日立、2009年度のテレビ出荷計画は124万台

-前期比約20万減に。'08年度連結決算を発表


三好崇司執行役副社長

5月12日発表


 株式会社日立製作所は12日、2008年度連結決算を発表した。売上高が前年比10.9%減の10兆3億円、営業利益は63.2%減の1,271億円、税引前損失はマイナス2,898億円の赤字、当期純損失はマイナス7,873億円の赤字となった。

2008年度の連結損益

 そのうち薄型テレビや白物家電などを含むデジタルメディア・民生機器事業の売上高は前年比16%減の1兆2,615億円、営業損失はマイナス1,055億円の赤字となった。

 デジタルメディア・民生機器事業は、2006年度の584億円の赤字、2007年度の1,099億円の赤字に引き続き、赤字体質が脱却できないまま。2009年度の見通しも130億円の赤字予想としている。


デジタルメディア・民生機器部門

 日立製作所の三好崇司執行役副社長は、「事業構造改革に伴う薄型テレビの海外における販売数量の絞り込みの影響や、それに伴う在庫処分。10月以降の急速な需要減少により、光ディスクなどのデジタルメディア製品や家庭用空調機器の売り上げ減少が影響。一方で、損益面では価格下落や売り上げ減少の影響があったものの、プラズマパネルの外部調達への切り替えや、海外販売チャネルの絞り込みなど、事業構造改革による薄型テレビ事業などの体質改善を推進。前期からは改善している。ただ、2009年度も構造改革費用が一部残る。人員対策、拠点対策を計画的に進めていく」とした。

 2008年度のプラズマテレビの出荷台数は前年比24%減の65万台、液晶テレビは3%増の78万台。合計143万台となった。

 期初計画では、プラズマテレビで90万台、液晶テレビでは120万台としていたのに比べると大幅に下回る結果となった。

 2009年度のデジタルメディア・民生機器事業売上高見通しについては、14%減の1兆900億円としている。

 「海外AV部門の売り上げを絞り込むということもあり、減収を見込んでいる。利益面では構造改革費用を抜けばブレイクイーブン。テレビ事業単独では構造改革を含めて赤字で考えている」とした。

 なお、2009年度のプラズマテレビの出荷計画は32万台、液晶テレビは92万台。合計で124万台。「海外向け販売をさらに絞り込むことになる」(三好副社長)とした。

 情報通信システム部門は売上高が6%減の2兆5,944億円、営業利益は52%増の1,766億円。電子デバイス部門は、売上高が11%減の1兆1,510億円、営業利益は49%減の273億円。電力・産業システム部門は売上高が7%減の3兆3,105億円、営業利益は82%減の242億円。高機能材料部門は売上高が17%減の1兆5,568億円、営業利益は80%減の277億円。物流およびサービス部門が売上高が13%減の1兆899億円、営業利益は17%減の230億円。金融サービスは売上高が7%減の4,120億円、営業利益は60%減の102億円。

事業部門別売上高

事業部門別営業損益

 一方、2009年度の業績見通しでは、売上高は前年比11.0%減の8兆9,000億円、営業利益は76.4%減の300億円、税引前損失はマイナス1,700億円の赤字、当期純損失はマイナス2,700億円の赤字とした。

 「第3四半期後半までは厳しいが、それ以降、回復すると見ている。だが、全体として不透明な状況には変わりなく、状況の変化にあわせて施策を展開する。厳しい事業は、構造改革施策を少しでも前倒しする」とした。2009年度では1,000億円の構造改革費用を計上するという。

 さらに三好副社長は、「短期間にビジネスモデルを変えていくことが使命。過去の経験を生かして構造改革を行う。情報通信システム事業を、より安定的なものにしていくことが必要であり、社会インフラ+ITを中心に置き、それを支える事業分野にリソースを絞り込んでいく。ビジネスモデルを安定させ、グローバル展開力をもう一段引き上げていく」などとした。

2009年度の業績見通し

2009年度の事業部門別業績見通し

(2009年 5月 12日)

[ Reported by 大河原克行 ]