ニュース

シャープ初のQD-OLEDアクオス誕生。量子ドットで色鮮やか

65型4K有機EL「4T-C65FS1」

シャープは、量子ドット有機EL“QD-OLED”パネルを採用したアクオス「FS1」シリーズを9月16日より発売する。ラインナップは、65型「4T-C65FS1」と55型「4T-C55FS1」を用意。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は65型が60.5万円前後、55型が44万円前後。

青色の有機EL層と量子ドット技術を使い、純度の高い3原色を取りだすQD-OLEDパネルを搭載。さらにパネル性能を最大化するための、独自の放熱、駆動技術を搭載。「鮮烈さとリアリティを兼ね備えた映像美を表現」するという。

65型4K有機EL「4T-C65FS1」

サムスンディスプレイが開発したQD-OLEDパネルはシャープとしては初めての採用で、ソニーのフラッグシップ4K有機ELブラビア「A95K」('22年モデル)続いて、国内ブランドでは2例目(編集部調べ)。今後シャープではブランド名「AQUOS QD-OLED」として、同社有機ELテレビの最上位ラインとして展開していく。

シャープ初採用の量子ドット有機ELパネル

FS1シリーズの最大の特徴が、高輝度、広色域、広視野角を実現するというQD-OLEDパネル(4K/3,840×2,160ドット、120Hz)の採用。従来の白色OLED+カラーフィルターによるRGB生成ではなく、青色OLEDと量子ドット層を組み合わせることで、波長変換で純度の高いRGBを生成。多彩な色を再現性高く鮮やかに映し出すことを実現。視野角特性にも優れ、斜めからでも鮮やかな映像が楽しめるようになっている。

シャープで初めて、QD-OLEDパネルを採用した
量子ドットの波長変換によって、青色OLEDから緑色、赤色の光を作る。カラーフィルターによる生成よりも光のロスが少なく、純度も高い

パネルの発光性能を高める独自の放熱構造「クールダウンシールドII」を新搭載。インナープレートとセルの間にあった“隙間”を、熱分散に長けた炭素性の放熱シートで密着させることで放熱性能を向上。発光の妨げとなるパネルの温度上昇と温度ムラを効率的に抑えることで、明るいリビングでも高コントラストな映像が楽しめるという。

新パネルに合わせて、駆動回路も変更。新しいクライマックスドライブでは、有機EL素子の発光量とパネル面の温度分布をリアルタイムに解析し、発光量を画素単位で制御することで、QD-OLEDの輝度と色彩性能を最大化。

例えば、画面全体が暗いシーンでは、漆黒からきらめきまで緻密に階調を描写。画面全体が明るいシーンでは、色彩豊かな表現力によって、鮮烈さとリアリティを兼ね備えた美しい映像を再現するという。

実際に使用している放熱用のインナープレート。画面振動スピーカーの場合、穴の設置やプレート厚等を考慮しなければならないため、「放熱性能や温度ムラの抑制を考えるならば、シンプルなプレートが効率的」(スタッフ)とのこと

映像エンジンは、QD-OLED用にチューニングを施したAIプロセッサー搭載の「Medalist S4X」。

同エンジンでは、100万通り以上の映像を学習したAIが、映像に含まれる人物の顔や空などのオブジェクト情報を検出。さらに、映画やドラマ、スポーツなどの放送ジャンル情報を組み合わせることで、コンテンツに最適な映像に自動で調整してくれる「AIオート」モードが可能になった。

音声の「AIオート」モードにも対応。ニュースやドラマであれば、セリフがより聞き取りやすくなるほか、スポーツでは臨場感を高めるサウンドへとアクオスが自動で調整してくれる。

部屋の明るさと人の視覚特性を考慮して、映像を調整する「環境センシング」機能も搭載。明るい部屋では、見えにくい暗部の階調レベルを上げ、輝度のダイナミックレンジを拡大。逆に、暗い部屋では、暗部階調を滑らかに調整し、質感を重視した自然な映像へ最適化してくれる。

このほか、ハイビジョン映像を高精細化する「4K超解像アップコンバート」、映像信号に含まれる被写体の動きや輪郭、質感などをリアルタイムで解析し、被写体が本来持っている精細感やコントラスト、色合いの情報を復元する「オブジェクト プロファイリング」、ネット動画のノイズを抑制する「ネット動画クリア補正」、広色域化技術の「量子ドットリッチカラー」などの映像技術も搭載する。

サポートするHDR規格は、HDR10とHLG、Dolby Visionの3方式。

55型4K有機EL「4T-C55FS1」

最大出力85Wの11スピーカー「AROUND SPEAKER SYSTEM PLUS」

サウンドシステムは、計11ユニットから構成される独自の「AROUND SPEAKER SYSTEM PLUS」。

画面下部に加えて、背面上部にハイトスピーカー(ツイーター+ミッドレンジ)を搭載することで、映像と音声の一体感を生成。さらに、ハイトスピーカーを20度前に傾斜させることで、クリアな音質と立体音響を同時に実現。Dolby Atmosとの相乗効果で、包み込まれるような音響体験が楽しめるという。

さらにFS1では、下位シリーズとは異なるユニット「パワーボイススピーカー」を使用しているのもポイント。これは小型軽量な高効率ユニットになっていて、画面下部のミッドレンジと背面中央のサブウーファーに採用。高域から低域まで、音域特性の異なるスピーカーを組み合わせることで、豊かな音場をクリアでパワフルに再現できるよう工夫した。

55型・65型共に、ツイーター×2、ミッドレンジ×4、サブウーファー×1、ハイトツイーター×2、ハイトミッドレンジ×2で、実用最大出力は85W。

様々なアプリやサービスが楽しめるGoogle TVを採用。リモコンのGoogleアシスタントボタンから「OK Google」と話しかければ、アプリの起動から映画の検索や音楽再生、テレビの基本操作まで音声で操作する事ができる。

リモコンには、「Netflix」「Amazon Prime Video」「U-NEXT」「Hulu」「ABEMA」「FOD」「Net-Vision」「TVer」「YouTube」「Disney+」など、全10個の動画サービスダイレクトボタンを搭載した。

全10個の動画サービスダイレクトボタンを搭載

別売の外付けUSBカメラを用意すれば、ビデオ通話ができる「Google Meet」アプリをサポート。シャープオリジナルのアプリ「リビングカメラ」では、カメラ映像の上にYouTube映像も同時表示できる。

リビングカメラ

2023年の4K液晶アクオスにも新採用された、ヘルスケア関連アプリ「AQUOSヘルスビューアー」にも対応。

スマートウォッチや体重計、血圧計などの「Google Fit」対応機器と連携することで、各機器が測定した歩数や心拍数、体重、血圧といった日々の変化をグラフィカルにアクオスに表示。状態を可視化する事で、日々の健康管理をサポートしてくれる。

AQUOSヘルスビューアー
AQUOSスクリーンタイム

アプリ「AQUOSスクリーンタイム」も新搭載。放送や動画配信アプリなどの視聴時間をグラフで表示。グラフは単日表示と週間表示が選択可能。過去の視聴時間と比較しながら、変化を確認できる。

このほか、アクオスに接続したUSB HDD内の録画番組をフォルダ表示してくれる「まと丸」、誤作動による急な大音量を防ぐ「最大音量制限」も加わっている。

音量制限の設定画面

搭載チューナーは、BS/CS 4K×2基と、地上/BS/110度CS×3基。別売りの外付けUSB HDDを接続することで、4K放送視聴中に別の4K放送と地上/BS/CSデジタル放送の2番組同時録画ができる。自動でチャプターを記録する「おまかせオートチャプター」にも対応。

4K番組表をサポート。文字が読みやすい高精細表示と番組や出演者の情報を画像つきで分かりやすく表示する。

HDMI入力は4系統で、4K120Hz入力時の4K×2Kフル解像度表示(SDRのみ)やVRR、ALLM、eARC/ARCに対応。ほかにも、3.5mmミニジャックのAV入力、光デジタル音声出力、ヘッドフォン/アナログ音声出力を用意。USB端子は3系統で、録画用×1とメモリー用×2。LAN端子は10BASE-T/100BASE-TX。無線LANはWi-Fi 6に対応する。

左右計30度回転のスイーベルスタンドを採用。意図しない回転を抑制できる回転ロック機構も備える。さらに背面部のケーブル類をまとめることができるケーブルマネジメント機構を搭載。電源ケーブルやHDMIケーブルなどを正面から見えないように配線できるようにした。

消費電力は、65型が約543W、55型が約413W。年間消費電力は、65型が257kWh/年、55型が209kWh/年。

スタンドを含めた外形寸法/重量は、65型が144.4×30.4×89.4cm(幅×奥行き×高さ)/約40kg、55型が122.5×30.4×77cm(同)/約31kg。