ビクター、スーパーハイビジョンD-ILAプロジェクタを開発

-輝度1万ルーメンで消費電力半減。4K2K/60pのカメラも


スーパーハイビジョンD-ILAプロジェクタ

5月12日発表


 日本ビクター株式会社は12日、世界初というスーパーハイビジョン(7,680×4,320ドット)のフル解像度を実現したD-ILAプロジェクタを開発したと発表した。発売時期や価格は未定。

 また、4K2K(3,840×2,160ドット)で60p撮影が可能なカメラも開発。2009年度発売予定で、価格は2,000万円以下を予定する。上記D-ILAプロジェクタと4K2Kカメラの試作機は、5月21日~24日に東京・世田谷のNHK放送技術研究所で行なわれる「技研公開 2009」で展示される。



■ スーパーハイビジョンD-ILAプロジェクタ

 2008年に発表した3,500万画素のD-ILAデバイスを3個使用し、独自開発の大光量/高コントラスト/高効率光学系を組み合わせることでD-ILAプロジェクタとして最も明るい1万ルーメンの輝度と、5,500:1のコントラスト比を実現。消費電力は約半分で、「世界トップクラスの解像度性能と高い環境技術を合わせて実現した」としている。

 従来のスーパーハイビジョンプロジェクタは、RGBのうちグリーンを画素ずらしすることで4,000本の解像度を実現していたが、新開発のプロジェクタはRGBそれぞれに8,192×4,320ドットのD-ILAパネルを使用。全色にわたって4,000本の解像度を可能にした。

 2008年発売の「DLA-SH4K」をスタックした場合に比べ1.5倍の輝度1万ルーメン。コントラストは従来比3倍の5,500:1(ANSIコントラスト400:1)。光源は3,000Wのキセノンランプ1本を使用し、消費電力を従来比50%まで削減。ランプのコストも60%に抑えている。

 入力映像は60p対応で、RGB各12bitの表示階調をサポート。DLA-SH4Kで採用されたスーパーハイビジョンの画素ずらし用レジストレーション調整機能を改良して搭載。1/10画素単位で調整が行なえる。

 映像信号の伝送には4本の光ファイバーを使用。新開発の光伝送装置により、高い安定性と低コストでの長距離伝送を実現した。インターフェイスはHDMI(Deep Color)。

 本体には電源スイッチ以外に可動部は無く、全ての操作はネットワーク経由でパソコンから行なう。電源はAC200V。消費電力は3,500W。外形寸法は1,080×1,250×456mm(幅×奥行き×高さ)、重量は168kg。

□ニュースリリース
http://www.jvc-victor.co.jp/press/2009/3xd-ila.html


■ 4K2K/60pカメラ

 1.25型/3,840×2,160ドットのCMOSを搭載する小型のカメラヘッドと信号処理部で構成し、4K2K/60pのリアルタイムビデオ出力を世界で初めて実現した。カメラヘッドと信号処理部を分離したことで、カメラヘッドを約3kgまで軽量化した。

カメラヘッド部

信号処理部

 カメラヘッド部のセンサーから約10GbpsのRAWデータを高速通信できる独自フォーマットを開発したことで、信号処理部を最大100mまで離れた場所に設置することが可能になった。

 外部からの映像同期信号にも対応し、複数カメラ利用時の同期撮影が可能。信号処理部のビデオ出力はHD-SDIデュアルリンク(4:2:2/10bit)×4ch、DVIシングルリンク(4:4:4/8bit)×4ch。

 カメラ部のレンズマウントはニコンFマウントまたはPLマウントに対応。外形寸法はカメラ部が124×353×180mm(幅×奥行き×高さ)。信号処理部が432×500×88mm(同)。

□ニュースリリース
http://www.jvc-victor.co.jp/press/2009/4k2k60p.html


(2009年 5月 12日)

[AV Watch編集部 中林暁]