ニュース

宮﨑駿監督「宣伝無くて大丈夫かなぁ」7月公開「君たちはどう生きるか」

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは27日、謎に包まれた7月14日公開の宮﨑駿監督最新作「君たちはどう生きるか」について、「僕自身、これまでの宣伝の中で作品の内容を伝えてきた方だと思うんだけど、頭から穴まで、いろんな情報が出しすぎてしまった。もしかしたら映画を見たい人の興味を削いでいたかもしれない。今回は少しに止めようと思っていたが、そのうち、“一切宣伝がなかったら皆さんどう思うんだろう”と考えた。これだけの情報時代、“情報がないこと”がもしかしたらエンタメになるかもしれない」と、新作の情報を最低限しか公開していない狙いを説明。

その上で、最近、宮﨑監督が「宣伝無くて大丈夫かなぁ」と言っているというエピソードを披露。「鈴木さんを信じるよ、と言いつつ“心配だなぁ”と言われています」と笑った。

さらに、宮﨑監督が「君たちはどう生きるか」の後に、新たに長編作品を作るかどうかについて問われると、鈴木プロデューサーは「“君たち”の公開前に、“その先”のことを言うのはルール違反になりますが、一言だけ、(宮﨑駿は)“元気です”」と語った。

鈴木プロデューサーはスタジオジブリのこれからについて、「映画を作っていきたいですね。考え方いろいろあって、ジブリパークが予想を超えて脚光を浴びた。ある人だったら、“映画会社を辞めてパーク会社になる”という可能性もあるんですけど、みんなで話し合って“やっぱり映画を作り続けよう”と。実は、次の企画も検討中です。実写はやらないと思います。僕らはアニメーション会社なんで。(今回の“君たちはどう生きるか”は)手描きで作りました。“アーヤと魔女”はデジタルで作った作品。僕たちの中で、どこかで、“基本を手描きに置きたいな”というのはありますね」と語った。

6月29日から東京・天王洲の寺田倉庫で開催される展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」に先駆け、28日に開催された開会セレモニーに登壇して語ったもの。「君たちはどう生きるか」は宮﨑駿監督が原作、脚本も務めるアニメーション映画の最新作。宮﨑監督作品としては「風立ちぬ」以来10年ぶりの長編作となる。製作はスタジオジブリ。

金曜ロードショーとジブリ展

「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」ゾーン

金曜ロードショーでは1986年に「風の谷のナウシカ」を初放映して以来、これまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放映。1997年から2009年までは、スタジオジブリが制作したオリジナルのムービー(音楽:久石譲)がオープニングを飾り、キャラクターの“フライデーおじさん”は宮﨑駿監督が生み出し、「耳をすませば」を監督した近藤喜文さんが仕上げるなど、関係が深い。

「金曜ロードショーとジブリ展」では、金曜ロードショーの歩みを辿りながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介。東京展の会場は天王洲の「寺田倉庫」B&C HALL/E HALL。会期6月29日~9月24日で、10月からは富山展も予定されている。

スタジオジブリ作品が公開された年、そして「金曜ロードショー」で放送された年は、どんな時代だったのか。金曜ロードショーのヒストリーを辿りながら、スタジオジブリ作品が放送された時代ごとの記憶と記録を展示。映画の魅力に迫りつつ、昭和から平成、令和に至る世相を掘り起こすことで、スタジオジブリ作品が持つ時代性と普遍性を浮かび上がらせる展覧会となっている。

会場には、スタジオジブリ作品のポスターの中に飛び込んで、主人公のように撮影できるフォトスポットを用意。日本テレビが初めて製作に参加した「魔女の宅急便」をはじめ、「猫の恩返し」、「もののけ姫」など、まるで架空のスタジオに迷い込んだような空間で、次々にいろんな作品の主人公になれるのが特徴。なお「崖の上のポニョ」は7月2日までの予定。

スタジオジブリ作品のポスターの中に飛び込んで、主人公のように撮影できるフォトスポット

さらに、「風の谷のナウシカ」「アーヤと魔女」まで、ジブリのほぼ全作品の絵コンテを展示。映画の設計図である絵コンテを通して、場面の構成やセリフなど、演出イメージがつかめる。

会場内部

2018~19年に開催された展覧会「ジブリの大博覧会」富山展のために作られた巨大な「ジブリの幻燈楼」が東京に初登場。「幻燈」とは、フィルムや造形物などに強い光を当てて、レンズで幕などに拡大映像を投影して見せる装置。ガラスの町・富山の富山ガス造形研究所、富山ガラス工房、地元作家らが制作を担当し、スタジオジブリが監修した。キャラクターをモチーフとしたガラスに光を照射することで、映画の世界観を音と光に包まれながら体感できる。

巨大な「ジブリの幻燈楼」

「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」ゾーンには、稀代の造形作家として世界に多くのファンを持つ竹谷隆之氏らが作成した造形物をもとに、映画に登場する“腐海”をリアルに表現。圧巻のクオリティーで作られた王蟲、大王ヤンマ、ムシゴヤシなどが待つ空間は、来場者を魅了する。

胞子が降る通路を通ると、「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」ゾーンが

チケットは日時指定の予約制。通常チケットは大人1,800円/中・高校生1,500円/小学生1,100円。特典付きチケットは大人2,700円/中・高校生2,400円/小学生2,000円。チケットはローチケ、日テレゼロチケで購入できる。詳細は展覧会の公式サイトを参照のこと。

物販コーナーも充実している