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JASRACら19団体「必ず実現させる必要ある」。BDレコーダ私的録音録画補償金制度対象化

JASRAC公式サイトより

日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会などの権利者19団体は9月9日、文化庁が8月23日に示した私的録音録画補償金の新たな対象機器としてブルーレイディスクレコーダーを指定する著作権法施行令の改正案について、「音楽や映像のクリエーターに適切な対価を還元する環境を再構築するために必要不可欠なプロセスであり、私たちはこの改正案を強く支持します」とのコメントを発表した。

BDレコーダを私的録音録画補償金制度の対象に、意見募集開始

コメントでは、日本での著作権法上、作品をコピーして個人や家庭内で楽しむことが法律で認められているものの、デジタル機器によるコピーについては元の作品と同じ品質の複製を生み出すという特徴があると指摘。その上で、「いくら『私的な楽しみ』だとはいえ、オリジナルとまったく等価な複製が世の中に数多く生まれることは、クリエーターが本来得られるはずだった利益に大きな影響を及ぼすことになります」としている。

そして私的録音録画補償金制度は、デジタル機器による私的なコピーについて、補償金を還元することにより、「私的な楽しみ」と「クリエーターの利益」との調和を図るために設けられているものであり、同様の制度はフランス、イタリア、ドイツをはじめとしたヨーロッパ各国でも設けられているとした。

しかし、技術の進化に伴ってコピーに利用される機器等が変化してきた中で、主流となってきた多機能機器等がヨーロッパ各国のように制度の対象に指定されてこなかった結果、日本では「制度自体は存続していながら、補償金がほぼゼロに近くなったまま、すでに10年以上の歳月が経過しています。『私的な楽しみ』と、『クリエーターの利益』のバランスは、大きく崩れたままです」としている。

地上放送を録画する場合に働く著作権保護技術、ダビング10については実態調査の結果、ユーザーが行なうコピーは2回までが大半を占め、10回という回数はユーザーのニーズを過度に制限する数字ではないと指摘。むしろ「私的な規模や領域を超えてまでコピーが拡散することを抑止しているにすぎず、その範囲で行えるコピーに対する対価の還元の必要性がなくなるわけでもありません」と指摘している。

今回の指定により徴収される補償金の額については、「これまでの例によれば機器の出荷価格の1%程度であり、平均してレコーダー1台で数百円、ディスク1枚で数円程度になると考えられます」とした。

今回の指定について「クリエーターへの対価の還元が果たされないまま放置され続けてきたアンバランスな状態を改善へと舵を切ることを意味するものであり、必ず実現させる必要があります。その一方で、これまでの経緯を振り返れば、現行の私的録音録画補償金制度は、クリエーターに対価を還元していくための実効性からみれば、たしかに時代遅れで不完全な制度と言わざるを得ません。ただ、制度がどれだけ時代遅れで不完全だったとしても、クリエーターへの対価の還元の必要性がなくなるわけではありません」と、支持を強調。

最後に「われわれ19団体は、改組された私的録音録画補償金管理協会に協力して、新たな機器の指定に対応した補償金の管理を適正に進める体制を整えるとともに、インターネットを介したコンテンツ流通が主流となりつつあるいま、現行制度の在り方を含めて、新しい時代に即した対価還元の仕組みづくりの議論に、積極的に貢献していく所存です」とした。

このコメントに名を連ねたのは、映像コンテンツ権利処理機構、映像実演権利者合同機構、演奏家権利処理合同機構MPN、全日本テレビ番組製作社連盟、日本映画製作者協会、日本映画製作者連盟、日本映像ソフト協会、日本音楽作家団体協議会、日本音楽事業者協会、日本音楽出版社協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽著作権協会、日本脚本家連盟、日本芸能実演家団体協議会、日本シナリオ作家協会、日本動画協会、日本文藝家協会、日本民間放送連盟、日本レコード協会の19団体。

文化庁の改正政令案については、JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)が8月23日に「政策としての合理性が無いものと考え、強く反対する」という意見書を発表済み。文化庁のパブリック・コメントの募集は2022年9月21日23時59分まで行なわれている。

JEITA「強く反対する」。BDレコーダ私的録音録画補償金制度対象化