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【Inter BEE】パナソニックが31型4K液晶モニタを12月発売。MGVCの「かぐや姫」序章BD配布も

4Kのコーナーには、液晶テレビの「TH-L65WT600」や、20型4Kタブレットの「TOUGHPAD」なども展示

 11月13日に開幕した「Inter BEE 2013」から、31型4K液晶モニターや、ハンドヘルド型のAVC-ULTRAカメラレコーダなどを出展していたパナソニックのブースをレポートする。なお、Inter BEEの開催期間は15日までで、入場は無料(登録制)。

31型の4K液晶モニタや、横幅5Kの「ウルトラワイドアングルカメラ」など

BT-4LH310

 13日に発表された新製品は、31型の4K液晶モニタ「BT-4LH310」。12月発売で、価格は294万円。解像度は4,096×2,160ドットで、最大10.7億色を忠実に再現するというIPSパネルを使っている。視野角は左右・上下共に178度。三次元LUT(ルックアップテーブル)による色再現処理や、HDクローズドキャプション表示にも対応。バックライトは環境に配慮したという水銀レスLEDを採用している。

【訂正】記事初出時、「有機EL」としていましたが、正しくは「IPS液晶」でした。お詫びして訂正いたします。

 デジタルシネマ制作にもフル対応し、DCI(P3)の色空間をサポート。カバー率は96%。近日中にLUTアップロードにも対応するという。撮影アシスト機能として、Focus-in-redやズーム機能、輝度別に色表示、簡易分布バーと合わせて輝度を視認できるY MAP機能、ゼブラ表示も可能。

 入力端子として、アクティブスルー端子(BNC×4)付3G/HD SDI、HDMI×2、DisplayPort×2と、リモート端子(GPI入力/RS-232C/RS-485)を装備。筐体には堅牢なアルミフレームを採用。AC電源に加え、DC24V電源での駆動も可能。付属スタンドのほか、VESAマウントにも対応する。スタンドを含む外形寸法と重量は、758×258×495mm(幅×奥行き×高さ)、約20kg。

4K VARICAM

 「超ハイエンドではなく、予算や制作時間を抑えたい制作者向け」として参考展示していたのが「4K VARICAM」。スーパー35mmセンサー/PLマウントの4Kカメラで、外部レコーダを使ってAVC-ULTRAコーデックで記録でき、別のレコーダを使えばRAW記録も可能。'14年の発売を予定しており、価格は未定だが「既存の4Kカメラと同程度の価格を実現可能」としている。合わせてULTRA P2カードの256GBモデルも発売予定としている。

 また、'14年春発売のフルHDモデル「AJ-PX270」も参考展示。ハンドヘルドカメラレコーダでは初というAVC-ULTRA記録に対応し、microP2カードをアダプタ無しで利用可能。無線LANも備える。価格は未定だが、60~65万円前後を見込んでいる。

 AVC-longG25コーデックで1,920×1,080ドット/10bit/4:2:2記録が行なえる。レンズ機構の再設計により、小型になった22倍ズームレンズ(28mm~616mm)を搭載。撮像素子は1/3型 200万画素の3MOS。無線LANを使ってインターネット経由の転送/中継が行なえるほか、別売ワイヤレスモジュールを使って、タブレット/スマホとも連携可能。

AJ-PX270
カードスロット部
無線LAN機能を活用し「AVC-LongGクラウドワークフロー」にも対応
既発売のカメラレコーダ「AJ-PX5000」や、メモリーカードレコーダの「AJ-PD500」も展示
ウルトラワイドアングルカメラの映像を3台のフルHDディスプレイで表示

 将来の映像制作に向けたユニークな展示「ウルトラワイドアングルカメラ」は、4台のハイビジョンリモートカメラを連動させて、アスペクト比64:9という1枚の横長映像を記録できるもの。アメリカンフットボールなどのフィールドもカバーでき、観客席に設置したカメラから、背番号の認識まで可能なほど高精細に撮影できるという。そこから見たい部分を切り出して表示することも可能。

 カメラは既発売の回転台一体型リモートカメラ「AW-HE120」をベースに開発。1,280×720ドットの映像4つをつなげて境目をソフトウェア処理することで、横幅は5K相当まで記録可能。1台のカメラごとに画角45度分ずつ撮影して補正を行ない、合計で約180度の広角撮影を可能にしている。ディスプレイは最大4台まで同期して利用できるが、今回の展示のようにフルHDディスプレイ3台で4つ分の映像を表示することも可能。専用のカメラとソフトウェア、ワークステーションなどを含めた形で、今年度内の製品化を見込んでいる。

4台を組み合わせた専用のカメラ
ウルトラワイドアングルカメラの基本的な仕組み
任意の部分を切り出して、画面の表示したい場所に出せる

「かぐや姫の物語 プロローグ 序章」のBD+DVD配布も

 ブースには、Blu-ray Discで最大36bitの高階調映像を実現する「マスターグレードビデオコーディング」(MGVC)のエンコードサービスを紹介するコーナーも用意。MGVCを用いて製作されたBD「009 RE:CYBORG」などを紹介し、来場したコンテンツ制作者に向けて採用をアピールしている。

 同コーナーでは、スタジオジブリ・高畑勲監督による最新作「かぐや姫の物語」の一部である、6分間のプロモーション映像「かぐや姫の物語 プロローグ 序章」を収録したDVD&Blu-rayも配布していた。

 既報の通り、11月16日土曜日から、全国の「かぐや姫の物語」上映予定劇場344館にて、映画チケットを購入した人全員にプレゼントされるもの。100万枚が用意され、無くなり次第終了となる。パナソニックブースでも、そのうちの一部が配布されていた。

マスターグレードビデオコーディングのエンコードサービスを紹介するコーナー
「かぐや姫の物語」の序章を収録したBD+DVDを配布していた
MGVC制作サービスの特徴や、制作時の流れ

 この「序章」にはBDとDVDが両方収録されており、BDにはMGVCが使われている。BD版の音声はDTS-HD MasterAudio 5.1ch。

 編集部でBD版を再生したところ、筆で描き、岩絵具で着彩したような独特の映像で、筆のタッチを活かしながら、日本画がそのままアニメーションとして動いているような錯覚を覚える。序章では、かぐや姫が可愛い赤ちゃんから少女へと成長していく様子や、物語が大きく動き、姫が野山を疾走するシーンなどが盛り込まれており、映像と共に、内容への期待も膨らむ内容となっている。

 映画は11月23日から公開され、日本古来の物語文学「竹取物語」そのままに、今まで明かされることのなかった細かなかぐや姫の心理を描くことで、人間・かぐや姫の喜怒哀楽に満ちた真実の物語を紡ぎ出すという。上映時間2時間17分の大作。

編集部で入手したBDを再生してみた
ディスクにはMASTER GRADE VIDEO CORDINGのマーク

(山崎健太郎/中林暁)