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ソニー、最新Crystal LED披露。映り込まないチューナーレス4Kブラビアも

Crystal LEDパネルを使ったバーチャルプロダクションのデモ

ソニーマーケティングは3日、最新のCrystal LEDパネルを使ったバーチャルプロダクションや、AIによる高精度フレーミングを実現した新型のオートカメラなど、様々な映像機器とソリューションを披露するB2B向け展示会「Creative Solution Showcase 2024」を開催した。

会場に展示されていた注目の製品、ソリューションを抜粋して紹介する。

バーチャルプロダクション向けCrystal LED「VERONA」

昨年のInterBEEや、今年4月のNAB2024で披露され、来場者から高い評価を受けたというCrystal LED「VERONA(ベローナ)」。会場では、VERONAのキャビネットを50個組み上げた“LEDウォール”とカメラ、送出システム、トラッキングシステムを統合したバーチャルプロダクションのデモが展示されていた。

女性の背面にあるのが、LEDウォール。画素ピッチ2.31mm、モジュール50枚、解像度2,160×1,080で、参考価格は4,400万円(コントローラー、ケーブル含む)

VERONAは、自由なサイズと形状で大画面を構築でき、臨場感のある高精細な映像を映し出すことができるCrystal LEDの最新モデル。引き締まった黒と低反射を両立させたディープブラック&低反射コーティング技術のほか、1,500cd/m2の高輝度、カメラにスキャンライン(水平方向の黒い線)を撮影させない超高速リフレッシュレート7,680Hzを実現。高品位なバーチャルプロダクション向けとして今年4月に発売された。

VERONAのキャビネット背面。このキャビネットを複数組み合わせて、LEDのディスプレイを作る

非常に高価なシステムだが、発売開始前から引き合いが多く、既にロンドン、スタンフォード、ミラノ、東京(角川大映スタジオ)などの最新スタジオでVERONAが稼働しているという。

会場では、複数台のカメラを設置し、スイッチャーで切り替えても背景映像がリアルタイムに追従し、実物の被写体と違和感のない合成画が生み出せることを紹介。撮影イメージを事前に視覚化し、モアレが発生する撮影ポイントを把握できるシミュレーションプラグインや、使用するLED・カメラ・レンズをまとめてキャリブレーションすることで高い色再現を実現する補正ツールもクリエイターらから支持されているとアピールしていた。

なお、ソニーPCLでは、VERONAなどのバーチャルプロダクション導入を検討している企業をターゲットに、関連機材の用意から設置、運営、撤去までを提供するレンタルサービスを開始する予定だという。

デザインからサイネージまで、様々な用途に利用できるというコーポレート向けCrystal LED「BH」シリーズ。BHは高輝度・低反射が特徴
BHシリーズ(写真右)とCHシリーズの比較。CHシリーズは“高コントラスト”が特徴で、BHよりも、より深い黒が表現できる

映り込まないチューナーレス4Kブラビア

6月28日に発売開始したチューナーレス4Kブラビア「FW-98BZ53L」は、展示会初披露の新製品。法人専用モデルとなっており、価格はオープンプライス、想定価格は145万円前後。

98型4Kブラビア「FW-98BZ53L」

ピーク1,500cd/m2、標準780cd/m2の高輝度性能で、オフィスや商業施設などに置いても明るい表示を実現。また民生向けのブラビアと同じXRエンジンを搭載することで高画質な映像処理性能も備えた。

最大の特徴が、独自の光学処理「ディープブラック・ノングレアコーティング」の採用。これは民生向けのモデルにも展開されていない、法人向けモデルのみのコーティングとなっており、「高層オフィスの窓から差し込む西日であったり、店舗の照明がパネル表面に当たっても映り込みを抑え、クリアな映像が映せる」という。

会場では、高画質な描写とあわせ、LEDライトをパネル表面に当てて、同コーティング有り無しの見え方の違いを紹介していた。

ディープブラック・ノングレアコーティングの映り込み
ディープブラック・ノングレアコーティング非搭載の映り込み

ピーク輝度4000cd/m2のマスモニHX3110。HX310は約100万円引き!

昨年に続き、プロフェッショナルモニターブースでは、マスターモニター「BVM-HX3110」「BVM-HX310」が展示されていた。

マスターモニター「BVM-HX3110」(写真左)、「BVM-HX310」

BVM-HX3110は、今年2月に発売開始となったマスターモニターシリーズのフラッグシップモデル。2重液晶とローカルディミング技術を組み合わせ、ピーク4000cd/m2・全白1,000cd/m2の高輝度と自発光デバイス並みの暗部描写を両立している。価格は437.8万円。

会場では、2,000~4,000nitsでグレーディングされたデモコンテンツを表示。従来モデルでは実現できなかった高輝度部分の階調や色が、HX3110では正しく表示されていることがアピールされていた。

BVM-HX3110

なお、HX3110の発売開始に合わせ、HX310の価格改定を実施。398万円からオープン価格へ切り替わり、「発売当時と比べて100万円程度、求めやすくなった。ピーク輝度をそこまで求めない場合や、2K有機ELモニター・PVMシリーズからの買い替えとして引き続き販売継続していく」という。

BVM-HX310

高精度オートフレーミング搭載のPTZカメラ

「BRC-AM7」は、静音性の高いパン・チルト駆動機構と、高精度なオートフレーミングを両立した新しいPTZカメラ。2025年1月の発売を予定している。

PTZカメラ「BRC-AM7」

世界最小・最軽量を目指したコンパクトな筐体ながら、1.0型ExmorRS CMOSセンサーを内蔵し、4K60p/4K HDR撮影をサポート。光学20倍ズームと電子式可変NDフィルターによる画質性能も追及した。

会場では、新モデルBRC-AM7に加えて、フレーミング精度を向上させたアップデート済みの既発モデル「SRG-A40」、2025年4月以降のオートフレーミング対応を予定している「ILME-FR7」、他社製のPTZカメラを設置していた。

自社の製品は、決められた構図を維持しながら、被写体をスムーズに追従できることを説明。被写体の人物が、会釈などの小さな動作、屈伸などの大きな動作をしても、ソニーのPTZカメラはフレーミングミスでアタマが切れたり被写体を外したりすることなく撮影。

さらに、被写体の前を別の人物が通り過ぎるような状況に対しても、ソニーのPTZカメラは別の人物に切り替わることなく最初の被写体をしっかり追従していた。

担当者は「我々のオートフレーミング機能は、独自のAIアルゴリズムで被写体の骨格を解析・検出しているため、被写体が交錯しても最初に捉えた被写体に追従できる。顔登録機能を使って目的の人物だけをフレーミングしたり、メインの被写体に近い複数の被写体を捉える複数人でのフレーミング行なったりと柔軟な運用が行なえる。番組制作や配信、講義や会議などの撮影など、撮影の省人化に貢献できる」と紹介していた。