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「ゴジラ-1.0」山崎監督×「オッペンハイマー」ノーラン監督SP対談。YouTube公開

『オッペンハイマー』クリストファー・ノーラン×山崎貴スペシャル対談

クリストファー・ノーラン監督最新作「オッペンハイマー」が、3月29日より全国公開。IMAX、35mmフィルム、Dolby Cinema同時公開となる。日本での公開に先駆け、クリストファー・ノーラン監督と、「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督による対談が行なわれ、その映像が公開された。

自身初となるアカデミー賞《作品賞》(エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェンと共に受賞)、《監督賞》に輝いたノーラン監督と、日本初となる《視覚効果賞》を受賞した山崎監督。映像は山崎監督の「知的好奇心を刺激されました」という感想から始まる。

続けて山崎監督は「パンドラの箱を開けてしまった人間が、どのような社会的な立ち位置でいたのか。時系列を組み替えながら描いていて、ハードなテーマのエンターテインメントになっている。凄く面白い、素晴らしい作品。オッペンハイマーが残酷な幻影をみるという、栄光と悲惨さが同じ画面に収められている作り方が凄い」と評価。

ノーラン監督は「私が物語の中で興味があるのは頭脳明晰な人たちが世界を理解し驚くべき創造性を飛躍させテクノロジーを用いてどのようなことを可能にするのか、そしてその裏に潜む恐ろしい暗示です。そのコントラストを映画に映し出し観客のみなさんに直で感じてもらいたい」と応じ、「開発を進めていく先に待ち受けている恐ろしさの片鱗が既に見えているわけです。しかし時代の状況ゆえに行動するしかなかった。その緊張感を観客のみなさんに体験してほしいと思いました」と述懐。天才物理学者の脳内に入り、その時彼は何を感じていたのか、その瞬間を観客と共有する“没入体験”を目指したと語る。

「悪い人間、素晴らしい人間を決めつけていない、その両方が渾然一体となっている」描写に驚嘆したとする山崎監督に、ノーラン監督は「それは物語を伝える上で大切にしたことでオッペンハイマー役のキリアン・マーフィーともよく話し合いました。観客にはオッペンハイマーを裁くのではなく理解してほしかったのです。みなさんにこの人物の両面を体験してもらい、彼がした選択について自分だったらどうするか考えてみてほしかった。自分とは考えや立場が全く違う人の、考えや思いがわかるというところが映画の魅力です」と、どう受けとめるかは観客ひとり一人の判断に委ねることを最優先したとコメントした。

「オッペンハイマー」に触発された山崎監督が「日本が返答の映画を作らねばならない」と宣言すると、ノーラン監督は「アンサー映画を作るのであれば山崎監督以上にふさわしい監督は思い浮かびません。ぜひ実現していただけたらと思います。これからも山崎監督の作品を楽しみにしています」と笑顔で応じる。

映像へのこだわりについてノーラン監督は、「観客の感覚に訴えかける映画を常に作りたいと思っています。今まで多くの映画をIMAX用の70ミリフィルムで撮影してきました。驚くほど鮮明で色の再現度が高いからです。大きなスクリーンに投影するとスクリーンの枠が消え映画に没入することができます。劇場の様々な音響や音楽との融合によって観客を物語に引き込むことができるのです。こういった没入感を これからも映画制作で大事にしていきたいです」とコメント。

これを受けて山崎監督は「すごい伝わってきました。IMAXならではの作品だと思います」と対談を締めくった。