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ティアック、新V.R.D.Sメカ搭載CDプレーヤー詳細。CDトランスポートも

V.R.D.S搭載CDプレーヤー「VRDS-701」

ティアックが海外のイベントで参考出品していた、“V.R.D.S”(Vibration-Free Rigid Disc-Clamping System)搭載のCDプレーヤー「VRDS-701」。正式発表はまだで、価格や発売日も未定だが、その仕様が取材で明らかになった。なお、VRDS-701だけでなく、DACを搭載しないCDトランスポート「VRDS-701T」もラインナップする。カラーはシルバーとブラック。

上にあるブラックの筐体がCDトランスポート「VRDS-701T」

どちらもティアック70周年記念モデルとして開発が進められているCDプレーヤー/トランスポート。最大の特徴は、ハイエンドなエソテリックブランドではなく、より手が届きやすい“ティアック”ブランドのディスクプレーヤーであり、ティアックブランドとしては2003年の「VRDS-15」以来となる、新開発のV.R.D.Sメカを採用していること。

また、CDプレーヤーのVRDS-701は、フルバランス構成のアナログ可変ゲインアンプ型アッテネーター「TEAC-QVCS」を搭載。プリアンプを使わずに、パワーアンプへ直接接続でき、フロントパネルにボリュームツマミも備える。

フロントパネルにボリュームツマミも備える

このため、同じ「701」シリーズのパワーアンプ「AP-701」と組み合わせると、別途プリアンプを用意せずに、VRDS-701とAP-701だけでCD再生環境が構築できる。

パワーアンプ「AP-701」と組み合わせたところ

さらに701シリーズにはUSB DAC兼ネットワークプレーヤー「UD-701N」もラインナップしているため、既にUD-701Nを持っている場合は、DACを搭載しないCDトランスポートのVRDS-701Tを購入すれば、CDとネットワーク再生環境が構築できる。

新開発V.R.D.Sメカニズム

CDトレーのV.R.D.Sロゴ

放送局用として長年の実績を持つ、ティアック自社開発ドライブをベースに、伝統のV.R.D.S技術を融合させている。

V.R.D.Sは、CDを、CDと同じ径のアルミニウム製ターンテーブルにクランピングし、慣性質量を増大させることで、安定した回転を実現。ディスク自身の回転振動やメカニズムの不要振動を低減させる技術。

ターンテーブルでディスクの反りや歪みを矯正することも可能で、ピックアップとディスクピット面を相対光軸精度を向上させることで、サーボ電流を低減。ディスクの読み取りエラーの現象と、音質向上に寄与するという。

新開発V.R.D.Sメカニズム
なお、写真は開発中の機体を撮影したもので、実際の製品とは異なる場合がある

ターンテーブルを支えるブリッジ部分には軽量かつ高剛性で共振のない素材を厳選。素早くかつ自然に振動を収束させ、広がりのあるダイナミックなサウンドを実現したという。

樹脂製のトラス構造のブリッジは、あえて片側だけを固定することで、CDメカの振動がブリッジを伝わって反対側に伝搬しないようにしている。

さらに、CDメカ全体がサブシャーシにセミフローティング状態でマウントされており、CDメカとシャーシの間の振動伝達をコントロール。共振の影響を排除している。モーターの振動をメインシャーシから遮断することで、シャーシ内の振動の共振を防止。同時に外部振動がCDメカに影響を与えることもなく、読み取り精度も向上したという。

V.R.D.Sメカを指でつかんで力を加えると、フローティングしているため、ゆらゆらと少し動く。また、樹脂製のトラス構造のブリッジ部分も、片側は強固にネジ止めされているが、反対側は固定されていないため、こちらも少し動く

ディスクリートDACを搭載。MQAフルデコーダー搭載

CDプレーヤーのVRDS-701には、汎用DACチップを使わず、独自のアルゴリズムを盛り込んだFPGAによるディスクリート回路で構成した「TEAC ⊿ΣディスクリートDAC」を搭載。DSDはそのまま、PCMは⊿Σモジュレーターを通して、1bit信号に変換した後、高音質なアナログ信号として出力される。「ディスクリートだからこそ実現できる広大で澄み渡る音場表現」が味わえるとのこと。DSDは22.5MHz、PCMは384kHz/32bitの再生が可能。

細かなパーツが並んだ部分が「TEAC ⊿ΣディスクリートDAC」

内部はデュアルモノーラル構成。電源回路は左右で独立したトロイダルトランスを採用。DAC部、アナログ出力段まで、一貫したデュアルモノーラル構成とすることで、左右チャンネルの信号によるお互いへの干渉を防ぎ、音場感や立体感などが豊かになるとする。

L/Rそれぞれのアナログ出力信号を、D/A変換後から最終出力段までフルバランス電動。SN比の向上や、ダイナミックレンジ拡大に寄与している。

より原音に忠実なアナログ波形を得るために、最小5μ秒の精度でD/A変換された波形をコントロールするMQAデコーダーも搭載。急な音の立ち上がりなど、音量差が極端に大きな箇所で発生しやすい“音の滲み”を大幅に低減。「人間の聴覚上、原音に近い再生音が得られる」とする。MQAフルデコーダーを搭載しているので、MQA-CDだけでなく、デジタル入力からのMQAデコードも可能。USB DACとして、PCからMQAファイルを再生できる。

USB DAC機能も備え、USB-C入力を装備。ハイレゾ音源によるPCオーディオも楽しめる。USBでのデータ伝送にはBulk Petを採用。4種類の伝送モードから、好みの音質を選ぶこともできる。

パワーアンプへ直結も可能

前述の通り、CDプレーヤーのVRDS-701にはフルバランス構成のアナログ可変ゲインアンプ型アッテネーター「TEAC-QVCS」を搭載。パワーアンプへ直接接続でき、ボリュームツマミも備えている。

TEAC-QVCSは、左右・正負に独立した4回路構成の可変ゲインアンプ型ボリュームで、理論上のギャングエラーを排除。-95dBから+24dBまで、0.5dBステップで細かなアナログ音量調整が可能。

バランス/アンバランス 2系統のアナログ出力に対して、固定・可変出力のどちらかを選択できる。

アップコンバート再生や外部クロック入力も

デジタルオーディオ信号を滑らかに補完するという、独自のアップコンバート回路「RDOT-NEO(Refined Digital Output Technology NEO)」を搭載。PCM信号を最大384kHzまでアップコンバート再生できる。フルエンシー理論による類推補完技術を応用し、44.1kHz/16bitのCDフォーマットから失われた20kHz以上の周波数を生成して再生できるとする。

10MHzのクロック入力も装備。本体再生時の音質向上に加え、クロックジェネレーターによるシステム全体の同期が可能。

デュアルクロックを搭載。CD再生用の44.1kHz系に加え、USB DACとして再生する場合に必要な48kHz系のクロックも、低位相雑音タイプの高精度水晶発振器を備える。

電源部には、アナログ信号用のトロイダルトランスに加え、デジタル制御部とCDメカニズム部それぞれに独立した大容量トロイダルコアトランスを用意。合計3基のトロイダルコアトランスにより、安定した電源供給を実現している。

トランスは、底板から浮かせたフローティング構造を採用。放熱用のサイドフィンは、共振しないように、1本ずつ、異なる長さとした。

アナログ出力回路にとって重要な、電流伝送能力を高めるために、電流伝送強化型バッファーアンプの「TEAC-HCLD 2」回路を搭載。ダイヤモンドバッファーアンプをラインドライバーとして、片チャンネルあたり正負2回路構成とし、バランス出力の場合はディファレンシャル、アンバランス出力の場合はパラレルで駆動する。

ヘッドフォンアンプも高品質なものを搭載。電流伝送強化型ラインドライバーと同等の低歪、高SN比、高スルーレートの出力回路を、ヘッドフォンアンプ駆動専用に搭載している。出力端子は6.3mm標準ジャック。最大出力は32Ω負荷で500mW+500mW。

基板の固定ネジは最低限とし、底板とフットの結合に遊びをもたせた新機構のスチール製オリジナルピンポイントフットを3点支持で採用する。

再生可能ディスクはオーディオCD、CD-R/RW。なお、8cm CDや、MP3などを保存したCD-R/RWは再生できない。

出力はRCA、XLR、同軸デジタル、光デジタルを各1系統。デジタル入力はUSB-C、同軸デジタル、光デジタルを各1系統備える。クロック入力はBNC。トリガー出力も備える。突起部を含む外形寸法は、444×333.6×111.3mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は11.8kg。リモコンも付属する。

背面端子部

CDトランスポート「VRDS-701T」もラインナップ

CDトランスポートの「VRDS-701T」は、前述のVRDS-701からディスクリートDACや、USB DAC機能などを省いたものとなる。主な仕様は共通だが、筐体内のスペースに余裕が生まれることから、VRDS-701よりも大型のパーツを採用するなど、細部には違いもある。

出力端子は、同軸デジタル、光デジタルを各1系統。入力端子も同軸デジタル、光デジタルの各1系統。トリガー入力、BNCのクロック入力も備えている。突起部を含む外形寸法は、444×333.6×111.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10.1kg。