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ソニー、マーカー要らずのカメラトラッキングシステム。インカメラVFX制作を効率化
2025年3月19日 17:31
ソニーは、インカメラVFXなどのバーチャルプロダクションやAR(拡張現実)などでの制作を効率化するカメラトラッキングシステム「OCELLUS」(オセラス)を今秋より発売する。ソニー製を含む、様々なカメラと組み合わせて使うことが可能。価格はオープンで、市場想定価格は560万円前後。
カメラトラッキングシステムとは、撮影時のカメラの位置や向き、情報などを取得する機器のこと。バーチャルプロダクションなどの空間コンテンツ制作に必要不可欠とされる。
OCELLUSは、センサーユニットとプロセッシングボックス、レンズエンコーダーで構成。センサーユニットには5つのソニー製イメージセンサーが搭載されており、ソニーのVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いることで、屋内外を問わず安定したマーカーレストラッキングを実現。マーカーレスであるため、事前のマップ作成時のマーカー設置の工数を削減できるなどの利点を持つ。
センサーユニットの外形寸法は約86×43×60mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約250gと、小型軽量を実現。NATOレール方式の取り付け部品(同梱)を使用することで容易に設置および位置の調整が行なえる。ロック機構付きUSB Type-Cケーブル1本でプロセッシングボックスと接続。プロセッシングボックスから電源を供給する。
内部にはイメージセンサーを搭載されており、ユーザーが周囲の環境に合わせて任意の4つを選択して同時に使用することで、複数のイメージセンサーによる安定したマーカーレストラッキングが屋内外で行なえる。使用している4つのイメージセンサーのうち1つでも有効な特徴点を捉えているイメージセンサーがあれば、トラッキングデータの取得が可能で、高い遮蔽耐性も備えた。
また、5つのイメージセンサーそれぞれの両側にIR(赤外線) LEDを搭載しているため、暗所での運用をサポート。音楽ライブ会場など照明が頻繁に切り替わる環境では、可視光カットユニット(同梱)を装着して赤外線以外の可視光を遮断し、安定したトラッキングを行うことができる。
プロセッシングボックスでは、センサーユニットで取得した情報からトラッキングデータを計算。トラッキングデータとカメラやレンズのメタデータは、Ethernetケーブルを介して、free-dフォーマットでUnreal EngineなどのCGレンダリングソフトへリアルタイムに送信できる。またGenlock入力やタイムコード入力、SDI入出力端子、レンズエンコーダーとの接続端子なども搭載する。
ソニー製のカメラと組み合わせて使用する場合は、カメラのSDI出力のみで、同期信号やタイムコード、ファイル名、RECトリガの取得が可能。さらに、ソニー製カメラと情報取得に対応するレンズを組み合わせることで、カメラのSDI出力を通じたレンズメタデータの取得も行なえる。
トラッキングデータやカメラやレンズのメタデータは、映像ファイルと同期したFBXファイルとしてSDXCメモリーカードUHS-II/UHS-Iに記録。側面には有機ELディスプレイを備えており、IPアドレスやトラッキング情報、レンズデータ等の状態を確認できる。
レンズエンコーダーは、レンズのフォーカスやズーム、アイリスの精密な回転角度や位置を物理的に検出。検出したデータは、プロセッシングボックスにLEMO 7ピンケーブルを介して伝送する。
これにより、カメラのSDI出力によるレンズのメタデータ取得ができない場合でも、レンズのメタデータが取得可能。装着するレンズに合わせたギアを同梱の5種類のギアから選択し、レンズエンコーダーに装着することができる。