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クリプトン、価格抑えた3回路構成電源ボックスや、コネクタ付きバイワイヤリングケーブル

電源ボックス「PB-750」

クリプトンは、オーディオアクセサリー3製品を10月より順次発売する。コネクター付きのバイワイヤリング・スピーカーケーブル「SC-HR2020/2M Y-B」が10月上旬発売で、価格は2mで115,400円(税抜)。電源ボックス「PB-750」が10月下旬で75,000円(税抜)。インシュレーター「IS-HR10」が11月上旬で18,000円(税抜)。

なお、クリプトンは5月にBluetooth受信も可能なアクティブスピーカー「KSシリーズ」の音質を高めた「KS-G」シリーズを発表しているが、その中から「KS-11G」、「KS-33G」の発売日が9月15日に決定。直販サイトのKRIPTON Online Store専用商品となっており、販売を開始している。

このKS-Gシリーズについては、本日、レビュー記事を掲載している。詳細はそちらを参照して欲しい。

KS-11G

コネクター付きのバイワイヤリング・スピーカーケーブル

2m「SC-HR2020/2M Y-B」

クリプトンは、アンプとスピーカーとのバイワイヤリング接続による、音質向上の認知拡大を目指し、バイワイヤリングケーブル「SC-HR2020」を発売している。このSC-HR2020の効果を多くの人に体験してもらうため、新たにコネクター付きのケーブルが開発された。

アンプ側にはYラグコネクター2P、スピーカー側はバナナプラグ4Pの金メッキを選定。長さは2mを標準としているが、オーダーメイドで1~4mまで、0.5m刻みで注文を受け付ける。詳細は後述の通り。アンプのスピーカーターミナルが1系統でも使用可能。また、アンプ側のYラグコネクターを4Pにする注文も可能だという。

スピーカー側はバナナプラグ4Pの金メッキ
シングルワイヤで使う時は、このようにバナナプラグを連結。後部のダイヤルを回すと、先端が開き、強固に連結できる

バイワイヤリング接続により、ウーファーからの逆起電力信号が、ツイーターに流れ込み、モジュレーションを起こし、高域の透明感とSN比が悪くなることを防げるという。さらに、クリプトンのSound Producer渡邉勝氏は「ウーファーにもツイーターの負荷がかかり、両方にストレスがかかってしまう。バイワイヤリングにする事で、ウーファーもストレスなく、本来のサウンドを再生できるようになる」と説明する。

ケーブルは4芯構造。4芯共にポリエチレン芯(φ1.0mm導通無)に、PC-Triple C φ0.3×7本を6束ロープ撚りして、ポリエチレンの絶縁被膜で構成。外径はφ2.7mm、4芯を合わせて介在を紙テープで巻いて、耐熱性のあるポリ塩化ビニルをシースとして使用している。

【ラインナップ】 全て税別価格
・1m  「SC-HR2020/1M Y-B」 95,000円 ※オーダーメイド品
・1.5m 「SC-HR2020/1.5M Y-B」 105,600円 ※オーダーメイド品
・2m  「SC-HR2020/2M Y-B」 115,400円 標準品
・2.5m 「SC-HR2020/2.5M Y-B」 125,200円 ※オーダーメイド品
・3m  「SC-HR2020/3M Y-B」 135,000円 ※オーダーメイド品
・3.5m 「SC-HR2020/3.5M Y-B」 144,800円 ※オーダーメイド品
・4m  「SC-HR2020/4M Y-B」 154,600円 ※オーダーメイド品

電源ボックス「PB-750」

PB-750

同社はコストパフォーマンスの高い電源ボックスとして、2回路フィルター構造を採用し、コンセントを6個備えた「PB-350」(税別59,000円)を発売している。そのPB-350に、ハイエンド「HRシリーズ」の「PB-HR3000」(同214,000円)の技術を投入して開発したのが新機種の「PB-750」となる。

PB-350は、筐体内を2回路フィルター構造とし、「大電流機器・高ノイズ機器」(2個口)向けと、「小電流機器」(4個口)向けに、コンセントのゾーンを分離。分離接続とすることで、機器間の相互影響を大幅に軽減していた。

PB-750は、それをさらに追求。上位HR3000と同じフィルター3回路構成とし、パソコンやDAC、NAS、ネットワークプレーヤーなど、高ノイズデジタル機器を接続するための「Digital」×2個口を追加。合計8個口のコンセントを備えた。

PB-750
内部構造図

筐体もグレードアップ。PB-350は、シャーシにt2mm厚のボンデ鋼板、コンセントパネルt1.5mm厚ステンレスを使っているが、PB-750はこのステンレス素材の厚みをt2mm厚にアップ。筐体の剛性や重量も増加している。外形寸法は330×131×75mm(縦×横×厚さ)で、重量は3.4kg。こうしたグレードアップを行ないながら、PB-350(税抜59,000円)とPB-750(同75,000円)と、価格差は抑えている。

ステンレスの厚みを比較したところ。左がt1.5mm厚のPB-350、右がt2mm厚のPB-750

高音質にこだわり、コンセントや内部配線材を試聴して厳選。アメリカン電機製コンセント、内部配線材にはOFC単線を採用。ACインレットは、信頼性が高く、定評のあるロジウムメッキ仕上げ。高容量OFC電源ケーブルが付属し、このケーブルは単品売りしている「PC-5」同等品となる。

HRインシュレーター「IS-HR10」

HRインシュレーター「IS-HR10」

振動を熱に交換するネオフェードカーボンマトリックス3層材を使ったインシュレーターで、4個セット。

新素材のネオフェードカーボンマトリックス3層材は、「いかに早く振動を自然減衰させ理想の減衰特性を目指すか」というコンセプトで開発されたもの。ネオフェードという素材を、カーボン(CFRP:炭素繊維強化プラスチック)の薄い板で上下からサンドイッチした構造になっている。

ネオフェードカーボンマトリックス3層材

役割は、上下のカーボン素材により振動の音速を速めて表面波として高速に伝播。そのエネルギーをネオフェードで熱交換し、振動をスムーズに吸収させる。

渡邉氏は、「振動の吸収ではゴム系のインシュレーターがお馴染みだが、ゴム毬が弾むように、ゴムは吸収しているように見えて、振動が戻ってくる。しかしネオフェードは熱に変換するので、振動をスムーズに吸収できる」と利点を説明する。

新モデルでは、既発売の「IS-HR1」をひと回り小さくして高さを36%増やすことで小型ブックシェルフスピーカーで使いやすくしたほか、ステンレス部分を小さくする事で価格も抑えた。スパイク受けも装備し、小型オーディオ機器ともマッチする。外径27Φ、高さ15mm。

スパイク受けも装備

上下には耐摩耗性に優れたニトリルゴム素材のOリングを埋め込み、共振を制御すると共に、滑り止め効果も実現。機器やスピーカーを上に乗せると、Oリングが適度に沈み込み、ネオフェードカーボンマトリックス3層材に触れるようにするため、Oリングの高さにもこだわっている。重量は1個49g。

音を聴いてみる

短時間だが、ブックシェルフスピーカー「KX-5PX」を使い、新アクセサリーを試聴した。

クリプトンのスピーカー「KX-5PX」

バイワイヤリング・スピーカーケーブル「SC-HR2020/2M Y-B」の試聴は、まずジャンパーケーブルを使い、シングルワイヤで接続して音楽を再生。その後、ジャンパーケーブルを外して、バイワイヤリング接続した。

シングルワイヤからバイワイヤに切り替えると、すぐにわかるのは音場の空間サイズが広くなる事。左右や上下もそうだが、特に奥行きが深くなり、ボーカルの声が広がっていく様子が、奥の奥まで見えるようになる。また、女性の声の高い部分も、より伸びやかに聴こえる。

さらに印象的なのが、ベースなどの低域がより深くなる事。これにより迫力が増すと共に、音のコントラストが深くなり、サウンドがよりドラマチックに聴こえる。ブックシェルフが、より大きなスピーカーに変化したような感覚だ。ツイーターへの影響が抑えられるだけでなく、ウーファーもストレス無く、本来の能力を発揮できているのかもしれない。

なお、クリプトンではKXシリーズスピーカーの対象モデル(KX-5PX/KX-3SX/KX-1.5/KX-0.5II)を購入すると、スピーカーの開発者である渡邉氏が選んだ「カメラータ・トウキョウ Special Collection 名演奏家シリーズ」CD 3枚をプレゼントするキャンペーンを実施中。9月30日までの予定だったが、好評につき、11月まで延長するという。そのプレゼントCDに、渡邉氏がシングルワイヤとバイワイヤで聴き比べた試聴の感想も付属する。

「カメラータ・トウキョウ Special Collection 名演奏家シリーズ」CD 3枚をプレゼント

次に、電源ボックスのPB-750も聴いてみる。

まず、比較相手としてPB-350を用意。ソース機器のネットワークプレーヤーを「小電流機器」(4個口)に接続。アンプは「大電流機器・高ノイズ機器」のコンセントを使用。PB-750には前述の通り、高ノイズデジタル機器を接続するための「Digital」用コンセントがあるので、そちらにネットワークプレーヤーを接続した。

手前がPB-350、奥がPB-750

PB-350を使っている時点で、SN比の良い、クリアなサウンドが楽しめているのだが、PB-750に切り替えると、クラシックなどでよくある、楽器の音が無い、無音部分がより静かになる。これにより、ホールの奥行きがグッと深まり、聴いている部屋が広くなったような感覚になる。

しかし、音が“大人しく”なるわけではない。逆に1つ1つの音はよりエネルギッシュになるため、音楽から躍動感が感じられた。ハイエンドのPB-HR3000はちょっと手が出ない……という場合でも、PB-350とPB-750の価格差はそれほど大きくないので、ネットワークプレーヤーやNAS、PCのUSB DACなどを使っている人は、PB-750を選んだ方が音質のメリットはより大きいだろう。