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スカパー!のAndroid TVデバイス初披露。サービスまたいだ検索・視聴が可能
2024年10月24日 19:10
スカパーJSATは10月24日、初めて自社開発したスティック型のストリーミングデバイス「スカパー!+ネットスティック」の先行サービスを開始した。ブラッシュアップを進めて、本格的な市場投入を目指す。あわせて、端末の実機も披露された。
同端末は、スカパー!放送契約者を対象とした先行モニターがスタートした段階。ここからユーザーからのフィードバックやデータをもとに、端末の価格設定なども含めてサービスのブラッシュアップを進め、市場導入と早期の普及を目指すとのこと。パートナー企業と協力し、スカパー!契約者以外にもモニターに参加してもらいつつ、2025年下期ごろを目標に一般販売する想定だという。
テレビやディスプレイのHDMI端子に挿すだけで、スカパー!の番組配信と同社が運営している動画配信サービスのSPOOXのほか、TVer、NHKプラス、Amazon Prime Video、YouTubeなどの動画配信サービスが楽しめる。OSはAndroid TVのため、Google Playから別途アプリをダウンロードすることもできる。ただし、Netflixについてはインストールできない。
端末はスカパー!衛星放送の契約がなくても利用できるが、スカパー!番組配信などの視聴には契約が必要。
これまで同社が放送事業で培ってきた編成・編集経験を活かし、「コンテンツとの出会い」や、“観たい”を追求したUI/UXでサービスを提供するとし、コンテンツが集約されているポータル画面により、シームレスにコンテンツが視聴できる。
例えば、観たいドラマやアニメがある場合、他社製のストリーミングデバイスではPrime VideoやFOD、TVerなど、アプリごとに作品名で検索して配信されているかを確かめなくてはならないが、スカパー!+ネットスティックでは、対応している各配信サービスを横断して検索が可能。さらに出演している俳優や声優の情報から、出演作品を検索することもできる。
また例えば、ドラマの1話と最新話はTVerで無料配信されているものの、その間のエピソードは動画配信サービスで有料配信されている、というシチュエーションも多い。こういった場合でも、スカパー!+ネットスティックではサービスを横断して表示され、そこから直接各エピソードを視聴できる。
アカウント設定からユーザーがよく利用する動画配信サービスを選択できるため、検索対象にする動画配信サービスを自身の契約状況に合わせてカスタマイズできる。
端末自体は4コアCPUでメモリは2GB。映像・音声では4K HDRに対応するものの、Dolby Vision、Dolby Atmosはサポートしない。付属リモコンにはTVerとスカパー!番組配信、SPOOXのショートカットボタンに加え、ユーザーがカスタマイズできるショートカットボタンもひとつ備えている。
さらにリモコンには、通常の戻るボタンに加え、「各アプリから戻る」ボタンも搭載している。戻るボタンが「前の画面に戻る」ためのボタンなのに対し、「各アプリから戻る」ボタンは「各アプリからスカパー!プラスの画面に戻る」ためのもの。
例えば上述のように配信中のドラマを、TVerとFODなど複数のサービスをまたいで視聴中に、通常の戻るボタンを押すと、そのエピソードを視聴しているアプリの再生ページの手前に遷移してしまう。
それに対し「各アプリから戻る」ボタンを押すと、スカパー!+ネットスティックが独自にまとめた各エピソードの配信一覧ページに戻るため、よりスムーズに視聴を続けられる。
スカパー!は「放送・配信ハイブリッド型プラットフォーマー目指す」
スカパーJSATが、配信サービスのためのストリーミングデバイスを展開する理由について、同社担当者は「放送と配信を合わせたサービスをお客さまに提供することで、もっとお客さまにコンテンツをテレビで楽しんでいただきたいと考えた」と説明した。
「スカパー!の有料放送を契約している方々は感度が高く、配信サービスを利用している人は約8割と非常に高い数値になっています。衛星放送を行なっている我々にとっても、競合となるOTT(ネット配信)サービスがどんどん出てきているので、そういったことも意識しています」
「今現在も提供している有料多チャンネル放送では、編成されたチャンネルによって新しいコンテンツに出会ったり、最新のニュースやスポーツの情報を拾うことができます。それと同時に、やはりそれを一気に深堀りできる配信サービスとの連携は必須であると考えました」
「具体的に申し上げますと、光回線でも提供していますが、スカパーは衛星放送で、そこにスカパー!+(プラス)でOTTサービスも合わせて楽しんでいただく、放送・配信ハイブリッド型プラットフォーマーを目指していくことになります」
こういったストリーミングデバイスは、Fire TV Stickを筆頭に競合も多く、Android TV/Google TVを内蔵したテレビも普及しているなかで、スカパー!+ネットスティックの普及余地があるのか気になるところだが、その点については、国内のTV稼働台数が9.000万台で、配信サービスを利用している人が7,120万人、国内のCTV普及率台数が4,100万台という調査データを挙げ、「単純に差分を出すと3,000万台分の普及拡大の余地がある」とした。