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NHK、新BS2Kチャンネルは横1,440ドット。総合「魔改造の夜」は月1放送

NHKは、2023年度に放送するテレビ・ラジオ番組の改定内容を公表した。4月からの新年度においては、編成を見直した'22年度のさらなる定着・充実を図りながら、NHKの強みを生かした放送とサービスに注力する。衛星波においては、12月の再編を踏まえ、BS1・BSプレミアム・BS4K全体で番組の再配置を実施。2つの新チャンネル「新BS2K」(仮)および「新BS4K」(仮)の正式名称は、今春に発表する予定。なお、新BS2Kの解像度は、BS1と同じ横1,440ドットとなる。

4つの柱で“NHKだからできること”を追求

新年度は、(1)デジタル時代に新たな公共性を確立、(2)時代を超えるNHKならではのコンテンツを提供、(3)地元密着と地域連携を強化、(4)映像・音声遺産の再構築と価値還元、という4つの重点事項を元に、番組を編成する。

まず、1つ目の重点事項「デジタル時代に新たな公共性を確立」では、国際情報の発信と教養番組を強化。

国際情報では、世界18の国と地域にある21の放送局から集めた最新ニュースをいち早く伝える番組「キャッチ! 世界のトップニュース」を、総合テレビの定時番組として新設。ウクライナ情勢に端を発するエネルギー危機や物価高騰などの影響を受け、関心が高まる世界情勢のニュースを平日午前10時台に放送する。

NHK「キャッチ! 世界のトップニュース」

また、Eテレの平日午後10時台のラインナップをリニューアル。研究者やクリエイターなど、各界のトップランナーが講師を務め、ネットのオンライン講座と放送を組み合わせても楽しめる教養番組「NHKアカデミア」を水曜10時に移設。

ほかにも、「文学にひたる月曜日」、「研究・学術の世界に出会う水曜日」、「多様な暮らしに触れる木曜日」など、曜日ごとにテーマを設定。大人の学びを支援する時間帯として、多様な知的好奇心に応える番組を取り揃えるという。

2つ目の「時代を超えるNHKならではのコンテンツを提供」では、NHKの強みを生かした2つの大型シリーズを準備中。

1つは、2016年に放送した大型シリーズ「ディープオーシャン」の第2弾。ダイオウイカを世界で初めて撮影したNHK深海チームが、蓄積した撮影ノウハウをさらに発展させ、未知なる深海ワールドに挑む。番組と連動し、国立科学博物館での特別展も企画しているという。

大型シリーズの第2弾は、シリーズ「古代文明」(仮)。従来の定説を覆す発見が相次いでいる中南米「マヤ」「アンデス・インカ」「ナスカ」を舞台に、4Kの高精細映像とドローンを駆使しながら文明の全貌を明らかにしつつ、滅亡の謎や隠されたメッセージを読み解く。

BS4Kで放送予定の、シリーズ「古代文明」(仮)

ユニバーサル放送も強化。水曜日を“手話の日”とし、耳が不自由な視聴者に必要な情報を届ける「#ろうなん」のほか、人気番組を手話で放送する「手話で楽しむみんなのテレビ」を定時化・放送枠を拡大する。

NHK「手話で楽しむみんなのテレビ」

3つ目の「地元密着と地域連携を強化」では、日本各地で撮影した地域情報を拡充。平日午後と日曜午前に地域情報を伝える枠を新設するほか、平日午後には「列島ニュース」と「NHK地域局発」を隣接し発信を強化。日曜朝にも全国各地の放送局が取材したコンテンツの放送枠を設ける。さらに芸能人や著名人が自らのふるさとをツアー形式で紹介する新番組「サンドどっちマンツアーズ」も用意する。

4つ目の重点事項「映像・音声資産の再構築と価値還元」は、これまでNHKが放送してきた資産を再活用するもの。2025年の“放送開始100年”に向け、資産をかけがえのない社会共有の財産として、視聴者に還元する。

3カ月スパンで多彩な番組を放送する総合テレビの午後11時台には、NHKのアーカイブスに保管されている過去の映像資料(=天然素材)から、ユニークな名場面やとっておきのアーカイブス映像を蔵出しする「天然素材NHK」をスタート。BSプレミアムとBS4Kの金曜・ゴールデンタイム(午後8時台)には、4K画質にリマスターした「4K名作ドラマ」などを放送する。

NHK「天然素材NHK」

改定ポイントを説明した、NHK メディア戦略本部の篠田恵一専任部長は、「改定の重点事項をお話しさせていただいたが、何よりも視聴者の皆さまの期待や関心をきちんとマーケティングすることが大事だと考えている。皆さまの関心を把握し、ジャンル管理を強化し、デジタルテクノロジーを活用しながら、放送とサービスの両方の質を向上させていく。そして、NHKの公共的価値を実感していただけるよう、力を尽くしていきたい」と話した。

BS1・BSプレミアムで放送中の番組は、ほぼ全て新BS2Kへ移行

説明会では、衛星波の編成および12月開始の新BSチャンネルの話題を中心に、質疑が行なわれた。主な質問と回答(メール回答含む)は以下の通り。

――若い世代をターゲットに、2022年4月から設置している総合午後11時の「夜ドラ」について。新年度も引き続き「夜ドラ」の枠を設けているが、1年の振り返りと今後の展開を聞かせて欲しい。

NHK:夜ドラ枠では、様々なテーマ・演出の作品をお届けしてきた。手ごたえとしては、従来のNHKをご覧いただいていた以外の層、つまり若い層にもご覧いただけているのではないかと思っている。

例えば「あなたのブツが、ここに」というドラマでは、最後のダンスも話題になったと把握している。今後は、様々なご意見・反響を踏まえながら、テーマなどを決めていく事になると思うが、引き続き従来の層とは異なる世代、層にも見ていただけるように努力を続けていく所存だ。

――新BS2K(仮)では、“BS1とBSプレミアムの番組を凝縮する”とあるが、残す番組・残さない番組の判断基準を教えて欲しい。

NHK:今年4月からBS1・BSプレミアムで放送するものは、基本的にはほぼ全て、12月からの新BS2Kでも見られるようにするつもりだ。放送の日時が変わることはあるだろうが、新BS2Kが始まる際に、どれかの番組が無くなってしまうという事はないようにしたい。これまで2Kの番組を見ていた方の利便性をできるだけ下げないようにしたいと考えている。

――4月からのBS4Kについて。“大型中継番組や名作ドラマのリマスター版などを強化”とあるが、この具体的な中身を教えて欲しい。

NHK:現在様々な企画を検討・準備しているが、詳細を広報できる時までもう少しお待ちいただきたい。現状お話しできるのは、シリーズ「古代文明」(仮)を4Kで放送する、ということ。今年実現できるかは分からないが、昨年4K中継で好評だった「長岡の大花火」のような、臨場感あふれる大型中継番組ももっと別の形で行ないたいし、見ごたえのある特集ドラマなども4Kでしっかり届けていこうと、いま虎視眈々と考えている状況だ。

――BS4Kの編成表を見ると、スポーツの枠が無いように思う。スポーツは放送する計画がないという事か。

NHK:4月からの編成で言えば、BS1でスポーツをしっかり届けていくし、12月からの新BS2Kでもスポーツを放送する予定。ただ、オリンピックなどのようなスペシャルなものに関しては、4Kでも放送する場合はあると想定している。

――Eテレの平日午後10時台の「大人の教養ゾーン」について。このゾーンの強化は、NHKの意向なのか、それとも視聴者からの要望なのか。

NHK:結論を言えば、その両方になろうかと思う。NHKとしては、小さなお子さんから大人まで、幅広い学びをEテレで提供したいという思いがある。それから、「NHKアカデミア」のような放送とデジタルコンテンツを組み合わせたような番組を放送すると、従来NHKをご覧になられていた層だけでなく、現役世代の若い方々がオンライン講座に数多く参加してくれることも分かった。教養ゾーンを強化することで、我々の想いと視聴者の要望がマッチできればよいと思っている。

――BS4KやBSプレミアムで放送されていた「魔改造の夜」が4月から総合テレビでも放送されるようだが、放送頻度はどれくらいを予定しているのか。毎週なのか、隔週なのか、不定期なのか、を教えて欲しい。

NHK:月1程度で放送を予定している。

――12月の再編を踏まえ、今年4月からBSプレミアムとBS4Kの編成構造がほぼ同じなるとのことだが、これによってBS4Kのピュア4K比率が下がるようなことはないか。

NHK:下がることはない。BSプレミアムとBS4Kで仮に同じ番組を放送している場合も、BS4Kで流すものはピュア4Kで放送することに変わりはない。

――従来のBS4Kでは、BS8Kの8K・22.2ch制作の番組をダウンコンバートして放送する機会が多くあった。今後BS4Kにおいては、8K放送の魅力を伝えるような番組は放送しないのか。

NHK:BS4Kの編成表には、BS8Kの魅力を伝える定時の枠はないが、随時8K制作の番組を4Kでも放送することを考えている。'23年度も引き続き、BS8Kで放送した番組をBS4Kでも放送するタイミングは用意する予定だ。

――現在“仮”となっている新チャンネル「新BS2K」と「新BS4K」だが、名称やロゴをどのようになるのか。発表は春頃とのことだが、“仮”が取れるだけなのか、それとも全く別の名称になるのか、イメージがあれば教えて欲しい。

NHK:名称がどうなるのか、については春の発表までお待ちいただきたい。そのままなのか、まったく別の名称になるのかも含めて、まだお話はできない。

――新BS2Kの解像度について。現状、BS1は20スロットで1,440×1,080ドット、BSプレミアムは18スロットで1,920×1,080ドットとなっているが、新BS2Kはどうなるのか?

NHK:新BS2Kは、BS1と変わらず、「20スロットで1,440×1,080」のままとなる。