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クリプトン、3回路構成の最上位電源BOX、普及価格バイワイヤリングケーブル
2022年9月9日 17:31
クリプトンは、オーディオアクセサリの新製品として、ハイエンドの電源ボックス「PB-HR3000」を10月下旬、バイワイヤリング対応のスピーカーケーブル「SC-HR2020」と、オーディオボードの「AB-111」を10月上旬に発売する。価格(税抜)は電源ボックスが214,000円、スピーカーケーブルが1mあたり9,800円(切売)、オーディオボードが22,000円。
電源ボックス「PB-HR3000」
HR(High Resolution)シリーズの最上位電源ボックスで、PB-HR2000の後継機種となる。
既発売「PB-HR1500」のコンセント数は、アンプなどの大電流機器・高ノイズ機器用(PC&HighPower)×2個、CDプレーヤーやプリアンプなどの小電流機器(LowPower)×4個という構成だが、PB-HR3000はHighPower×2、Digital×2×LowPower用×4という構成になった。つまり、独自の2回路構成が、3回路構成になっている。
これにより、大電流機器、小電流機器とDigitalの分離接続が可能になり、機器間の相互影響を大幅に軽減できたという。コンセント数も、シリーズ従来モデルの4個や6個から、8個へと増加している。
高機能素材をふんだんに使っているのが特徴で、ノイズの除去を徹底するために「バスタレイド」と「ネオフェード」という素材を活用。
バスタレイドは電磁干渉抑制体と呼ばれるもので、電波を吸い取るようなノイズ抑制効果を持っており、レーダーに映らないステルス戦闘機などにも使われている複合磁性体。微細な金属片が方向を揃え、密に折り重なった構造で、フェライトを超えるノイズ抑制効果を持つという。
シート状にした同素材を、内部のジャンパー線(PC-Triple C)にスパイラル状に巻きつけることで、高周波ノイズを抑制。内部でアンテナ効果による高周波ノイズ成分への悪影響を軽減し、高域のSN比を改善。音の明瞭度をアップさせた。
三菱ガス化学の「ネオフェード」という素材をベースに、クリプトンと三菱ガス化学がオーディオ用素材として「ネオフェード カーボンマトリックス3層材」を開発。ネオフェードは構造体の共振を抑え、振動エネルギーを効率良く吸収して熱エネルギーに変える効果がある。これを、2枚のCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)の板で上下から挟んで3層構造としたもの。
この3層材を、天面パネルと底面のインシュレーターフットに採用。音を汚し、なまらせる不要振動を吸収させた。表面のカーボンクロス・マトリックス材には、電磁シールド効果もあり、パソコンなどのデジタルノイズの大きい機器に対して、電磁アース効果がノイズを低減するという。
また、構造体全てにステンレスを採用する事で、剛性を強化。コンセントは、レビトン製のホスピタルグレードで、ACインレットはロジウムメッキ仕上げ。外形寸法は330×130×70mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.9kg。
2回路構成の「PB-HR1500」と、新しい3回路構成の「PB-HR3000」を聴き比べてみた。3回路構成になった事で、例えば、NASをDigitalに接続、USB DACやプリアンプをLowPower、パワーアンプをHighPower、などに分離させる事が可能になった。
効果は高く、聴き比べると、3回路構成のHR3000の方がSN感や音が広がる音場の拡大といった違いが聴き取れる。HR1500と比較しても、音質の向上が体感できるので、オーディオ用ではない電源タップなどと比較すると、より大きな違いが出そうだ。
また、有機ELテレビを使ったAVシステムでHR3000とHR1500を比較しても、画質がアップ。暗部の階調や、俳優の衣装にスポットライトが当たった時の、ドレスの質感、身に付けている宝石のキラメキの鋭さなどが、HR3000ではより優れていると感じた。
スピーカーケーブル「SC-HR2020」
アンプとスピーカーとのバイワイヤリング接続には、音質的な利点があるが、その効果普及を目指して、普及価格帯のバイワイヤリングケーブルとして開発されたのが「SC-HR2020」となる。
一体のケーブルでバイワイヤリング接続が可能であり、ツイーターとウーファー用に異なるケーブルを採用しているのも特徴。
4芯構造、4芯共にポリエチレン芯(φ1.0mm導通無)に、PC-Triple Cφ0.3×7本を6束ロープ撚りして、ポリエチレンの絶縁被膜で構成。外径はφ2.7mm、4芯を合わせて介在を紙テープで巻いて、耐熱性ポリオレフィン樹脂のシースで仕上げている。
外観としてはφ10.8mm径のケーブル1本だが、バイワイヤリングで配線する場合は、ツィーター用グリーン(+)とホワイト(-)、ウーファー用レッド(+)とブラック(-)を使用する。
バイワイヤリング接続する事で、ウーファーからの逆起電力信号がツイーターに加わり、ツイーターの信号に乗ってモジュレーションを起こし、高域の透明感やSN感が低下する事が防げるという。
オーディオボード「AB-111」
今年の春に発売した「AB777」の小型版。比重の高い“ゴムの木”ランバーコア材を、オーディオボードとして使ったもの。
ゴムの木は、樹液が出なくなると20年に一度、プランテーションで伐採されてしまうが、切られた木材の内部にはまだ樹脂が残っており、比重は高く、板としても硬く、MDFなどと比べてもオーディオ用として、理想的な材料だという。
そんな“ゴムの木”ランバーコア材を、350×400×44mm(幅×奥行き×高さ)のボードとしているが、裏側をくり抜き、重量級の鉄球サンドも充填している。これにより、美しい本木の響きの良さと、鉄球サンドによる電磁波遮断、振動吸収をハイブリッドで実現したという。
仕上げはシックなブラックデザインのAB-111Bと、木目の美しいクリア塗装のAB-111Nの2色。重さはどちらも6kg。