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文化庁、「ブルーレイ補償金」パブコメに回答。ダビング10でも「別途補償は必要」

文化庁ホームページより

文化庁は5日、ブルーレイレコーダーおよびブルーレイディスクを補償金対象とする「著作権法改正案」に関して寄せられたパブリックコメントに回答。ダビング10などの著作権保護技術が導入されている現在の状況を踏まえたうえで、「別途補償は必要である」との考え方を示した。

パブリックコメントに対する文化庁の考え方(案)は、10月5日に開催された「文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第1回)」で配布された資料で明らかとなったもの。同委員会には、大学教授や作家、弁護士などの有識者や権利者団体在籍者など、計18名が参加。今後は、DX時代における著作物の権利保護や適切な対価還元策などの基本政策を検討・審議する予定。

配布された資料では、改正案に対する賛成・反対意見を含む56のパブリックコメントと、それに対する文化庁の考え方(案)が示された。

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なぜ今新規に機器の指定を行なうのか? という意見に関しては、「私的録音録画補償金制度の在り方については、文化審議会著作権分科会等の場において、長年、当事者を含めた関係者による議論が継続してきた」こと、「知的財産推進計画2020において、新たな対価還元策が実現するまでの過渡的な措置として、私的録音録画の実態等に応じた具体的な対象機器等の特定について、可能な限り早期に必要な措置を講ずることとされたこと」、「令和2年に関係府省庁で共同し、私的目的の録音・録画に係る実態を把握するための調査を実施し、ブルーレイディスクレコーダーについて私的録画の蓋然性の高い実態が確認された」こと、さらに「著作権の権利者団体においては、本年6月に私的録画に関する補償金の徴収分配を担う管理団体が設立するなど、運用面での準備が進められている」などの経緯から、今回の提案をしたと記した。

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また「製造業者等との協議や消費者への周知、意見の反映、その他関係者の合意、検討が不十分。関係者の合意は政令指定の条件ではないのか」という意見に対しても回答。

「政令を定める上で、法令上、製造業者等の合意は条件となっていませんが、今回の案について製造業者等と協議を重ねてきたところです。追加指定が行われた際には、著作権法上、製造業者等は補償金の支払・受領に関する協力義務がありますので、円滑に運用されるためにも関係者の理解は重要であると考えています」との考えを示した。

現在、テレビ放送の録画で導入されている著作権保護技術・ダビング10に関する考えも表明。

著作権保護技術の導入コストと補償金の二重負担になるのでは、との意見については、「法律で認められている個人的に又は家庭内等の私的な複製の範囲を超えたコピーを防止するという意義がある一方で、その回数の範囲内であれば自由にコピーを行うことができることに変わりありません」と回答。

加えて「私的録音録画補償金制度が、個々の利用行為としては零細な私的複製であっても、社会全体としてはデジタル技術により大量の高品質な録音物・録画物が作成・保存されることで損なわれるクリエイターへの不利益に対して経済的補償を行うものであるという趣旨に鑑みると、別途補償は必要であると考えられます」と、考えを述べた。

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デジタル放送専用録画機は当時の著作権法施行令の規定に照らして私的録音録画補償金の対象機器に該当しない旨を判示した平成23年の知的財産高等裁判所の判決については、「当時の著作権法施行令の規定に照らしてデジタル放送専用録画機が私的録音録画補償金の対象機器に該当するか否か疑義があったことに対し、該当しない旨判示したもの」と主張。

「今回の追加指定は、現行制度に定められた要件に基づき、私的録画の蓋然性の高い実態が確認されたブルーレイディスクレコーダーを対象機器とするものであり、当該判決の趣旨を踏まえ、疑義が生じないよう対象機器を明確に規定してまいります」とした。

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また「録画機能付きテレビやPC、スマートフォン、また、記録媒体についてもクラウドサービス等との平仄が取れないのではないか」との意見に対しては、「今回の追加指定は、現行制度に定められた要件に基づき、私的録画の蓋然性の高い実態が確認されたブルーレイディスクレコーダーを対象機器とするものです」としながらも、「今回の措置は、知的財産推進計画において、新たな対価還元策が実現されるまでの過渡的なものとされており、今後の対価還元方策の在り方については、現行制度も含めこれまで指摘された課題や著作物の流通・利用状況、今後のコンテンツ市場や国際的な著作権法制の動向等を踏まえて、検討してまいります」と記した。

「ブルーレイディスクレコーダーの市場は大きくなく、縮小しており、関連産業への影響が懸念される、また、効果も限定的ではないか、または、テレビ離れが進むのではないか」との意見については、「今回は、関係省庁で共同して行った実態調査を踏まえ、対象機器を特定しています。この制度が運用されることにより、私的に録音・録画を行う利用者の自由と、クリエイターの利益との調整が適切に図られていくものと考えます。なお、テレビの視聴には様々な目的が考えられ、今回の措置が一概にテレビ離れにつながるものとは考えておりません」と回答した。

資料では、タイムシフト目的の場合は補償不要、適切に補償金が権利者に分配されているのか疑問、既に購入済みの機器や機器の使用頻度に応じた課金等の検討が望ましい、などの意見に対する同庁の考えも記されている。