オーテク、オープンエア「ATH-AD」シリーズ5機種
新ディフューザー搭載の最上位「AD2000X」など
ATH-AD2000X |
オーディオテクニカは、オープンエアヘッドフォンのATH-ADシリーズをリニューアル。最上位の「ATH-AD2000X」から、「ATH-AD1000X」、「ATH-AD900X」、「ATH-AD700X」、「ATH-AD500X」の5モデルを11月16日に発売する。
価格は、「ATH-AD2000X」が81,900円、「ATH-AD1000X」が50,400円。それより下のモデルはオープンプライスで、店頭予想価格は「ATH-AD900X」が2万円前後、「ATH-AD700X」が15,000円前後、「ATH-AD500X」が1万円前後。
■ATH-AD2000X
このモデルのために専用設計された53mm径のドライバーを採用。パーメンジュール磁気回路と、OFC 7Nを使ったボイスコイルも搭載し、緻密な音を正確に表現できるという。
ATH-AD2000X |
ハウジング内部の空気を拡散させる、新設計のディフューザーを搭載しているのが特徴。音の広がりを追求したという。また、フィン形状の空気経路を採用した新開発のバッフルで、強度向上と軽量化を両立させたという。マグネシウム合金を使ったジョイント&フレームを採用している。
出力音圧レベルは103dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~45kHz。最大入力は2,000mW。インピーダンスは40Ω。ケーブルは両出しで、左右独立アース線(4芯)構造を採用。長さは3m。入力はステレオミニで金メッキ仕上げ。標準プラグへの変換アダプタも付属する。ケーブルを除いた重量は265g。
■ATH-AD1000X
ATH-AD1000X |
専用設計の53mm径ドライバを採用。ボイスコイルには7NのOFCを使っている。
上位モデルと同様に、ハウジング内部の空気を拡散する、新設計ディフューザーを搭載。フィン形状の空気経路を採用した新開発のバッフルも採用している。
筺体はフレームにマグネシム合金を使用。ケーブルは両出しで、左右独立アース線(4芯)構造となっている。長さは3m。入力はステレオミニで金メッキ仕上げ。標準プラグへの変換アダプタも付属する。
出力音圧レベルは102dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~40kHz。最大入力は2,000mW。インピーダンスは40Ω。ケーブルを除いた重量は265g。
ATH-AD1000X |
■ATH-AD900X
専用設計の53mm径ドライバを採用。ボイスコイルはCCAWボビン巻き。
ハウジングにはアルミニウム製ハニカムパンチングケースを採用し、強度向上と軽量化を図っている。
ATH-AD900X |
イヤーパッドには起毛素材を使い、ケーブルには絡みにくい高弾性TPEシースを採用。導体はOFCで、片出しとなる。長さは3m。入力は金メッキ仕上げのステレオミニ、標準プラグへの変換アダプタも同梱する。
出力音圧レベルは100dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~35kHz。最大入力は1,000mW。インピーダンスは38Ω。ケーブルを除いた重量は265g。
■ATH-AD700X/500X
どちらのモデルも53mm径ドライバを採用。ボイスコイルはCCAWで、AD700Xはボビン巻きとなる。
ATH-AD700X |
ATH-AD500X |
ハウジングにはアルミニウム製ハニカムパンチングケースを採用。イヤーパッドには起毛素材を使用。
OFCケーブルには絡みにくい高弾性TPEシースを採用し、片出しタイプ。長さは3m。入力は金メッキ仕上げのステレオミニ、標準プラグへの変換アダプタも同梱する。
出力音圧レベルは100dB/mW。再生周波数帯域はAD700Xが5Hz~30kHz、AD500Xが5Hz~25kHz。最大入力はAD700Xが700mW、AD500Xが500mW。インピーダンスはAD700Xが38Ω、AD500Xが48Ω。ケーブルを除いた重量はAD700Xが265g、AD500Xが235g。
■ファーストインプレッション
製品発表会の会場で、短時間ではあるが試聴できたので印象をお伝えしたい。
まず、今回のADシリーズは大きく2つに分類できる。上位2機種の「ATH-AD2000X」と「ATH-AD1000X」は、どちらも振動板に特殊な素材を使っている(詳細は非公開)。それよりも下位モデルはペットフィルムを使用。実際に試聴してみても、「ATH-AD2000X」と「ATH-AD1000X」は、音色の自然さが特徴となっており、人の声に硬質なキャラクターがついたりせず、下位モデルよりナチュラルになっている。
口径は53mmでシリーズ共通だが、上位2モデルは各モデル向け専用設計のユニットを採用。下位モデル3機種は既存ユニットをカスタマイズして使っているが、AD900Xは開放型向けに設計されたユニットを採用。下位3機種の中でも、音場の広がり、空間描写が得意で、クラシックなどにマッチしそうだ。
700Xと500Xは低域のパワフルさが印象的だが、比較すると700Xの方が高域の抜けが良く、細かな音の描写が500Xよりわかりやすい。しかし、会場で聴く限りは「高域がちょっとキツめかな」という印象だった。逆に500Xは豊富な低域と、しなやかさのある高域のバランスが良く、安心して聴けると感じた。
上位2機種は前述のように音色が自然で、音場も広く、空間描写と高域の繊細な描写を味わわせてくれる。低域の沈み込みや量感も、下位モデルとワンランク違う世界だ。
2000Xと1000Xで比較すると、1000Xの方が低域が強めに感じられる。しかし、最低音の沈み込みはどちらも十分に深い。2000Xは中高域の滑らかさと、分解能の高さが両立しており、音色の自然さと相まって、リアリティのある描写が楽しめる。帯域全体のバランスも自然だ。
これは、2000Xのみパーメンジュール磁気回路を搭載し、中高域の駆動力がアップした事で、低域とのバランスがとれたためと思われる。それが無い1000Xは、低域のパワフルさが印象に残るバランスになっている。
(2012年 10月 16日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]