ニュース

アドビ、Premiere Pro「あの」「えーと」を検出して一括削除する新機能

フィラーワード検出機能。オレンジの部分が検出されたフィラーワード

アドビは、ビデオ製品のアップデートを発表。Premiere Proにおいて、状態の悪い会話音声のノイズを除去して声を鮮明にする「スピーチを強調」機能や、文字起こしベースの編集機能で「あの」や「えーと」といったフィラーワードも検出して削除できる機能などがベータ版に追加。After Effectsもベータ版にて2Dと3Dが混在した編集が可能になるなどの新機能が搭載された。

ベータ版のアップデートは13日から使用可能だが、正式版のアップデート内容は今秋中の実装が予定されている。

Premiere Pro

Premiere Proでは、ベータ版に「スピーチを強調」「フィラーワード検出」の2つの新機能が実装される。

スピーチを強調は、「Adobe Podcast」にてすでに利用可能となっている機能。周囲のノイズなどが入ってしまっている録音状態の悪い音声から、ノイズをワンクリックで除去し、声の部分を強調して聞き取りやすくする。

AIを活用しており、オーディオを自動的にカテゴリー分けし、会話部分を「プロスタジオ並みの音質に向上」するとしている。

この機能はエッセンシャルサウンドウインドウに追加。ミックス量の項目を調整することで、効果のかかり具合を操作できるため、背景の音を残してその場の雰囲気を残しつつ、メインとなる人の声は聞き取りやすくするといった調整が可能とのこと。

スピーチを強化使用後

文字起こし機能で生成されたテキストを編集することで動画の編集が行なえる、文字起こしベースの編集機能で最も要望が多かったというフィラーワードの検出機能が追加。

フィラーワードは、日本語では「あの」「えーと」といった話す途中に入ってしまう言葉のことで、これに加えてつなぎ語や息の繋ぎの間を合わせて検出。ワンクリックで削除できる。検出した部分を1つずつ確認しながら削除することも可能。

また、検出する息継ぎの間の長さも調整できるため、サクサクと進むリズム感の良い動画だけでなく、少し余裕を持たせた動画も簡単に編集できる。

そのほか正式版では、カラー処理が強化され、自動トーンマッピングに新たなマッピング手法を3種類追加。HDRやLog撮影された映像、iPhoneでのHDR撮影された動画についてもRec.709に自動でマッピングできるようになる。

Lumetriカラーパネルに「設定」の項目を追加し、パネルからカラーマネジメント系の調整がよりしやすくなったという。

そのほか、書き出した動画をQuickTimeで観ると色が変わってしまうという現象の修正も行なわれている。

タイムラインの表示は5倍高速化しており、重いファイルを開いたときになかなか画面が表示されなかったり、タイムラインバーが動かなかったりする現象を改善。また、ソフトがクラッシュしてしまった場合の自動復元も強化。クラッシュの原因となったプラグインなどがある場合に検出できる「エフェクトマネージャー」も追加され、信頼性の向上も図っている。

After Effects

3Dと2Dが混在した状態で編集可能に

After Effectsでは、ベータ版に高性能なGPU対応3Dエンジンを新搭載。これにより、3Dと2Dのエレメントを混在できる3Dワークスペースが利用できるようになったほか、3Dモデルを読み込んで、アニメーション、ライティング、シェーディングを適用してレンダリングまで行なえるようになった。

正式版では、ロトスコープ機能がAIにより強化。オブジェクトの切り抜きがより速く正確になったほか、従来同機能が苦手としていた、毛髪や手足の重なるシーンがある動きにも対応し、スムーズに素材を切り抜けるようになった。

これまでロトスコープ機能が苦手だった腕の交差などもAIによる機能強化で対応できるようになった

Frame.io

Frame.ioは、動画のほかにオーディオ、画像、PDFなどのアセットを並べての比較が可能になった。フォルダ内で同じタイプのメディアを2つ選択することで比較表示が可能で、そのままコメントや注釈の追加も従来通り行なえる。比較の対象にバージョンスタックを含めることもできる。

動画以外でも比較表示が可能になった

Camera to Cloudの対応カメラも拡大し、Atmos Ninja/Ninja UltraのProRes RAW/10bit 4Kワークフローに対応したほか、今後発売される富士フイルムの次世代機種にも対応する。また、未対応のカメラについてもiPhoneをモニター化するAccsoon SeeMo/SeeMo Pro経由でCamera to Cloud対応にすることが可能になった。

新機能「Frame.io Storage Connect」も搭載。従来はFrame.io専用のクラウドにアップロードする形となっていたが、今後はユーザーが例えばAWSでクラウドを契約していれば、そのクラウドにFrame.io側がリンクしてアップロードできるようになる。大容量で安価なクラウドなどに契約しながらFrame.ioの機能は従来通り使うことなどが可能になる。