パナソニック、64/32GBメモリ内蔵のAVCHDカメラ2機種

-手ブレ/暗所撮影能力強化。最軽量の1MOSタイプも


HDC-TM350

6月25日発売

標準価格:オープンプライス

  パナソニック株式会社は、AVCHDビデオカメラの'09年夏モデルとして、内蔵メモリとSDカードスロットを備えたモデルのラインナップを強化。64GBメモリを内蔵した3MOSタイプ「HDC-TM350」と、32GBメモリ内蔵の1MOSで、世界最軽量約227gを実現した「HDC-TM30」を6月25日に発売する。価格はオープンで、店頭予想価格はTM350が15万円前後、TM30が10万円を切る見込み。

 TM30のみ、プラチナシルバー(S)、オニキスブラック(K)、クランベリーレッド(R)の3色バリエーションを用意する。TM350はメタリックグレー(H)のみ。外形寸法と重量は、TM350が70×141×72mm(幅×奥行き×高さ/バッテリ装着時)で、約390g/450g(本体のみ/バッテリ含む)、TM30が47.5×114.5×63mm(同)で、約227g/278g。TM30の重量約227gは、1080iのAVCHD民生用ビデオカメラとして世界最軽量だという。缶コーヒー1本文の重さとほぼ同じで、サイズもブリックパックと同程度。

 

HDC-TM30缶コーヒーと同じような重量

サイズはブリックパックと同程度

 同社は120GB HDDタイプのHS300、32GB内蔵メモリタイプのTM300を2月から発売しているが、新モデルはどちらも内蔵メモリタイプのバリエーションを拡充するもの。TM350は内蔵メモリの上位モデル、TM30はよりコンパクトな1MOSタイプとして展開。TM300/HS300は併売される。

 TM300/HS300から強化したポイントは、手ブレ補正と暗所撮影能力。従来モデルと同様に、テレ側での強力な補正を実現しているほか、新モデルではワイド側でもこの機能を適用するアクティブモードを搭載。ソニーの「HDR-XR520V」が、ワイド端で歩きながら撮影しても、歩行時の揺れがほとんど感じられない撮影を可能にしていたが、TM350/TM30でも同様の撮影が可能になる。新しい手ブレ補正技術が開発されたわけではないが、「従来と同じ補正技術をワイド側にも適用することで、ズーム時もワイド時も手ブレを抑えた撮影が可能になる」(パナソニック)という。

 TM350では、低照度撮影能力も強化。TM300と比べ、ノイズを半減させたという。さらに、被写体の顔の有無、明るさ、コントラスト、距離の情報から5つのシーンを自動で認識し、露出やコントラストを自動的に制御する「おまかせiA」機能をONにすると、ノイズは若干増加するが、より明るく、鮮やかな色で撮影できるという。そのため、「おまかせiA」機能のON/OFFで、明るさ優先/ノイズ抑制優先が選択できる形になる。なお、「おまかせiA」機能は「TM30」にも採用されている。

 

TM350

側面。ビューファインダーも備える

背面

液晶モニタを開いたところに、各種端子を備える

底面天面

 TM350の撮像素子は、HS300などと同じで、1/4.1型の3MOS。1枚あたりの総画素数は305万で、3枚合計で915万画素。画素ずらしで、動画有効画素数は207万×3の621万画素。動画撮影中に約830万画素(16:9)の静止画同時撮影も行なえる。静止画は最高で1,060万画素(静止画モード/3:2時)の撮影も可能。RGBの分配にプリズムを用いた3MOSは、色の再現性に優れ、白トビに強く、偽色が出ないなどの利点がある。

 TM30の撮像素子は1MOSで、1/6型のセンサーを1枚使用している。総画素は147万画素。有効画素数は動画/静止画ともに117万画素。静止画の記録画素数は約210万画素(16:9)。

 TM350のレンズは12倍ズームでF値は1.8~2.8。画角は35mm換算で、動画撮影時44.9~539mm、静止画で41.3~496mm(3:2)、40.8~490mm(16:9)、45~540mm(4:3)。フィルタ径は43mm。TM30は16倍ズームでF1.8~3.3。画角は35mm換算で44.1~706mm(動画/静止画共通)。フィルタ径は30.5mm。

 被写体を追尾する「追っかけフォーカス」機能も利用可能。液晶モニターで追尾したい被写体をタッチすると、顔や色で認識。自動でフォーカスを追尾し、ピントと明るさも自動で調整しながら撮影できる。顔認識だけでなく、色認識も使うことで、被写体が横を向いた場合でも肌の色で追尾。顔認識しにくい場合は服の色などを指定することも可能。顔認識できないペットの撮影にも活用できる。

 両機種とも、静止画は秒間60コマ(0.9メガ)、24コマ(2.1メガ)のスロー撮影も可能。「高速連写モード」時にフォトショットボタンを押すと、3秒間(最大180コマ)の連写が可能で、ゴルフのフォームチェックや決定的瞬間の記録に活用できる。

 また、TM350のみ、インターバル記録機能を装備。あらかじめ撮影間隔を1秒/10秒/30秒/1分/2分から指定しておくと、時間経過ごとに採取した1フレームの映像をつなぎ合わせ、ハイビジョンの動画として撮影することが可能。夕日が沈むシーンや花が開く様など、遅い動きの被写体を早送りで撮影したような動画が作れる。作成ファイルは24p。HDMI出力時には60iでの出力となる。

 

TM350の側面。ホットシューは側面のカバーをスライドすると現れる。そこに専用のシューアダプタを装着すると、前面にシューを出すことができる。アダプタを装着した状態でカバーが閉じられるため、装着状態でもホールド性は損なわれない

 撮影フォーマットはAVCHDのMPEG-4 AVC/H.264。音声はTM350のみドルビーデジタル5.1chに対応。内蔵の5.1chマイクには、ズームに連動して正面方向の音をクローズアップして収録する機能や、ガンマイクモードを装備する。

 両モデルとも、撮影モードは、解像度1,920×1,080ドットの「HA」(約17Mbps)、「HG」(約13Mbps)、「HX」(約9Mbps)を用意。さらに1,440×1080ドットの「HE」(6Mbps)も用意する。HA/HGモード時は24p撮影も可能。内蔵メモリが満杯になった際、タイムラグ無く、SDカードに継続録画する「リレー録画機能」も用意。撮影後に1つのファイルにまとめてSDカードに書き込んだり、PC取り込みやDVDライターでのライティング時に1つのファイルとして取り込み/書き込みすることも可能。PC用ソフト「HD Writer AE 1.5 for HDC」も同梱。PCでのDVD作成やシーン編集、静止画切り出しなどが使用できる。MPEG-2変換機能も搭載。別売のDVDライターを接続し、SD解像度のDVDビデオを作成することもできる。

 

TM30背面側面
SDカードスロット液晶モニタを開いた側面

ビューファインダは備えていない

 

TM350とTM30を並べたところ

 開いて約0.6秒で撮影スタンバイが完了する「0.6秒クイックスタート」や、電源OFFから約1.9秒でスタンバイできる「1.9秒瞬速起動」も使用可能。約3秒間、さかのぼって録画できる「プリREC」機能も用意する。

 撮影後の動画は、顔認識や追っかけフォーカスを使った部分などを抽出する、自動のハイライトシーン再生が可能。液晶モニタは両モデルとも2.7型で、約23万画素。TM350のみ、0.26型のビューファインダーも備えている。出力端子は、HDMI(1080i/480p)、D3、コンポジット、アナログ音声、USB 2.0などを用意。AVケーブル、D端子ケーブル、USBケーブルなどが付属する。。



(2009年 5月 20日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]