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アドビ、言葉で画像生成する「Firefly」。テキストエフェクトも

Adobe Fireflyで制作された画像

アドビ(Adobe)は、言葉を使って画像生成やテキストエフェクトが行なえる画像生成AI「Adobe Firefly」のプライベートベータ版を提供開始した。将来的には、各アプリのワークフローに直接搭載する予定。

「経験やスキルを問わず、高品質な画像生成やテキストエフェクトが体験できる」と謳う、画像生成AI機能。「自身の言葉を使い、画像や音声、ベクター、ビデオ、3Dから、ブラシ、カラーグラデーション、動画変換などまで思い描いた通りのコンテンツを、これまで以上に簡単かつスピーディに生成できる」という。

Adobe Fireflyで制作された画像
Adobe Firefly: Family of New Creative Generative AI Models

今後は、アプリケーションへの順次統合を計画。はじめに、Adobe Express、Adobe Experience Manager、Adobe Photoshop、Adobe Illustoratorで利用できるようになる予定。

なお、最初のバージョンでは、Adobe Stockの画像や一般に公開されているライセンスコンテンツ、および著作権が失効しているパブリックドメインコンテンツがAI学習の対象。画像やテキストエフェクト機能を中心に、商業利用として安全性を考慮したコンテンツを生成するよう設計されているという。

また、ユーザーがFireflyのトレーニングを行なうことを可能にすることも計画。自身の作品を使って、ユーザーのスタイルやブランド言語に基づいたコンテンツ生成を可能にすることも予定している。

言語入力は現状「英語のみ」。日本語含む多言語対応も予定

ベータ版の提供に合わせ、「Adobe Firefly(ファイアーフライ)」に関する説明会が開催された。

登壇したチーフデジタルオフィサーの西山正一氏は「“商用利用”を大前提にしているのがFireflyの大きなポイント。アドビの審査スキームを経たAdobe Stockのコンテンツやフリーライセンスのコンテンツのみを学習させているため、ユーザーは安心して商用に利用できる」と、Fireflyの特徴を説明。

さらに「(Fireflyは)決してクリエイターの仕事を奪うわけではなく、クリエイターをサポートする“副操縦士”的な存在。クリエイターはタグを付けることで、自身のコンテンツの学習に利用されないようにすることもできるし、学習に協力可能な場合は対価で還元する仕組みを用意する」と、クリエイター保護の観点も強調した。

説明会では、ベータ版を使って実際に画像を生成するデモを披露。英語で“東京の路上でマリオカートを楽しむ欧州からの旅行者”と打ち込むと、それらしき4枚の画像が生成された。

西山氏は「マリオカートと打ち込んでも、権利を侵害するような画像は生成されないようになっている。現在はブラウザベースでの利用だが、今後はフォトショップやイラストレーターなどのソフトウェアに統合される予定」と話す。

「Tourists from Europe enjoying Mario Kart on tokyo street」と打ち込み生成された画像
上記のワード入力から“Mario”を抜いた場合の生成画像

現在の文字入力は英語のみ。日本語を含む多言語対応も計画されているが、最初の正式バージョンで対応するか否かは「詳細を応える段階にはまだない」とのこと。

生成された画像にはAIで生成されたというメタ情報が加えられており、生成画像をフォトショップで加工した場合においても、オリジナルがAIで生成されたもの、という“出自”が分かるようになっているという。

なお、Fireflyで生成されたコンテンツの著作権に関しては、利用したユーザーにあるのか、サービス提供のアドビにあるのか、それらとも異なる第三者にあるのか、という事についても「現在はあくまでベータ版。今後様々な意見を聞きながら、サービスインまでに具体的な運用を検討していく」としている。

「Adobe Summit」というワードに対して、“ラスベガス”“夜”という条件でエフェクトを加えた場合
さらに“スロットマシーン”という条件を加えた場合
テキストエフェクトも現状は英語対応のみだが、アドビを“画像”として認識させれば、エフェクトをかけることができる