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「ジブリパーク」開園。宮崎駿監督「俺には真似ができない」

ジブリの大倉庫 中央階段
(C)Studio Ghibli

愛・地球博記念公園内にスタジオジブリ作品の世界観を表現した公園施設「ジブリパーク」が本日(11月1日)開園。第1期として「ジブリの⼤倉庫」「⻘春の丘」「どんどこ森」の3つのエリアがオープンした。10月31日にはオープニングセレモニーが行なわれた。

オープニングセレモニーには、ジブリパーク整備主の愛知県の⼤村秀章知事、施設を運営管理するジブリパークの代表取締役社⻑ ⼤島宇⼀郎氏、スタジオジブリ代表取締役プロデューサー 鈴⽊敏夫氏、ジブリパークの制作現場を指揮する宮崎吾朗監督が参加。出席者への挨拶に続き、テープカットして開園を祝った。

どんどこ森 サツキとメイの家
(C)Studio Ghibli
青春の丘 地球屋
(C)Studio Ghibli
左から宮崎吾朗監督、⼤村秀章愛知県知事、鈴⽊敏夫プロデューサー、ジブリパーク ⼤島宇⼀郎社長
⼤村秀章知事 挨拶

ジブリパークの構想発表から5年半。この期間に、スタジオジブリの世界が凝縮されたものができたことは、私は奇跡に近いと感じています。

スタジオジブリのコンテンツは、⽇本が世界に誇ることのできる、戦後近代⽂化の最⾼峰だと思っています。この作品群を、ジブリパークで未来永劫に残すことができる、多くの皆さんに楽しんでいただけることが嬉しくてなりません。⽇本を代表する⽂化事業であるジブリパークを、こうしてオープンできることに⼼から感謝申し上げます。

この場所で、世界中からジブリパークを⾒たいと思って来てくださる皆様の夢を叶えていきたい。⽇本中の⼦どもから⼤⼈までに愛され、愛知県⺠の皆様に愛され、どうか多くの皆様に未来永劫愛されるジブリパークとなっていくことを祈念いたしまして、挨拶といたします。

鈴⽊敏夫プロデューサー 挨拶

ものを作ることも⼤切ですが、(ジブリパーク誕⽣の)お膳⽴てしてくださった⽅がたくさんいらっしゃったんです。その中で⼀部の⽅をご紹介しようと思います。

最初に「モリコロパークにジブリを持ってくるのはどうか」とおっしゃった中⽇新聞社で当時会⻑をされていた⽩井⽂吾さんです。その頃、豊⽥市で開催していたジブリの展覧会を⼤変気に⼊ってくださったようで、「展⽰を全部持ってきて、モリコロパークに倉庫を作ってみたらどうか」と。いわゆる“ジブリの⼤倉庫”ですよ。その場ですぐにお返事はできませんでしたが、それがジブリパークのはじまり、7年前の話です。

それと前後するように、⼤村知事が東京・恵⽐寿の僕の事務所に何回も⾜を運ばれたんです。特に⽤事があるわけではなく、「モリコロパークにジブリを」とだけおっしゃる。僕は愛知県出⾝で、(地元の愛知に)ジブリパークなんて開いたら忙しくなるから嫌だったのですが(笑)、何度も説得され負けました。お話しする中で、⼤村さんは信頼できる⼈だなと思いました。それが⼤きな要因になりました。

そして、中⽇新聞社に20数年来のお付き合いをしている岡村さんという⼈がいます。僕の親⽗の葬式まで⼿伝ってくれた彼は、最後に⼼で動く男なんです。もしかしたら今回も彼がきっかけを作ってくれたのかな、とも思います。

先般、宮崎駿と私でジブリパークを観に来たんですよ。その中で⼦どものエリア(ジブリの⼤倉庫の「⼦どもの街」と「ネコバスルーム」)を⾒て、「俺には思いつかない⾯⽩さがここにはある」と、宮崎がいたく喜びまして。相⼿が息⼦でもライバル視して褒めない彼が「俺には真似ができない」と何度も⾔っていました。ジブリパークの細部を⾒ていくとわかりますが、吾朗くんがジブリの精神を受け継いでくれているなと改めて感じています。

皆様がこれから先、⻑く楽しんでくださるのか不安でならないのが今の正直な気持ちです。どうか皆様のお⼒添えをよろしくお願いいたします。

宮崎吾朗監督 挨拶

今回はデザイン・監修という⽴場で、ジブリパークの構想から⼯事まで、⼀貫して関わらせていただきました。私はこんなに⻑いプロジェクトに携わるのは初めてで、5年半って⻑いなと感じました。⼩学⽣だった息⼦は中学⽣になり、⽗は引退を撤回して⻑編映画を作り、私⾃⾝も映画を1本作りました。

とはいえ、これはまだ第1期です。今⽇もこのセレモニーの裏で第2期(「もののけの⾥」と「魔⼥の⾕」)の⼯事が佳境に⼊っており、来年度のオープンに向けて⾛り続けないといけないなと⾝の引き締まる思いです。先ほど、鈴⽊プロデューサーが僕のことを美談のように語っていましたが、すべてを僕に(ジブリを)押し付けてエスケープする腹があると⾒ていますので、彼を逃がさないようにして、頑張っていきたいと思います。

鈴⽊プロデューサー インタビュー

完成された施設を⾒ての印象は?

僕は、吾朗くんが何を作っているのか、あえて知らなかったんです。そして⾒てみたら、そこで使われているキャラクターが僕の描いたもの(「⼦どもの街」にある『ギブリーズ episode2』)だったことが⼀番驚きました。僕の描いたやつでしょ。それはどこで使ってもいいなという⾃由さがあり、そこが⾯⽩いと思いました。解き放たれて⾃由になった⽅が彼は⾯⽩いものを作るなと思いましたね。そして、「地球屋」が⾯⽩かった。あと、どんどこ森には「サツキとメイの家」があり、パークの中⼼になっていて、僕としてはそれが意味のあることだなと思いました。

開園を楽しみにしている⼦どもたちも多いと思います。

先⽇、ジブリパークを⼀⾜先に⾒てくれた⼦どもたちの声が聞こえてきました。家に帰ってから「また来たい」と⾔ってくれていたと。三鷹の森ジブリ美術館は、⼦どもたちのために作りましたが、⼦どもたち以上に⼤⼈の⽅がたくさん来てくださっています。それはありがたいことですが、もしかすると、ジブリパークは⼦どものための場所になったのかなと思いました。世の中には様々な価値観がある中で、僕は楽しいか、つまらないかという基準は⼤事だと思っています。⼦どもたちにはこのジブリパークで、「世の中には楽しいことがいっぱいある」ということを知ってもらいたいです。

ジブリパークの楽しみ⽅は?
それは開いてみないと僕らもわからない(笑)。こちらから押し付けることはできないので、どのように楽しんでいただくかは、来てくださる皆さんに⾒つけていただければと思います。僕らはお客さんにどう受け⼊れられるか、全くわからない。皆さんの反応を⾒て僕らも発⾒があるし、今後のジブリパークのどうしていくのかが決まります。最初は物珍しさで来てくれますが、⼀度来て「もういいや」じゃいけませんよね。

何度も⾜を運んでいただけるジブリパークを⽬指しています。それには努⼒しかない。普通の公園って何度も⾜を運ぶものでしょ。毎⽇⾏く⼈もいる。そういう存在になってくれればと思います。


    「ジブリパーク」施設概要
  • 第1期開園日
    11月1日
  • 所在地
    愛知県⻑久⼿市茨ケ廻間⼄1533-1 愛・地球博記念公園内
  • 営業時間
    平日:10時~17時
    土日祝:9時~17時
  • 休園日
    毎週火曜日
  • チケット情報
    チケット販売サイト「Boo-Wooチケット」、ローソン・ミニストップ店頭「Loppi」にて販売。日時指定の予約制。詳しくはWebサイトを参照のこと