殺し」「海辺のカフカ」「神の子どもたちはみな踊る」「職業としての小説家」「東京奇譚集」「ねじまき鳥クロニクル」「世界の終りハードボイルド・ワンダーランド」「螢・納屋を焼く・その他の短編」「辺境・近境」の10作品で、いずれもAudible独占、聴き放題配信となる。

オーディオブック化について、村上氏は次のようにコメントを寄せている。

耳で読まれる小説

僕は車を運転しながら、よく小説の朗読を聴いています。
僕の場合、どちらかといえば古典作品を「聴く」ことが多いんだけど、自分の小説がほとんど同時代的に「耳で読まれる」というのは、嬉しいようでもあり、また少しばかり気恥ずかしいようでもあります。

でもこれからはおそらく、多様な形式をとって小説は読まれていくのだろうし、作家の側も多かれ少なかれ、そういう新しい環境を念頭に置いて作品を書いていくことになるのだろうと思います。

これまでになかった新しい可能性が生まれるといいと思う。

村上春樹

朗読を担当するのは豪華俳優陣で、「騎士団長殺し」は高橋一生、「海辺のカフカ」は木村佳乃、「神の子どもたちはみな踊る」は仲野太賀、「職業としての小説家」は小澤征悦、「東京奇譚集」はイッセー尾形が担当する。

そのほか、「オーディブルファースト作品」では新潮社との取り組みで三浦しをん著「墨のゆらめき」(仮題)の配信を予定しているほか、河出書房新社、幻冬舎、講談社、実業之日本社を含む多くの出版社とも新プロジェクトを始動させる。