Movidius、スマートフォンなどの裸眼3Dソリューション

-2D-3Dリアルタイム変換や3D撮影対応の「Myriad 3D」


「Myriad 3D」の評価ボード。下部にある2つのディスプレイは、左が裸眼3D対応で、右が2D/タッチパネル対応

 半導体メーカーのMovidiusは30日、モバイル機器向けの3D映像プラットフォーム「Myriad 3D」を発表した。「Myriad 3D」は、マルチコアのメディアプロセッサ「MA1133」と、3D対応ソフトウェアで構成され、同日よりサンプル出荷が開始。'11年初めに量産を行なうという。価格は「数量と用途によるが、ドルベースで1桁」としている。

 主な用途はスマートフォン/携帯電話やゲーム機などに搭載される小型の裸眼3Dディスプレイで、3D動画の再生や、2D-3Dリアルタイム変換、2つのカメラで撮影する3D動画/静止画作成などの機能を実装可能。HD画質の3D映像にも対応可能で、テレビなどに3D動画を出力できる。


左側中央の小さなチップがMA1133回路構成左が3D映像、右が2D映像

 既に国内メーカーでの採用が決定。具体的なメーカーや製品ジャンルなどは明かされなかったが、CEOのショーン・ミッチェル氏は「数カ月後には製品が発表されるだろう」とした。

 ハードウェアとしては、既に提供している「MA1100」と同じで、これに3Dソフトウェアも組み合わせた形で提供される。なお、MA1100にAndroid OSへの互換性を付加した「MA1101」も同じく30日よりサンプル出荷される。サイズは8×8mm。製造プロセスは65nm。消費電力は「最大で数百mW」としている。

スマートフォンやゲーム機、タブレット端末など様々なデバイスへの搭載を想定。ポータブルメディアプレーヤーや、デジタルフォトフレーム、ノートPCのウェブカメラでの活用も見込んでいる。

 2D-3Dリアルタイム変換時は、映像の動きから奥行きを計算。シーンの3D深度をディスプレイの特性に一致させることで快適な3D視聴が可能だという。

 3D撮影では、2つのカメラ入力を備え、2つの動画/静止画を融合させて3Dコンテンツを生成。HDMI 1.4に準拠した各3Dフォーマットに変換して保存できるほか、プログラマブルプロセッサを採用していることにより、今後の新しい規格にも対応可能としている。さらに、2つのカメラの不整配置を補正でき、カメラの回転を3軸方向で修正。異なるカメラでのカラーバランス補正にも対応する。視差調整機能も備え、遠方の被写体に強力な3D効果を持たせることができるとしている。

Myriad 3Dの特徴。2D-3Dリアルタイム変換での特徴2つのカメラを使った3D動画/静止画撮影に対応可能
独自の修正アルゴリズムによりカラーバランスなども補正できる視差の設定機能で、3D酔いの無い動画を表示できるとしている


■ 急速に普及するモバイル3D市場に対応

Movidiusのショーン・ミッチェルCEO

 ショーン・ミッチェルCEOは、「'11年早々にモバイル3D市場が立ち上がる」との見方を示し、その理由として「ユーザーが目から一定の距離でディスプレイを維持でき、メガネ不要で3D立体視ができる。テレビに比べて携帯電話は買い替えサイクルが短いことから、普及に拍車がかかかるだろう」とした。

 また、Myriad 3Dの特徴として、独自の3D収束アルゴリズムで立体感を調整することにより「3D酔い」の無い高品質の映像を実現できるとしたほか、2D-3Dリアルタイム変換により市場のコンテンツ不足をカバーできること、20GFlopsという処理能力の高いプロセッサで、カメラのズームや静止画のリサイズなどが安定した動作で行なえることなどをアピールした。



(2010年 9月 30日)

[AV Watch編集部 中林暁]