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Shure、最上位イヤフォン「SE846」が新ノズル採用で第2世代に
2022年9月15日 07:30
Shureは、バランスド・アーマチュア(BA)ドライバー4基搭載のイヤフォン「SE846(第2世代)」を9月30日より発売する。カラーはクリア、ジェイドグリーン、グラファイトシルバーの3色。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は129,800円前後。発売に先駆け、15日より予約受付を開始する。
2013年に発売された有線イヤフォンの最上位モデル「SE846」の第2世代モデル。交換することで周波数特性を変えられるノズルインサートに「エクステンド」を新たに追加。カラーは従来機で圧倒的に人気だったというクリアはそのまま続投、そのほかの2色についても、外側にだけカラーを施し、内側をクリアにすることで“内部が見える要素”を取り入れた。
内部構造は変更されておらず、高域×1基、中域×1基、低域×2基の3ウェイ4ドライバー構成。電気的な処理を行なわずに、クリーンで解像度の高い低域を再生するローパスフィルターも特徴。迷路の様な独特な形状をしたステンレスプレートを重ねて音の通り道を作ることで、電気的な処理を行なわずに低域ユニットが発する音の中から、中域ユニットの音に悪影響を与えてしまう音を減衰する役割を持っている。
付属のツールを使ってノズル部を取り外し、中に差し込まれているノズルインサートを交換することで好みの音質に変えられる。このノズルインサートは1kHz~8kHzの高域範囲のチューニングを行なうもので、従来機では「バランス」「ウォーム(-2dB/1kHz~8kHz)」「ブライト(+2dB/1kHz~8kHz)」の3種類を付属していたが、第2世代では新たに「エクステンド」が追加。
エクステンドは、一般のオーディオファンやオーディオ評論家、エキスパートと呼ばれるユーザーなどの声を元に開発。バランスとブライトの中間に当たる立ち位置で、中高域を強化。ステレオイメージと明瞭度を高め、空気感、豊かな奥行感を実現したとする。
従来機はバランスノズルが標準で装着されていたが、第2世代ではエクステンドが装着される。なお、エクステンドノズル単体での販売はされない。
イヤフォン側端子はMMCX。3.5mmステレオミニケーブルが付属し、クリアの場合はケーブルもクリア仕様で、ほか2色はブラックのケーブルが付属する。
イヤーピースはComply製ソフトフォームのXSサイズとComply製P-Seriesソフト・フレックス・スリーブ(S/M/L)を新たに付属。従来のフォームタイプとフレックスタイプのイヤーピースも各S/M/Lの3サイズずつ備え、イエローフォームタイプとトリプルフランジタイプは各1サイズ同梱する。そのほか、ノズル交換ツール、6.3mm標準アダプタ、キャリングケースが付属する。
音を聴いてみた
まず基準となるバランスの音を聴いてみた。空間が広く感じ、楽器の音やボーカルの声が気持ちよく遠くに抜けていく感覚がありながら、低域も深さを感じられる。星街すいせい「GHOST」の出だしにあるベースの一番低いの音も輪郭がハッキリ見えるほど解像度が高く、深い低音から始まって徐々に楽器が増えて盛り上がっていくシーンが心地よい。
この低音がタイトでボワボワと広がらないので、サビの部分など楽曲全体が盛り上がっているシーンでもボーカルやギターの音がしっかりとメインとして聴き取れる。広い空間に抜けていく音にこの低域が加わることで曲全体が締まっているような印象が感じられた。
これをエクステンドに変えてみると、低域の沈み込みが若干弱くなるのだが、ボーカルの声の厚みと奥行感がグッと増す。ボーカルの声の音量だけが大きくなっているように聴こえるわけではなく、楽器の音とのバランスはそのまま、より声がくっきり聴こえて、奥の方まで響いて抜けていく感覚も強まって、存在感が増した印象。
筆者もそうなのだが、ボーカルをメインに聴きたいタイプの人はエクステンドで聴くと多くのボーカル楽曲を気持ちよく聴けそうだ。沈み込みがやや弱くなったとはいえ、低音のタイトさと抜けの良さは変わらずで、楽曲全体をしっかり支えているのも好印象だった。
エクステンドはバランスとブライトの中間ということで、ブライトの方とも比較。ブライトは高域部分に突き抜けていく感覚が強まる。高域が細部まで聴こえるため、低域の存在感はだいぶ薄れるが、ボーカルの奥行感は広がっている。
一方で、ブライトには若干耳に刺さるような帯域があるのだが、エクステンドでは、この帯域を低減したチューニングを施したそうで、ブライト寄りの伸びのある高域も備えながら耳触りが良く、バランスとブライトのいいとこ取りをしたノズルに仕上がっていた。