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ソニー、3DCG制作を支援するハード・ソフト群「XYN」。mocopiが12点キャプチャ対応
2025年1月7日 10:46
ソニーは、日本時間1月7日10時より行なった「CES 2025」カンファレンスのなかで、幅広いクリエイター向けに直感的、かつ効率的な3DCG制作環境の提供を目的としたコンテンツ制作支援ソリューション群「XYN(ジン)」を発表した。XYNは制作者向けヘッドマウントディスプレイとミラーレスカメラとスマホを組み合わせた空間キャプチャーソリューション、mocopiを使ったモーションキャプチャーの3つのハードウェア・ソフトウェアで構成される。
このうち、空間キャプチャーソリューションとヘッドマウントディスプレイは開発発表段階。
XYNは、空間コンテンツ制作を支援するソフト・ハードが統合されたソリューション群。ソニーが持つ現実空間を捉える技術と、それを再現する技術を結集し、空間コンテンツ/3DCG制作において、手軽さ、効率性、高品質を実現するという。名称は3次元を表すXYZのうち、Z軸を「空間を拡張する」という意味や、“New”や“Nascent(新生)”の頭文字であるNという言葉で表現したもの。
XRヘッドマウントディスプレイの名称は「XYN Headset」で、2024年のCESで発表された「没入型空間コンテンツ制作システム」のSRH-S1のターゲット市場を拡大させたものとなる。
まだ開発発表段階のため具体的なスペックなどは明かされていないが、空間コンテンツを制作するあらゆるクリエイターに向けたヘッドセットと位置づけられており、直感的な空間コンテンツ制作作業が可能。片目あたり4K解像度の有機ELマイクロディスプレイによる高精細映像や、ビデオシースルーによるMR機能などを利用でき、ディスプレイのフリップアップもできる。
カメラとスマホを組み合わせた「XYN空間キャプチャーソリューション」は、ミラーレスカメラで撮影した画像から、現実の物体・空間をフォトリアルな3DCGアセット化できるクラウドサービス。複数の写真からフォトリアルな3DCGオブジェクトを生成でき、広い空間も3DCG化することが可能で、3DCGアセットはバーチャルプロダクション向けの背景CGや映画・ゲーム向けの小道具、メタバース向けワールドなどへの活用を想定しているとのこと。
特長的なのは、写真を撮影する段階で正しい角度で撮影できているか、撮り逃しているエリアはないかなどを表示してくれるモバイルアシスタントアプリがあること。同アプリを起動したスマートフォンとミラーレスカメラを組み合わせることで、誰が撮影しても一定の品質を担保して撮影できるという。ミラーレスカメラはソニー製以外のカメラでも利用可能。
撮影したデータをクラウドにアップロード後、数クリックで3DCGを書き出し可能。上述のXYN Headsetや発売中の空間再現ディスプレイのほか、他社製ヘッドマウントディスプレイやゲームエンジンに書き出すこともできる。
デモンストレーションでは、1月26日グランドオープンする「Ginza Sony Park」のエントランス部分を、このXYN空間キャプチャーソリューションで3DCG化したものを観ることができた。エントランスはかなり広い空間だが、このソリューションを使えば1名で約30分間撮影すれば3DCG化に必要な素材を揃えられるという。
このXYN空間キャプチャーソリューションは、2025年内にβ版の提供が予定されている。
mocopi、12点モーションキャプチャーに対応する「プロフェッショナルモード」
XYNに組み込まれるモーションキャプチャーは、ソニーの小型モーションキャプチャー「mocopi」に新登場する「mocopiプロフェッショナルモード」とアプリケーション「XYN Motion Studio」を組み合わせたもの。XYN Motion Studioは3月下旬に、月額1,100円のサブスクリプションで提供予定。
mocopiは、6つの小型センサーを装着するだけで、どこでも手軽に、3Dでフルボディトラッキングができるモーションキャプチャーシステム。対応スマートフォンやPCアプリと組み合わせて使用する。
発売以来、mocopiは利用の簡単さなどが好評となり、当初の想定以上に制作用途での導入も進んでいるという。一方で、制作現場からは「スマートフォンなしでPCに直結したい」「精度を改善して欲しい」「モーションキャプチャーだけでなく、編集まで簡単に行ないたい」という声があったといい、これらの課題を解決したモーションサービスをXYNブランドのひとつとして提供する。
「mocopiプロフェッショナルモード」では、新発売のmocopiセンサーデータレシーバー「QM-PR1」と組み合わせることで、最大12点のモーションキャプチャーが可能。通常の6点使用時のセンサー装着部位である「頭、腰、手首×2、足首×2」に加え、「腕×2、太もも×2、手の甲or足の甲×2」に装着することで、より精度の高いモーションキャプチャーができる。センサー数が増えることで、加速度センサーで捉えるのが難しいゆっくりとした動作のキャプチャーも可能とのこと。
そのほかプロフェッショナルモードでは、外部カメラのデータと組み合わせて精度を高める「カメラブレンディング」や、センサーデータを活用した接地精度の改善なども行なわれる(オフラインプロセス)。
mocopiセンサーデータレシーバーのQM-PR1は3月下旬発売でソニーストア価格は16,500円。追加のmocopiセンサーバンド「QM-PB1」も3月下旬にソニーストア価格9,900円で発売する。
なお、1台のQM-PR1につき、最大6点のmocopiセンサーに対応するため、12点モーションキャプチャーにはmocopiが2セット、QM-PR1が2セット、センサーバンドのQM-PB1が1セット必要となる。
またmocopiセンサーデータレシーバーはmocopi PC/mocopi VRといった既存ソフトウェアでも利用可能だが、mocopi VRはmocopiセンサー6点にのみ対応する。またスマホと組み合わせる場合もmocopiセンサー6点までの対応。
新たに登場するアプリ「XYN Motion Studio」では、キャプチャーしたモーションデータの時間や位置の編集、トリム、複数モーションの統合、FBX/BVH形式での書き出しなどが可能。ふたつのモーションの間を自然な動きで補間する「モーション自動補間」機能や、保有しているモーションデータをアップロードできる「クラウド機能」なども搭載する。
クラウド機能では、ユーザーがアップロードしたモーションファイルに加え、ソニーが提供するプリセットライブラリも用意。独自のアルゴリズムでアップロードされたモーションが自動解析されるため、ユーザーはテキスト検索で目的のモーションデータを探してダウンロード、エディターで使用できる。
なお、XYN Motion Studioには、モーションキャプチャー機能としてmocopi PC機能を内包。当該機能のみをポップアップして使うこともできる。